百合園女学院

　

　一日中観光して、宿に戻ったイルミンスールの生徒たち。
　すっかりお腹を空かせて、食事を楽しみに宿の大広間に集まった生徒たちは、食事の膳を前に愕然としました。

　ごはんにみそ汁、漬物、終わり。

　あまりの精進料理っぷりに、いっせいにもらしたため息が大合唱になって広がります。

　すると、大広場の一番奥にアーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）と並んで座っていた校長のエリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）が、眠そうな目をさらに猫のようにきつく細めて言いました。
「なんですかその情けないため息はぁ。もっとありがたがって食べなさぁい。一粒のお米にも仏が宿ると……仏、ほとけ、ほとけええい！」
　突然エリザベートが目をカッと開いて奇声をあげはじめたので、みんなびっくりして注目しました。
　するとエリザベートは勢いよく立ち上がり、茶碗を片手に箸を頭の上へ振り上げます。
「そう、今夜こそ決着のときぃ！　イルミンスールの優秀なる生徒たちよ、聞けぃぃっ！　ここ日本の古都、奈良は我ら西洋魔法を司るものたちの永遠のライバル、東洋魔法の本拠地のひとつでありますぅ！　わたくしエリザベートは、本日十九時丁度より、東洋魔法の権化、東大寺大仏を筆頭とする仏像軍との一大決戦を宣言するぅ！」

　大仏と対戦？　いやあなムードが漂います。歴戦を潜り抜け、沢山の不思議を目にしてきた生徒たちといっても、今日は楽しい修学旅行、しかも一日中歩き回ってすっかり疲れていますのに。しかも食事はたったこれだけ……。

「勝利の暁にはぁ、超豪華料理店に活躍した参加者をご招待ぃ！」

　その途端、うおおぉという地鳴りのような声が大広間を揺るがしました。それくらいみんなお腹が減っていたのです。

「しかしエリザベートよ、どうやって巨大な木像や銅像と戦うのじゃ？　確かに彼奴らは今日のような満月の夜に、裡なる魂が目覚めて結界内を彷徨い歩くというが……。痛みを感じないから相当しぶといじゃろ」
　ずず、とお茶をすすりながら、アーデルハイトがつぶやきますと、
「心配ありませぇん。目には目を、歯には歯を、ゴーレムにはゴーレムをっ！」
　エリザベートは空中に、巨大なゴーレムを出現させました。モアイ像そっくりの顔をしたゴーレムはものすごい音を立てて落下し、畳を突き抜けて半分床にめりこみました。

「参加者にはこのエリザベート特製いい子ちゃんなストーンゴーレムを一体ずつ配りますぅ。これを使って憎っくき東洋魔術の権化たちと戦って下さぃぃ！」

　担当マスターの佐藤かえるです。どうぞよろしくお願いいたします。

　イルミンスール魔法学校の修学旅行イベントです。
　いつもとは違う日本という東洋の舞台で、魔法バトルを楽しんでください。
　ひとりのＭＣごとにストーンゴーレムが一体ずつ配られます。うまく使って、巨大な仏像軍と戦うもよし、または暴走するエリザベート校長を止めようと試みるのもよしです。
　もし他校の方が参加されるときには、合流したきっかけを簡単に書き添えて頂けると助かります。

　例：夜の散歩に出かけたら、イルミンスールの生徒たちが集団で移動しているので、不審に思って後をつけた。

　エリザベート校長は、東大寺の観音像や菩薩像をストーンゴーレムで破壊しながら境内を突破し、大仏殿の大仏と戦うつもりでいます。
　参加するＭＣには「いい子ちゃんなストーンゴーレム」（全長二メートル）が一体ずつ配られます。これはとても丈夫なゴーレムですが、単純な命令しか実行できません。

　例：まっすぐ走れ、止まれ、体当たりしろ、など

　ＭＣは自分の持っているスキルをひとつだけストーンゴーレムに使わせることが出来ます。また、ＬＣが参加していれば、ＬＣ分のスキルもひとつずつ、使わせることができます。
　ただし、途中で変更は出来ません。

　例：火術のスキルを付加して命令
　　「炎を吐け、炎を吐きながら体当たり」

　スキル付加希望の方は、その旨をアクションに書いてください。

　東大寺には沢山の仏像や菩薩像が安置されています。まず境内に至るまでの南大門を巨大な木製の金剛力士像二体と石造獅子像二体が守護しており、侵入者を阻みます。
　最初がこの四体との対戦になるでしょう。
　
　ちなみに、エリザベート校長は殆ど周りを見ずにどんどん先へ突っ込んでいこうとします。急に思いつきで命令してくることもあるかもしれません。
　校長の使うゴーレムだけは二メートルから五十メートルまで伸縮可能らしいのですが、最大値まで大きくするには術者が六人以上必要です。
　ちなみに奈良の大仏の高さ十四．七メートルということですが、これは座った状態ですので、立ち上がったら……。

　それでは、ご参加をお待ちしております。

・エリザベート校長を助けて大仏攻略を目指す。

・エリザベート校長を止めるために仏像軍に加勢する。

・大仏以外の仏像や観音像などの守護像と戦って仲間を援護する。