「12月24日の夜、クリスマスプレゼントを賭けたゲームを開催します。学生のみなさん、プレゼントが欲しければ私と勝負です! ルールは簡単。私を見つけ、辿り着いた方にプレゼントを渡します。数に限りがあるので早いもの勝ちですよ。プレゼントは、皆さんのお役に立つものです。
ただし、攻撃とかはしてこないで下さいね。私の身もそうですが、プレゼントが傷付いたら大変なので。
皆さんの参加、お待ちしております。
サンタクロースより」
クリスマスを近く控えたある日、各学園にこのような知らせが届きました。シャンバラのサンタは随分と変わった事をする、というのが生徒達の印象でした。
「よし、ちゃんとどの学校にも届いたみたいだね」
その様子を確認する少女がいました。
栗色の髪と深緑を思わせる緑色の瞳を持つ彼女の名はフレデリカ・ニコラス。サンタクロースの英霊、聖ニコラウスの孫です。
ぎっくり腰になってしまい、パラミタまでプレゼントを配達できない祖父に代わって、彼女はパラミタへプレゼントを配達しに来ています。
しかし、まだ祖父と違って新人サンタの彼女が、何の道具もなしにプレゼントをクリスマス中に配り終えるのは難しいことです。そりもトナカイも、ぎっくり腰の祖父が負担を和らげるために、地球での配達で使っています。そのため、生徒にはゲーム感覚で「自主的に」プレゼントを取りに来てもらうのが早いと考えました。彼らもただプレゼントが来るのを待ってるのはつまらないでしょう。
もしかしたら、生徒の中には配達を手伝ってくれる人もいるかもしれません。場合によってはプレゼントで釣る、というのもありかもしれないなどとフレデリカはプレゼントを無事に配達し終えるために考えます。
とはいえ、サンタクロースがまさか若い娘だとは誰も思ってないでしょう。服装はちゃんとサンタの格好だけど、ぱっと見はただのコスプレです。
それでも、「私を見つけ」とした以上、生徒たちはサンタの格好には敏感になっているはずです。声くらいはかけようとすることでしょう。
そして当日の夜、シャンバラの学生を巻き込んだ「プレゼント争奪ゲーム」がスタートします。