百合園女学院

　空京にある和風ホテル『荷葉』。
　その一室のソファに掛けていた白鞘　琴子（しらさや・ことこ）は、ホテルの担当者に聞き返しました。

「七夕祭りを、ですの？」
「はい。当ホテルを利用される方は、地球、とりわけ日本に興味を持っていらっしゃいます。ですので、日本の行事の紹介イベントとして、七夕を開催したいと思いまして」

　以前、曲水の宴で協力してもらった生徒に、また行事の手伝いを頼めないか、と言われ、琴子はしばらく考えました。
　七夕も日本文化の一つ。
　パラミタという異世界にいると忘れがちな日本の行事を生徒に体験させることは、その勉強にも紹介にもなることでしょう。
　けれど七夕は夜祭り。年少の生徒を参加させるのにためらいもあります。
「あまり時間が遅くならないようにしていただけますか？」
「ええそれは勿論。こちらとしても、あまり暗くなってしまうと、お客様に行事の様子が見えにくくなってしまいますので。夕方から始め、暗くなってしばらくしたら終了、という辺りでいかがでしょう？」
　立て板に水と説明する担当者の言葉に、それならば、と琴子も肯きました。

　受けてもらえたことにほっとした様子で、担当者は説明を続けます。

「和風の雰囲気を出していただく為に、協力していただく方々には浴衣の着用をお願いします。こちらでもお貸しできるよう、用意致しますので。浴衣を着用して七夕を楽しむ生徒さん方を見ることによって、当ホテルに滞在中のお客様も、地球を思い出し、あるいは見知らぬ地の風習に思いを馳せていただけるでしょうから」

「それと、食事……というほどのものでもありませんが、七夕にちなんで流しそうめんをする予定ですので、協力者の方にはそちらも自由に食べていただいて構いません」

「予定しているものは、短冊に願い事をかいて吊していただく七夕行事。それと、会場内には星の座を設けますので、技芸上達を願っていただくのもよろしいでしょう」

「曲水の宴の時とは違い、基本的に準備は当ホテルでさせていただきます。ですが、準備をお手伝い下さる方がいましたら大変助かります」

「あとは……当日、和楽器の演奏、あるいは詩歌の披露をして下さる方がいれば、より行事らしさを出せるのではないかと思います。その方々のみは、浴衣でなくこちらで用意した着物を着ていただくことになります。こちらはもし、披露下さる方の心当たりがあれば、ということで」

　担当者からの要請を受け、琴子は七夕祭りの参加者を募るチラシを、蒼空学園に貼りだしたのでした。

　
　七夕祭りを楽しんで下さいね〜、というシナリオです。
　パラミタでは星は天体ではないのですが、それでも夜頭上に輝く星がきれいなことに変わりはありません。

　琴子が蒼空学園で日本文化を教えているので、貼り紙は蒼空学園にしましたけれど、他の学園の方も、チラシを見たり、口コミで噂を聞いたりして、参加して下さって構いません〜。
　どの学園の方も、初心者から玄人さんまで、お気軽にご参加下さいませ。

　基本的に、浴衣を着て七夕をそれらしく楽しんでいただければ、と思います。
　短冊に願い事を書いたり、星の座に技芸上達を願ってみたり、流しそうめんを食べてみたり。
　仲良しさんといっしょに、ホテルのお庭をそぞろ歩いていただいても。
　ホテルのお客様の中にも、行事に参加してみたい、という方が出てくる可能性がありますので、その方の案内をして下さってもいいですし〜。
　浴衣は着たくない〜、という方は、ホテルのお客様の目にあまり触れない部分の裏方をする、あるいは自分が客としてホテル『荷葉』に滞在して行事を眺める、のようにしていただければと思います〜。

　ではでは。
　皆様のご参加をお待ちしております〜。

・短冊に願い事をしたためる

・流しそうめんを楽しむ

・庭をそぞろ歩く

・裏方のお手伝い

・その他いろいろ