百合園女学院

「クリスマスなんてぶっ潰してやる！」
「やれるもんならやってみろ！」

クリスマスイブのその日。蒼空学園ではクリスマスイベントで賑わっていました。
　校庭の至る所にイルミネーションのLEDランプが飾り付けられ、夜になるとライトアップされる。夜店も出す準備をしている人まで居るようだ。今日は夜間特別開校し、校庭の一部を学園の生徒以外にも開放するとのことです。
　その催し物の一つに、【愛のリース】なる特別なクリスマスリースが校庭イルミネーションの中にあるクリスマスツリーに飾り付けられるとの事です。
　【愛のリース】の下でキスをした恋人たちの愛は永久の元なるとジンクスがある。これを目当てしているに蒼空学園内外の生徒は少なくはない。クリスマスデートの重要なイベントです。
　しかし、【愛リース】はまだ校庭のクリスマスツリーには飾られてはいません。放課後に飾り付けられるとのことです。実を言えばまだそのリースは学園に届いていないのです。

　午後の授業が終わり、放課後になると蒼空学園の生徒たちは騒然していた。特に恋愛の話に忙しい女子生徒たちは【愛のリース】のことで盛り上がっているようです。
「クリスマスリースの下でキスって、ヤドリギの下での間違いじゃないの？」
「何でも、イルミンスールの世界樹に寄生していたヤドリギを編んで作ったのが【愛のリース】らしいよ」
　日本やここシャンバラでは馴染みのない習慣でが、キリスト教圏内ではクリスマスの日にヤドリギを魔除けとして軒先や屋内に飾り、ヤドリギの下で出会った者同士キスをします。
　リースの下でキス、というのは間違いではありますが、【愛のリース】にヤドリギが編み込まれてあるのなら、ヤドリギの下でキスをするのと変りありません。
「「でも、よくイルミンスールから借りれたねぇ。エリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）校長って、うちらの学園嫌いじゃなかったけ？」
「『御神楽　環菜（みかぐら・かんな）が居ないなら貸してあげてもいいわ』って、納得したらしいよ。ツンデレ？」
「かもねぇ。魔術結社の長とは言えあれでまだお子ちゃまだし。でもでも、エリザベートがパートナー契約している世界樹に寄生していた植物を使ってるなら、何か効果があるって期待できない！？」
　ヤドリギは寄生樹の一種で、他の大木の枝に寄生することで育ちます。【愛のリース】に使われているのは、イルミンスール魔法学校を内包している世界樹イルミンスールに寄生していたヤドリギ。何かしらの魔法的な効力があるのではないかと、生徒たちは期待せずにはいられないようです。
　ですが、この効果はモテナイ生徒や恋人のいない生徒には何も効果もありません。

　仄甘い雰囲気が学校のどこかしらからも伝わってきます。デートの予定のあるカップルや、誰かを誘おうとドギマギしている生徒、恋話に花を咲かせる女子たち。
　しかし、生徒の誰しもがそうではありません。デートの予定などない生徒たちにとってはこのイベントは何の利点もなく、聞いているだけで嫉妬心が煽られて苦痛なことです。それに【愛のリース】を見に行くだけでも恥をかくし、何よりも蚊帳の外のイベント。
　それどころか、「カップルでもないのに【愛のリース】に来る奴とかいてほしくないよねぇ」なんて、彼氏持ちの女子生徒が口々に言っているものだから、立つ瀬がありません。

　相反するもの同士油と水のごとく混じり合うことはなく、イベントに臨む者とそうではない者はお互いにゆっくりと距離を置いていくのでした。
　そんな時、二人の男子生徒が事あることに、両陣の対立の切っ掛けを作ってしまいます。
　最初は何気ない友人同士の会話からでした。

「おい、この後どうするよ？　やっぱ【愛のリース】へ彼女をつれていくか？」
　一人が浮かれ気味に問います。イベントを楽しみにしているようです。それもそのはず、彼には最近恋人が出来ました。友人に彼女の事を自慢したて堪らないようです。
「……勝手に行け。どうせ彼女とチュッチュしたいだけだろう」
　もう一人がトゲのある言葉を返します。その表情は暗鬱としています。それもそのはず、彼は最近恋人に振られたばかりだったのです。そのせいで自暴自棄に陥っています。
「なんだよ。お前だって彼女居るだろう。ああ、たのしみだなぁ〜。初めてのデートで特別な場所での初キス……。なんて運命的なシチュエーションなんだ！」
　乙女の如く妄想が止まりません。幸せなオーラがもう一人に突き刺さってきます。
「くそうぜぇ、その『運命』てやつがな。ああ、クリスマスなんて無ければ俺の心も少しは晴れやかになるんだろうなぁ……」
　天を仰ぐように懇願するように、顔を両手で覆います。彼の本心からの願いです。それが友人にも伝わったようで、気分を害されて眉をひそめて言いました。
「……あぁ？　クリスマスがなかったら運命的なデートも【愛のリース】の下でのチューもできねえだろうが」
「チューチューうるせぇよ。俺が振られた事への当てつけか？　浮かれやがって。こんな奴ばっかだからクリスマスは嫌なんだよ。イベントなんてやらずにさっさと家に帰れよ」
「ああ、妬んでいるのか〜。彼女に振られて残念だったなぁ。その『元』彼女も今夜は別の男とチュッチュする予定だろうけどよぉ？　まぁ、独り身で妬ましくしているお前みたいな生徒はさっさと家に帰って家族と七面鳥でもくってな。あ、お前寮生だっけな！」
　小馬鹿にした笑い声に堪忍袋の緒が切れ、今まで暗鬱な顔をした男子生徒は怒りを露にして机を叩いて叫びました。
「クソが！　カップル専用みたいなイベントを校内でやりやがって！　何が【愛のリース】だ！　何がキスだ！　永遠の愛だ！　俺みたいな人間には苦痛なイベントをしやがるんじゃねえよ！　そんなイベント潰れてしまえ！　いや、俺がテメエらのクリスマスなんてぶっ潰してやる！」
「やれるもんならやってみろ！　俺のデートを邪魔するなら容赦しねぇ！　てか、テメエみてーな奴はみんな消えちまえばいいんだよ！」
　売り言葉に買い言葉。なんて事ないただの口喧嘩です。
　だたの口喧嘩――。それでで終わればよかったのですが……

「俺もイベントなんてくそくらえだ！」
「何よ！　私と彼の邪魔をしないでよ！」
「そうよ！　モテナイヒトっていやよね。どっか行ってよ！」
「カップルばかりいい思いして！　【愛のリース】なんて火術で燃やしてやる！」
「イベントをぶち壊す気か！　そんな奴ら光条兵器でぶっとばしてやる！」

　彼らと同じようにイベントに不満がある者とイベントを楽しみにしている者との間に、大きな亀裂が走ってしまったようです。特にイベントを反対する生徒たちの不満が爆発しています。それもそうでしょう。彼らにとってクリスマスは何も益徳がないのですから。
　それぞれ、武器を手に取り始め本気の戦いをしようと準備をし始めました。これは大変です。

　二人の生徒の言い合いが火種になり、クリスマスイベント肯定派とクリスマスイベント反対派に別れての衝突が起きてしまいました。
　果たして、イベントは中止してしまうのか。
　恋人たちは【愛のリース】下でキスをすることができるのでしょうか。

　お初にお目にかかります。新人ゲームマスターこと黒井　威匠（くろい　いしょう）です。
　外見も中身も真っ黒なGMです。以後宜しくお願いいたします。

　今回はクリスマスイベントのシナリオと致しまして。小規模ではありますが皆様には戦争してい頂こうかと思います。恋愛？　確かに恋愛も入ってはおりますが殆どはガチの戦闘をメインとして執筆しようと思います。

　クリスマスに血みどろの戦いをしたい方、己の愛をかけて戦い方、クリスマスをぶち壊したい方などなど、参加を募集いたします。
　主な内容はイベント肯定派とイベント反対派に別れた団体戦と思っていただけるとよろしいです。リアクションやキャラクターの参加数を見比べて、どちらが勝利チームになるかを判断いたします。なので、本気で敵チームを倒しに来てください。向こうも本気で掛かってきますので。
　勿論、勝ち負けに関わらずエンディングは双方に用意いたします。

　また、蒼空学園にてのイベントでは御座いますが、他校の生徒の参加も可能です。

　なお、快適なプレイングのため勝利条件や注意事項を設けさせていただきます。ご了承ください。

　それでは以下は説明です。

●以下の三つから所属を決めてください。（アクションの冒頭に記載をお願いします）
・クリスマスイベント肯定派
・クリスマスイベント反対派
・中立派



● 各所属の説明

【【クリスマスイベント肯定派】】
・クリスマスイベントを成功させたい人
・恋人やパートナーと【愛のリース】の下でキスをしたい人
・クリスマスは恋人たちのためにあると思う人
などにお勧め。

【戦闘開始時】
　【愛のリース】の確保している。

【勝利条件】
・【愛のリース】を持ってクリスマスツリーに辿りつく事。
・反対派を全滅させる。



【【クリスマスイベント反対派】】
・クリスマスイベントをぶち壊したい人
・イチャイチャするカップルが憎い人
・クリスマスなんて存在しないと思う人
などにお勧め。

【戦闘開始時】
　クリスマスツリーの周りを占領している。

【勝利条件】
・【愛のリース】の奪取、もしくは破壊
・肯定派を全滅させる。



【【中立派】】
・不毛な争いを止めたい方
・この戦いに乗じて一儲けしたい方
・アウトローに全く別の動きをしたい方（ただし内容に関わること）
などにお勧め。



● 注意事項
・ 学園施設の破壊の禁止
（壁に穴が開く程度なら良しとします。校舎全壊半壊などはなしです）
・ 殺傷行為の禁止。
（当たり前ですね。ただし、攻撃行動は何をしても構いません）
・ 反対派によるクリスマスツリーの切り倒しの禁止



●【愛のリース】について
・特殊なアイテムとし、簡単には破壊出来ないことにします。
・クリスマスツリーに飾り付けることで、木に寄生して離れなくなります。
・【愛のリース】はクリスマスツリーに飾り付けられないと恋人たちへの祝福効果は発揮されません。



　以上のことを踏まえて奮ってご参加ください。
　では、よろしくお願い致します。

・【愛のリース】を守る

・【愛のリース】を奪う

・クリスマスツリーに【愛のリース】を持って辿りつく（肯定派のみ）

・クリスマスツリーの周りを防衛する（反対派のみ）

・中立の立場で動く