百合園女学院

　寒さもようやく落ち着きを見せてきた、そんなある日。

「きゃあああああっ！」

　突如、葦原明倫館の校舎に悲鳴が響き渡りました。
　その女生徒の声に驚いた何人かの生徒が、何事かと廊下を覗くとこう洩らします。
「な、なんだよ、これ……」

　　　　　＃

　一方の百合園女学院でも何かが起こっているようです。
「なんですの突然！？」
　現状を目の当たりにした生徒が目を丸くしています。

　彼女たちが見たのは廊下に溢れかえるスライムの海。生徒たちに向かってじりじりと、いえぷよぷよと押し寄せてきます。

「べ、別に焦ることなんかないですわ」
　泉　美緒が冷静さを取り繕って勇ましく前に出ます。
「どんなに多くたって所詮はスライムなんですから――ふにゃっ！？」
　そんな彼女に向かって、すかさずスライムが粘液を飛ばしました。油断していた彼女の顔面に直撃です。
「う、うわっ、これっ！　マズ……い……」
「ちょっと、大丈夫！？」
　ラナ・リゼットが駆け寄りますが、美緒の体はあっという間に硬直してしまいました。
「なっ、石化……！」
　まったく動かなくなった美緒に気を取られているラナにも、スライムは容赦なく粘液を飛ばします。
「ひゃあっ！　あれ、ねむ……く……」
　先ほどとは別のスライムに粘液を見舞われたラナは、その場に倒れて深い眠りについてしまいました。
　どうやらスライムは一種類ではないようで、様々な効果を持っていそうです。
　さて、それを見ていた生徒たちは大騒ぎです。何しろそんなスライムの波が迫ってきているのですから。

　　　　　＃

　校長室にまでその喧騒が届くと、ラズィーヤ・ヴァイシャリーは扇をひらひらと揺らしながら口を開きます。
「始まったみたいですわね」
「クイーンスライムだなんて、大丈夫かなぁ」
　百合園女学院校長の桜井　静香は、心配そうな目でラズィーヤを見ました。
「あら、心配する必要はありませんわ。わたくしたちこそがトップなのです。フフフ」
　妖しく笑むと、彼女は電話を取った。
「さーて、明倫館はどうなっているのかしら」

　　　　　＃

「スライムがなんだってんだ！　やってやるぜ！！」
　明倫館ではそう意気込んだ丹羽　匡壱が先陣を切ってスライムの海へと突っ込んでいきます。

　このままでは葦原明倫館、百合園女学院ともにスライムに埋め尽くされてしまいます！
　倒しても倒してもきりがない。一体どこから沸いてきているのでしょうか？
　校舎内なことは確かですが、どうやら校長室は無事なようですのでどこか他の場所ということになります。
　原因を突き止めるのが最重要ですが、そうでなくても校舎内がスライムで溢れかえっていますのでそれも一掃しなければなりません。
　それに学園内にスライムが発生するというのもおかしな話です。何かありそうですが、それも調べてみないことにはわかりません。

　スライムたちは石化や睡眠、その他の効果を持つ粘液攻撃で行く手を阻みます。
　攻撃力こそ高くないですが、物理攻撃はあまり通用せず通常魔法も吸収してしまうのでなかなかの難敵です。
　大元さえなんとかできれば、一体ずつ倒す必要はありません。
　きっとこれだけの量のスライムです。でかくて特殊な親玉スライムでもいるのでしょうか。
　同じ学舎の生徒同士、道を切り開き助け合いながら学園を守りましょう！

　今回のシナリオを担当するとむです。
　明倫館と百合園が大変なことになっていますので皆さんでなんとかしてください！

　というわけでアクションを大別しますと、
・原因解決派：「何か親玉がいそうだからそれを倒す！」
・雑魚掃除派：「これじゃあどこへ辿り着こうにもまともに歩けやしないね。道を開いてあげよう」
・補助回復派：「頭数増やしたほうが効率的だよね！　石化も除去！　眠気もすっきり！」
・原因究明派：「しかしどうしてこんなことに？　自然現象ではないよな……」
　になります。

　基本的に自分の学校でのアクションになりますが、「明倫館の学食に和食を食べに来ていた」「百合園に友達に会いに来ていた」などの理由で、他校の生徒も気軽に参加してください。
　ただし百合園女学院は女子高ですので、外見性別が女性の方でないと足を踏み入れることが出来ません。

　原因解決派が親玉の居所に辿り着くには、道を切り開く雑魚掃除派が必要になります。
　両者のバランスが成り立たないとこの事件は解決できないでしょう。
　ちなみに眠気は物理的な衝撃では起きません。睡眠魔法効果ですので、おそらくそれを回復するしかないでしょう。

　それでは、皆さんのご参加をお待ちしております。

・大元を探し出し取り除く

・大量のザコスライムを掃除する

・戦闘不能になっている人たちを回復する

・スライムが発生した謎を追う