【重層世界のフェアリーテイル】魔術師達の夜宴(後編) リアクション公開中! |
シナリオガイド封印の鍵と古の大魔法、そして大いなるもの
シナリオ名:【重層世界のフェアリーテイル】魔術師達の夜宴(後編) / 担当マスター:
泉 楽
* * * バチリ、と炎が爆ぜました。 四方を石壁に囲まれた、薄暗い部屋です。 「闇黒饗団(あんこくきょうだん)」のイブリスは、配下の魔術師や、味方になった契約者たちから襲撃結果の報告を受けていました。 「異界の勇者どもは、魂を幻想のまま統べる魔術を使役するか」 「『異界の勇者たちは、心を支配する術を使うのか』と申されています」 「ならば」 と、イブリスは傍らで通訳をしているネイラの額に、杖を当てました。大きな赤い宝石が輝き、ネイラは咄嗟に目を閉じました。 「……あの、何を?」 「異界の魔術を霧消すべく、混沌を遮る障壁を構築した。邪悪な精霊は、もはや力を発揮することはないだろう」 「なるほど……」 きょとんとしている契約者に、ネイラが通訳してくれます。 「『異界の魔術を消すために、頭の中に壁を作った。もう、奴らの攻撃なんて怖くないぞ』と申されています」 イブリスは幹部たちにも同じ術を施しました。 「それで、作戦は?」 「今宵は月が鮮血に彩られている」 「……」 契約者たちの視線に気づき、ネイラが言い添えます。「『今夜の月は赤い』と申されています。しかも満月だ」 「月が赤いと何かあると?」 ネイラが頷きました。 「異世界ではどうか知りませんが、月の赤い晩は魔力が高まります。満月も同様です」 「それじゃ、二つ重なると……」 「一年に一度、あるかないかです。儀式にはもってこいの晩ということですよ」 「儀式――それは、つまり」 「『古の大魔法』を復活させる儀式です」 おお、と魔術師達の間にどよめきが広がりました。しかし、契約者たちは冷静です。 「『鍵』は? 鍵がなければ、それも不可能なのでは?」 「容易きことよ。愚者自ら、扉を開くよう仕向けてやればよい」 「『簡単だ。魔法協会自身に「鍵」を持ってこさせる』と申されています」 「どうやって……?」 イブリスがニヤリ、と笑みを浮かべました。 「我らには、聖女の導きがある」 イブリスの視線の先には、手足を拘束されたメイザースが昏々と眠り続けていました……。 * * * 闇黒饗団の襲撃後、魔法協会の会長であるレディ・エレインと幹部たちで会合が開かれていました。 契約者たちは不参加です。彼らは片付けに駆り出されていました。雑事を請け負っていたキルツが、内通者として拘束されているのでなかなか終わりません。朝になれば人払いの術式の効力は切れてしまうので、急いでほしいとエレインに言われています。 ところが、報告の途中で契約者の一人が手紙を持ってきました。それを読んだエレインはハッと息を飲み、咄嗟に包帯の巻かれた手を口元に持って行きました。 「どうかされましたかな?」 と尋ねたのは、幹部の一人、スタニスタスです。どう見ても百歳近い老人ですが、矍鑠としており、今回の戦いでも闇黒饗団の幹部を一人撃退しました。 「メイが敵の手に落ちたようです……」 「何と――“エレメンタルクイーン”が?」 幹部たちから、戸惑いの声が上がります。メイザースは協会のナンバーツー。エレインを除けば、最も魔力が強く、また魔術に長けた人物です。その彼女が捕えられたということは、即ち、イブリスたち闇黒饗団の実力を証明しています。 「して、彼奴めは何と?」 「『封印の鍵』を渡せ――と」 幹部たちはどよめきました。口々に「まさか」「そんな」と言っています。 「連中の考えそうなことですわい」 エレインはかぶりを振りました。 「彼らを追ったまま行方が分からないと報告がありましたが、まさかメイが……」 「して会長、どうされるおつもりですかな?」 「それは――」 「貴女にとって、メイザースが特別な存在だというのは承知しております。いや、我が協会にとっても、彼女は次期会長候補として大事な人間です。が」 スタニスタスは、じろり、とエレインを睨めつけました。 「『古の大魔法』が復活すれば、大変なことになるのではありませんかな?」 「――分かっています。決して彼らの手に渡すつもりはありません……」 しかしエレインの口調は歯切れが悪く、フードで表情は分からなぬものの、唇を噛み締めているのが契約者にも分かりました。 「助けに行かないって!?」 会議室での話を聞いた契約者たちが、声を荒げました。 「行かないわけじゃない。ただ、要求には従わない。つまり、『鍵』は渡さないってことだ」 「じゃ、メイザースさんを見捨てるのか!?」 「いや、もっともだ。『鍵』が奴らの手に渡ったら、まずい」 契約者の意見も二手に別れます。散々話し合った結果、「鍵」の偽物を持って行くことになりました。 「それで、取引場所は?」 闇黒饗団からの手紙をこっそり盗み見た契約者が、その内容を諳んじました。 「親愛なる魔法会会長殿―― エレメンタルクイーンは預かった。無事に返して欲しくば、封印されし古の大魔法を復活させるための鍵を持って、今宵、街外れの古代遺跡に来られたし。 闇黒の魔導師イブリスより (翻訳:闇黒饗団幹部ネイラ)」 「まさか、この古代遺跡って……」 「一つしかないよなあ――」 そう、取引場所に指定されたのは、花妖精の村とこの世界を結びつけるゲートがある古代遺跡だったのです。 ゲートを抜けた先は、スプリブルーネを一望出来る高台になっています。足元は円形に石が敷き詰められ、背後には巨大な石が四つ並んでいます。石には何やら文字が刻んであり、人工物であるらしいとまでは、誰しも察していました。 困ったことになった、と契約者たちは思いました。もし遺跡が壊れたら、自分たちは元の世界に戻れるのでしょうか? メイザースを取り戻し、闇黒饗団の野望を防げるのでしょうか? 何より古の大魔法は復活してしまうのでしょうか? そして「大いなるもの」は? 指定の時間は真夜中、今よりきっかり四時間後。契約者たちは、悩み、迷いながらも各々の信念の元に動き始めました――。 担当マスターより▼担当マスター ▼マスターコメント
泉 楽です。「魔術師たちの夜宴(後編)」のシナリオガイドをお届けします。 ▼サンプルアクション ・魔法協会側として、「鍵」の偽物を持って取引に向かう。 ・「古の大魔法」と「大いなるもの」について、更に調べる。 ・キルツや捕えた闇黒饗団のPCを取り調べる。 ・闇黒饗団側としてイブリスと共に取引に向かう。 ・捕虜なので逃げ出す。 ▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています) 2011年11月24日10:30まで ▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました) 2011年11月25日10:30まで ▼アクション締切日(既に締切を迎えました) 2011年11月29日10:30まで ▼リアクション公開予定日(現在公開中です) 2011年12月13日 |
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