百合園女学院

「ううー……」
「どうしたの？」
　唸っている桜井　静香（さくらい・しずか）に雅羅・サンダース三世（まさら・さんだーすざさーど）が声を掛けます。
「え？　な、何でもないよ？」
　慌てたように誤魔化す静香を訝って注視すると、あることに気付きます。
「あら？　静香、肉付きが――」
「あああ！　言わないでっ！」
　寒さで運動は億劫になり、食べて寝るの生活が続くとどうなるかは明白です。
「なるほど、そういうことね」
　納得する雅羅に横槍が入りました。
「そなたも、さっきからお腹周りを気にしてるぞ」
　咄嗟に横腹をさすっていた手を後ろに隠す雅羅。白々しく目線を逸らす仕草が現状を物語っています。
　さっきの台詞はアリサ・ダリン（ありさ・だりん）でした。
　彼女は実習がある訳でもないのに、何故かパイロットスーツを持っています。
「アリサさんはどうしてパイロットスーツを持っているの？」
「こ、これか？　いや、ただ着替えようと思っただけなんだ」
「もしかして――」
「言うな！　みなまで言うな！」
　静まり返る三人。
『はぁ……』
　どうやら彼女たちは同じ悩みを抱えているようです。
「うふふ、そうですの」
　そこに投擲されたのは助けか、それとも罠か。現れたラズィーヤ・ヴァイシャリー（らずぃーや・う゛ぁいしゃりー）は含み笑いを携え、何やら企んでいる様子です。
「これはダイエットしかありませんわね」
『ダイエット……』
「面白そうですので、わたくしが場所を提供いたしますわ」

　静香・雅羅・アリサが案内されたのは空京にあるアパートでした。
　看板には【Ｄ合宿所】と書かれています。
「ここでしたら、ダイエットに集中できますでしょ？」
「生活環境から変えるのね」
「このＤって？」
「幾つか意味がありますが、ダイエットと思っていただいて結構ですわ」
　含みを持たせたまま、説明に戻るラズィーヤ。
「周辺には温水プールに体育館など、運動できる場所が揃っていますわ。また、お風呂にはサウナを設置してありますの」
「食事はどうするの？」
「この大会のために産地直送のマーケットを期間限定で開催しますわ。各地の名産も取り揃え、その御味はわたくしが保障いたしますわ。他にも出来合いの物を販売しますから不自由はありませんわ」
「ラズィーヤのお墨付きなら、ハズレはないわね」
「食事も楽しみだね」
「ダイエットがはかどるか心配だな」
　設備は万全に整っていますが、もう一つ重要な点があります。
「けれど、わたくしはダイエットをしたことがありませんので、詳しい方法などはわかりませんわ」
「え？　それじゃどうするの？」
「このようにいたしますわ」
　ラズィーヤはアパートの入り口付近に置いてある看板の布をはずすと、そこには【対決大会会場】と書かれていました。
「大会を開催いたしますの。題して、『静香・雅羅・アリサによるダイエット対決』ですわ」
「大会にしちゃったの！？」
「そのほうが色々な方法を試すことができますから、よろしいのではなくて？」
「確かに、そうね」
「御三方のコーチ役を募集し、その方々の指南の下でダイエットを行っていただこうと思いますの。そして、一番体重を落とされた方が優勝ですわ」
「優勝したらどうなるの？」
「もちろん、賞品を用意しておりますわ。コーチとして参加していただいた方との豪華料理の祝賀会ですわ」
　ヴァイシャリー家主催の豪華祝賀会。この大会を簡単に開けるほどの財力もあり、どれほど盛大なものになるのか想像できません。
　ぜひとも参加したい三人。
「そのため、御三方にはこれを付けていただきますの」
　ラズィーヤはブレスレットを取り出し、三人の手首にはめる。
「これは何？」
「百聞は一見にしかず。静香さん、これを召し上がっていただけません？」
　ラズィーヤは静香にチョコバーを渡します。
「これ食べるの？　ダイエットしようとしているのに……」
　静香は渋々といった感じでチョコバーを食べます。
　食べ終わるのを見とどけ、ラズィーヤは尋ねました。
「静香さんの増減は？」
　すると、

『桜井　静香＋１キログラム』

　手首にはめたブレスレットから発せられる音。
「え？」
「そのブレスレットは一週間後の体重増減を計算し、報告してくれる魔法のアイテムですわ。空京の古道具屋で見つけて購入しましたの」
「つまり、さっき食べたチョコバーのせいで一週間後には１キロ太っているというわけだね」
「チョコバー食べただけなのに？」
「合宿所には体重の増減を増幅する魔法を掛けてありますの。ダイナミックな合宿所ですもの」
「Ｄってそういう意味も含まれていたんだ」
「ですから、この程度でも一週間経つとこれだけ太ってしまいますわ。でも逆に考えると、簡単に痩せることもできますのよ」
　得心する雅羅とアリサですが、静香は気になることがありました。
「これって、僕たちの体重を公表したりしない……よね？」
「体重は公表はいたしませんわ。このブレスレットは体重計ではありませんのよ。それとも、公表して欲しいのかしら？」
　首を横に振る静香。
「それでは優勝目指して頑張ってくださいまし」
　増減の数値が露になるアイテムがある。そうなると目標がはっきりして頑張る気力も沸いてきます。
「痩せるわよ！」
「頑張るぞ！」
「目指すは優勝だ！」
　豪華祝賀会のため。
　痩せるため。
　戦いの火蓋が切られる。
「うふふ……」
　彼女たちはまだ、特別賞の存在を知らない。

　はじめましての方、そうでない方、ガイドを読んで頂きありがとうございます。
　シナリオを担当しますゲームマスターのＡｉｒｙ（えありー）です。
　よろしくお願いします。

　この季節、冬の幸は美味しく、寒くて運動は億劫になり、体重計に乗るのが怖くなってしまいます。

　そんなわけで、プレイヤーの皆様には静香・雅羅・アリサのダイエット指南を行っていただこうと思います。
　女性にとってはとても気になる難問。
　自分の知っているダイエット知識などをフル活用して正月太りを解消させてあげましょう！

　ＮＰＣを弄りたいと思われる方はダイエットの邪魔をしていただいても構いません。
　その場合は、他のプレイヤー様に止められたりする可能性もあります。

　また、ＮＰＣだけではなく、プレイヤー様自身がダイエットをしていただいても大丈夫です。

　皆様に行っていただくアクションとしましては、

１、食事制限をさせる

２、運動をさせる

３、ダイエットの邪魔をする

４、自分自身のダイエットを行う

　となっております。


●アクションについての補足
　ダイエットに協力（邪魔）する場合は、どのＮＰＣに対して協力（邪魔）するかをアクション内に記載してください。

▼食事▼
　一般的なスーパーマーケット・デパートの食品売り場・名産品売り場を想像して頂き、
　そこで手に入る食べものであれば何を使っていただいても構いません。
　『何を使うか・何を作るか』を記載してください。

▼運動▼
　ガイドにも記載した通り、『お風呂（サウナ有）・温水プール・体育館（トレーニング機器完備）』などの施設があります。
　上記以外にもアクションで「こんな施設で」といったものを希望していただければ、可能な範囲で採用させていただきます。

▼その他▼
　スキルや特技を駆使して頂いても問題ありません。
　アクション内容を強化するような称号をつけていた場合、その行動が有利になる可能性もあります。

　そして、アクションの内容から独自の判断で体重増減をリアクションに付け加えさせていただきます。
　自らダイエットに参加するプレイヤー様にはブレスレットをお貸しし、同様にリアクションにて増減を付け加えさせていただきます。


●その他の補足
ブレスレットの増減報告、反映に関して
　魔法の効果もあり、報告は大幅に増長されています。
　このまま一週間過ごせば体重がマイナスに……なんて報告もありますが、ＮＰＣにはあらかじめ『目標体重』が設定してあります。
（自身のダイエットを行う方もアクションに『目標体重』の記載をお願いします。公表はいたしませんのでご安心ください）
　報告が目標体重より下になった場合、『ボーナス』として蓄積されます。
『ボーナス』を得ている状態で大会を終えると、ＮＰＣやＰＣは『目標体重の姿』になります。
　が、体重増に関しては、そのまま反映されてしまいます……。

　ＮＰＣたちの勝敗はブレスレットの報告数値合計で決定いたします。

賞品に関して
　勝利ＮＰＣに協力したプレイヤー様には豪華祝賀会への参加と称号を授与します。
　また、ブレスレットの報告数値で特別賞を設けます。
　もっとも体重を減らすアクション（『ボーナス』部分を含む）を提案したプレイヤー様には、希望があれば勝利ＮＰＣからの『ほっぺにチュー』をお贈りします。
　逆にもっとも体重を増やすアクションを提案したプレイヤー様にはそれ相応の称号を授与させていただきます。


　皆様の大会への参加、お待ちしております！


※今回の体重増減は、基本的にこのリアクション内のみの反映となります。
　今回の結果が、実際のキャラクターデータに反映されることはありませんのでご安心ください。
　もちろん、任意で反映していただくのは、まったく問題ございません。

　変更を行いたい場合、変更したいキャラクターのプロフィールページ下部にある「プロフ変更」ボタンより行けるプロフ変更施設で体重などの変更を行うことが出来ます。（変更にはＧかポイントがかかります）

・食事の量を減らす

・体を動かして代謝をよくする

・美味しい食べ物を勧める

・提案されたダイエットを行う