百合園女学院

蒼空を背景にそびえ建つ、白銀のタコヤキタワー。

ここは空京・ＴＡＣＯ−ＣＨＵワンダーパーク。
「こころに夢を、くちびるにたこ焼きを」……そんな素敵なキャッチフレーズを持つこのパークに。

今、名状しがたくも冒涜的な混沌の影が這い寄ろうとしていｑｋｗ＠ｒ

◇　◇　◇　◇　◇

「たこ焼きをたらふく食べられる……って、言ったわよね、美夜」
「そうだっけ？」
「言ったわ」
とぼけてあらぬ方を見る春日　美夜（くらた・みや）を、雅羅・サンダース三世（まさら・さんだーすざさーど）は睨みつけました。
「確かに、言った」
「たこ焼きのテーマパークだしね。やっぱり、それは期待するわよね」
「それで、たこ焼きに食べられそうになってる現状については、どうよ」
雅羅の恨みがましい視線を避けながら、美夜は足元のねばねばした「それ」を蹴散らして答えました。
「……まあ、そういうこともあるわよ」
「ないわ！！」

たこ焼き機を模したタコヤキカルーセルのステージの上。
どこからともなく入り込んで来た「何か」が、じめじめした空気を振りまきながら、カルーセルの乗客に襲いかかって来たのです。
地面を白濁したゲル状の液体が不気味に脈打ちながら這い寄ってくる様は、吐き気を催すほどに不気味です。
ところどころに混ざった「具」らしき固形物が、カラフルな模様のように蠢いています。
お客の大半は観光客です。こんな化け物と戦える筈もありません。
ねばねばに引きずり込まれそうになる人を助けながら、雅羅たちは、なんとかゲートの脇の事務所に逃げ込みました。

「どうしよう。逃げ道、塞がれちゃったみたい」
なんだかひどく物悲しい気分になって、雅羅は呟きました。
すでに外の地面はねばねばで覆いつくされています。状況はよくわかりませんが、遠くから悲鳴や叫び声も断続的に聞こえてきます。
「とにかく、みんなを逃がさないと……」
「……たこ焼き、そうだ……タコヤキ……が……」
思わず雅羅は美夜を覗き込みました。
「ど、どうしたのよ」
美夜はぶつぶつと何か呟いています。気のせいか、目が虚ろです。
「タコヤキが来る……タコヤキが、食べに来るんだよ、雅羅。ううん、でも、そんな。こんがり焼いてないたこ焼きなんて、そんなバカなことが……やめて！　私のＳＡＮ値はもうゼロよ……！」
「ちょっと美夜、しっかりしてよ！」
意味の分からないことを呟き続ける美夜の虚ろな目が、ふいに驚愕に見開かれました。
美夜は雅羅の背後を指差して叫びました。

「ああ、雅羅！　窓に！　窓に！」

◇　◇　◇　◇　◇

「あぁぁん、お父さん……コンちゃあぁぁぁん……」

お父さんとはぐれて泣いていたモンロちゃん（本名・鄭夢羅。観光客／6さい）は、
目の前に立った誰かの影に、泣くのをやめて顔を上げました。

タコが……こちらを見下ろしています。
人の体の上、本来頭のある筈の部分に鎮座した、タコ。
８本の腕はそれぞれ勝手なポーズで空中に広がっています。
タコは言いました。

「どうしたの、迷子？」

モンロちゃんは、ぱっと顔を輝かせて叫びました。

「コンちゃんだぁっ！」

それはこの空京・ＴＡＣＯ−ＣＨＵワンダーパークのマスコットキャラクター、
タコのコンちゃん（本名コントン・ハイヨール。ゆる族／12さい）だったのです。

コンちゃんは後悔していました。
この騒ぎは、すべてコンちゃんのしでかしたことです。

……お店なんて、パークなんて、タコ焼きなんてなくなればいいんだ！

そう思って、何処とも知れぬ深淵から呼び出した冒涜的な「何か」を、パークに放ったのはコンちゃんです。
それでもコンちゃんは、コンちゃんの名前を呼んで泣いている女の子を、放っておくことはできなかったのです。

「お父さんと来たの？」

コンちゃんが聞くと、モンロちゃんは嬉しそうに頷きました。

「うん、コンちゃんに会いに来たの！」

コンちゃんは、すごく、ものすごく、後悔していました。

……みんな、ボクに会いに来てくれた、大切なお客さんなのに。
……ボクは……一時の怒りで、この笑顔を裏切ってしまったんだ。

もう「ごめんなさい」ですむ事態ではありません。
コンちゃんは、ポケットの中のたこ焼き製造システムの起動キー＜輝くトラペゾヘドロン＞を握りしめました。
そして、自分の力で邪神的な何かを滅する決心をしたのです。

……でも、その前に。
コンちゃんは女の子に手を差し伸べて言いました。

「おいで。お父さんを探しに行こう」

◇　◇　◇　◇　◇　

こんにちは、または初めまして。寒月堂です。

今回は空京のとあるテーマパークが舞台です。……が、あまり楽しく遊ぶ余裕はないかもしれません。
迷子の女の子のお父さんを探し、どうか、邪神的な何かからパークとお客さんを守ってあげてください。

◇　◇　◇　◇　◇　

【空京・ＴＡＣＯ−ＣＨＵワンダーパーク】
空京にあるタコ焼きのテーマパーク。屋外型ですが、さほど広くありません。
パークは３ゾーンで構成されており、グランドコンコースで繋がっています。
スタッフ・キャストの事務所はグランドコンコースのたこ焼きタワー内にあります。

・ミュージアムゾーン
　屋内型施設です。
　タコ焼きの文化と歴史を学べるミュージアムと、巨大タコ焼きファクトリーの見学ができます。
　タコ焼き作り体験や試食のコーナーも人気です。
・アミューズメントゾーン
　タコ焼きをテーマにしたアトラクションのあるミニ遊園地です。
　巨大なタコ焼きに乗って転がりながら回るタコヤキカルーセルが好評です。
・ステージゾーン
　パークの名物・コンちゃんと仲間たちを中心にした名状しがたいミュージカルのようなものが楽しめます。
　コンちゃんグッズやたこ焼きが買えるショップも充実しています。

現在、各ゾーンに一匹ずつ、巨大な邪神のようなものが放たれて暴れています。


【巨大な邪神のようなもの】
・イカルー
　”怒り”を具現化した何かです。暑苦しいです。熱に反応します。ミュージアムゾーンにいます。
・メソメソ
　”悲しみ”を具現化した何かです。湿っぽいです。水に反応します。アミューズメントゾーンにいます。
・ケララ
　”自嘲”を具現化した何かです。やかましいです。音に反応します。ステージゾーンにいます。

冷たく捨てられたすべてのゆる族マスコットたちの怨念が具現化した名状しがたいモンスターのようなものです。
ナマモノで、ねばねばやどろどろを出します。なかのひとはいません。
コンちゃんが召喚しましたが、既にコンちゃんの意志ではコントロールできません。
正面から対峙すると、精神的なダメージが大きく一般のお客さんは耐えられない場合もあります。
契約者でも場合によっては発狂し、言動が異常になることがあります。
物理・魔法共に攻撃は効きますが、消滅させても復活します。バラバラにすると増殖します。
熱したオリーブオイルで調理することが可能です。
但し、現在ファクトリーの調理システムはダウンしています。

それぞれゾーンの入り口から奥に向かって移動しています。


【アクションについて】
・パークにお客さんとして来ていた場合→パーク内の任意のゾーンからの開始となります。
　パークの職員・キャストとしての参加も可能です。
・パークの救援要請を受けて駆けつけた場合→パークのゲートからの開始です。


・お客を避難させる
　アミューズメントゾーンにいる雅羅たちと同様に、各ゾーンで騒ぎが起こっています。
　それぞれのゾーンからの避難経路はひとつで、その方向から巨大な邪神のようなものが入り込んできます。
　安全と正気を確保した避難のためには、多少工夫が必要です。

・敵と戦う
　個人差はありますが、正面きって戦うには「邪神のようなもの」はリスキーな相手です。
　足止め、撃滅、どちらを目的にするかで手段が違ってくると思います。
　敵の知能は低くありませんが、行動は単純です。意思の疎通は……やめた方が無難です。

・モンロちゃんのお父さんを探す
　コンちゃんはモンロちゃんを連れて移動しているので、なかなかみつかりません。
　モンロちゃんのお父さんを見つけ出せば、コンちゃんと接触することが可能になります。

※パークにありそうなアトラクションや設備等を設定して、それを利用したアクションをかけてもＯＫです。


【ＮＰＣについて】

タコのコンちゃん（本名コントン・ハイヨール。ゆる族／12さい）
人間のカラダに頭がタコ。つぶらな瞳とねじり鉢巻がトレードマークの「空京・ＴＡＣＯ−ＣＨＵワンダーパーク」のマスコットです。
とある邪神教団のマスコットとして生まれましたが、「少しも怖くない」という理由ですぐにクビになりました。
その後、空京に本社を置く世界的タコ焼きチェーン店「空京ＴＡＣＯ−ＣＨＵ」に拾われ、第二の人生を送ることになりました。
真面目で優しい性格ですが、少し思い詰めやすいところがあるようです。

モンロちゃん（本名・鄭夢羅。観光客／6さい）
お父さんと一緒に「空京・ＴＡＣＯ−ＣＨＵワンダーパーク」にやってきた女の子。
コンちゃんが大好き。ピンクの怪獣のような凶暴性はありません……。

春日美夜（かずが・みや）
雅羅のクラスメイト。一緒に来る予定だった相手が来られなくなったため、雅羅を強引に誘って、一緒にパークに遊びに来ました。

※ＮＰＣとパークについて、マスターページに簡単な補足イメージをＵＰしますので、よろしければご参照ください。

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それでは、皆様のご参加をお待ちしております!

・お客を避難させる！

・お客を避難させるための囮になる！

・モンロちゃんのお父さんを探す！

・邪神焼きを作る！