百合園女学院

　

蒼空学園から少しはなれた小さな森
遥か昔に、その一帯の集落が祭っていた小さな神殿があったと言われているそこには
今でも史実を偲ばせる発掘品が見つかります

そんな中、発掘の対象にならず森にひっそりと放置されている物の中に
学園の生徒達の噂になっているものが一つありました


……それは森の奥の壊れた石の祭壇に、ひっそりと飾られている一輪の花
　　
地下からの湧き水で満たされた石の器に浮かべられ、スイレンを模して人の手で作られたそれは　
考古学と魔術の研究員が調べたところ、他愛ない水晶で出来たものなのですが
水晶の特性だけでは説明できない輝きに包まれ、ひっそりとそこに咲いているのです


そんな水晶の花が何故、学生達の間で噂になっているかと言うと
【この花に願うと、願いがかなう】……と一部の生徒が話していたからだとか？

ささやかな噂なので、誰が話しだしたかはわからないのですが
気まぐれにこの花を見に行った生徒が、この花に願ったら願いがかなったというのです
その噂は複数あり、多岐にわたっているのですが……

　・想い人と二人で行ったら、相手に自分の願いが通じた
　・花を手にとって願いを話しかけたら、願いがかなった
　・願いにまつわる物を器の水に沈めたら、願いが叶いやすくなるらしい
　・誰もいない夜中に勇気を出して一人で行って願ったら叶った

……などという話もあったり

　・露骨に願いを口に出しても願いが通じない
　・花に力があるわけでなく、叶えたいという願いが相手に伝わって結ばれやすくなるだけだ
　・冗談でコスプレをして目の前で歌ったら長いが通じた、覚悟の差が関係するのかも
　・呪文を唱えたら効果があるらしい
　・遺跡との関係か、剣の花嫁か機晶姫の方が願いが通じやすいらしい

……とまぁ、信憑性に欠ける話まである始末、ついには

　・冒険の願掛けに夕暮れ時に足を運んだら幽霊のような精霊のような影を見た
　・何人かが女の人の影を見たらしいが、その後怪我をした者もいる

……なんてオカルト的な噂話まで出てくる始末

どちらにしても、学生が願うささやかな噂の範囲なので世間に取り沙汰されるまでも無く
その水晶の花は森の奥にひっそりと咲き続けていたのですが……

　「まさか発掘調査の拡張で、このあたりが一掃されるなんて……もったいないわねぇ」

そんな神聖な空気を壊すように所々に張られた【進入禁止】の札を見て
雅羅・サンダース三世（まさら・さんだーすざさーど）は深々と溜息をついています

実は少し先の発掘対象のエリアを広げる為、近くこの森も研究者以外立ち入り禁止になるらしいのです
聞けば史跡的な価値の低いこの祭壇は壊され、一部が研究資料として持ち帰られるらしいのですが
今の美しい姿を維持する事は恐らく不可能になるでしょう

その事を残念に思い、彼女はアルセーネ・竹取（あるせーね・たけとり）と共に足を運んだのでした

　「この花については調査次第で生徒側に委ねられるって話だけど、花だけあっても意味が無いわよね」
　「そうですわね
　　聞くところによると結構生徒の間で、ここは隠れた憩いの場所だったらしいですわ」
　「蒼空の生徒って、こういうの含めてイベント好きだものね
　　まぁ、自分の疫病神体質を思い返しても、こういう神頼みってわからなくもないし……
　　アルセーネ、この場所が完全に生徒立ち入り禁止になるのっていつだった？」

雅羅の問いにアルセーネが口元に手を当て、木々を仰ぎながら答えます

　「……あと３日だったと思いますわ
　　それまでは立ち入り禁止の場所さえ守ってもらえば、好きに出入りしていいとか何とか
　　……ひょっとして、何か思いつきまして？」

アルセーネの言葉に水に浮かぶ水晶のスイレンを覗き込みながら、雅羅は答えます

　「大した事じゃないわ。折角だから多くの生徒に来てもらいたいなぁって思っただけ
　　みんな、折角だから記念にダメもとでお願いくらいしたいじゃない？
　　まぁそういうのに限って、悪さして盗もうとする連中もいるけど
　　それは私たちで見てればいいと思うし……どうかな？」


そんなわけで、二人の尽力で学園内にささやかな【お願いスポット】の話は広まりました

残り３日間……みなさんはここに足を運んでみますか？
そして、願ってみたい望みはありますか？

　ゲームマスターのＯＧＡ?ＳＡＮです。
　今回もよろしくお願いいたします。

　今回のシナリオは戦いを忘れたイベント系シナリオです
　蒼空学園が起点の話ですが誰でも参加可能なので、どの学校の生徒も気軽に参加して下さい！

　内容は話の通り『願いが叶うといわれている場所』があるだけです
　利用は皆さんの自由

　　・単なるデートスポットとして利用する
　　・願掛けの場所として一人で足を運ぶ
　　・本当に願いが叶うかどうか確かめてみる

　信憑性は、普段の我々の日常にある観光地のおまじないスポット程度なので
　確実に世界の何かが変わる……といったマジックアイテムでもありません
　ただ、噂の通り独特のアクションをしたら願いが叶ったという話もあるので挑戦してもいいかもです

　水晶の花は普通に手に取れる大きさです
　手に取るもよし、話しかけるもよし……願のかけ方も時間を問わず自由のようです
　ただ、利用する人も多いので迷惑がかからないようにしてくださいね

　ただ、そうなると持ち帰ろうとする連中もいると思うので
　雅羅達と一緒にそれを見張るのも行動の一つだと思います
　
　
　………では、みなさんにとっていい時間が送れますように

・二人で一緒にお願いをしにいく

・パートナーがお願いしている間、周りを見張る

・花に魔法を使ってみる