百合園女学院

『カップルも、片思いの方も、彼氏彼女のいない皆さんも！　クリスマス本番が来る前に、当遊園地に遊びに来ませんか？』

　そんな広告をシャンバラのあちこちで見るようになったのは、つい最近のことでした。
　空京にあるこの遊園地の記事は、デートスポットを紹介する幾冊かの雑誌にも掲載されています。
　その中の一つから、この遊園地の企画を抜粋してみましょう。

〈恋活支援企画、３つのポイント！〉
１、カップルや夫婦の方には、カフェ『アリス』にて限定スペシャルケーキセットをご用意しております！
　お二人の愛を、もっと深めてみませんか？
２、出張中の神主が、皆様の恋愛成就を祈ります！
　特設された神社で願い事をすると、告白する勇気が湧いてくるかも？
　クリスマスを一緒に過ごしたい憧れの人を誘って、是非遊びに来てください。
３、お相手がいらっしゃらない方には、時間制デートの企画がございます！
　お好みのスタッフを選んで頂きますと、三時間のデートを楽しむことができます！
　是非当遊園地で、素敵なひと時をお過ごし下さい。

＊

　ここは、遊園地のスタッフの控え室です。
　部屋の中央に設置されたテーブルを囲うように、デートの相手用スタッフとして指名された四人が偽名の書かれたネームプレートを胸に付けて集まっていました。
「そんなぁ〜、わたしにデートのお相手なんて務まりませんよぅ〜」
　仮名エース・ハートが、マニュアルを見ながら弱音を吐きます。
「つか、相手の性別選べないんだろ？　男とデートすることになる可能性もあるんだよな……」
　キング・スペードも顔をしかめて、マニュアルをじっと眺めています。
「あら、素敵じゃない。私は女の子とデートしてみたいわ〜。うふふ、楽しみね」
　クイーン・ダイヤは、微笑みを浮かべて二人を順に見ました。
「僕も頑張ってエスコートしないとね！」
　ジャック・クラブはマニュアルをくるくると丸めて、やる気をみせています。キングはマニュアルから目を離し、にやりと笑ってジャックを見ました。
「男相手でもエスコートすんのか？」
「うーん、君相手なら余裕かな」
「え」
「えっ？」
「二人とも。本来の任務、忘れてなぁい？」
　クイーンが、キングとジャックをたしなめます。
「そうですよぅ〜。わたしたちがデートするのは、あくまでも囮捜査のためですぅ。
　犯行予告なんかしてきた、危ない人たちを確保するですぅ〜！」
　エースはマニュアルの一番後ろのページを開いて、人差し指でビシッと差します。

　そこには「テロリストへの対処について」という文字がでかでかと書かれていました。

＊

（以下、犯行声明全文）

　全国のモテない男子諸君、女子諸君。
　我輩は「シングルズ」代表、ブオトコである。
　皆、すれ違う女性にはそそくさと逃げられ、男からも憐れむような目で見られる――そんな充実した日々を過ごしていることと思う。

　そんな中、某遊園地はデート体験なんぞを企画していると聞く！
　本来なら朗報として喜ぶべきことなのだろうが、だがしかし！
　どうせ我輩が企画に申し込んだところで、相手は心底嫌そうな顔をして業務的にデートをこなすであろうことが、目に見えているではないか！
　これは、一定以上の顔面偏差値を持つ輩にしか楽しめぬ企画である！
　我々に対する精神的な迫害である！　やってみなければ分からない？　苦い経験が既にあるからこそ、これ以上恥は晒したくないのである！

　そこで我輩は考えた――我々よりもイケメンな輩さえいなくなれば、女であるならば可愛い、美人な輩さえ駆逐されれば、我々にチャンスが到来するのではないか、と。

　諸君。今こそ、我々は立ち上がる時ではなかろうか。
　フツメン以上にばかり光が当たる世界を変えるのは我々の仕事だ！
　賛同する者は、今週末の日曜、空京に集結せよ！

　皆のもの、カップルどもを狩りつくすのだ！！

■2012年11月24日：追記
「■ＮＰＣへのお誘いについて」に、片思いの場合につきまして追記致しました。


　こんにちは、または初めまして。八子　棗（やこ　なつめ）と申します。
　というわけで、今回はクリスマス前の恋愛シナリオです。
　どちらかというと、ややコメディ寄りのシナリオになりそうな気もします。

　今回のシナリオの主な舞台は、空京の遊園地となっています。
　既に夫婦やカップルの方、片思い中の方、客やスタッフとして新たな出会いが欲しい方はもちろん。
　囮捜査の一貫として、デートしながら警備をしてくださる方も募集しております。
　他にもシングルズに加担したい方、ひとり遊園地を満喫したいという方などなど、皆様の様々なアクションをお待ちしております。


■遊園地について
　大きな遊園地です。大抵の遊園地にあるものはございます。人気がある飲食店は、夜景の綺麗なレストランや、一日に三回ほど行われるパレードを二階席から見られるカフェなどです。

■デート企画について
　選んだ相手の時間を買う、という形で三時間のデートを楽しむことができます。
　スタッフの四人とデートすることも可能ですし、ＧＡで企画として他ＰＣさんとデートするといったアクションも可能です。

■ＮＰＣへのお誘いについて
　カップル、片思い中の方などでＮＰＣを誘いたい場合、恋人としてのアクションを掛けたい場合は、恋人や夫婦、それに準ずる称号を貰っている公式ＮＰＣ、 片思いとしてのアクションを掛けたい場合は、片思いを示す、もしくはそれに類する称号を貰っている公式ＮＰＣを呼ぶことが可能です。
　その際は、マスターシナリオで得られた称号を装備の上ご参加ください。
　称号が装備されていない場合、明らかに友好な関係と思われない称号の場合、ＮＰＣを誘ってもアクションが失敗する事がございます。

　また、公式ＮＰＣであっても、
・封印されている
・死亡している
・ナラカなどすぐに来ることの出来ない場所にいる
　などの場合は呼び出せません。

　また、公式ＮＰＣを登場させたい場合、１人を呼ぶにはＬＣの追加参加が１人分必要になります。（そのＬＣは参加しません）。
　ＬＣのアクション欄にＮＰＣの行動を書くことは可能です。ただし、ＮＰＣはその通りに動くかどうかは分かりません。
　ＬＣが公式ＮＰＣとデートなどを行いたい場合も同様ですが、この場合ＬＣのアクションはＭＣのアクション欄にお書き頂き、ＮＰＣのアクションは追加したＬＣ欄にお書き下さい。
　また、ＭＣのアクションに一筆「ＬＣがＮＰＣとデートします」とお書き添え下さい。
　この場合、ＭＣがリアクションに登場しなくなりますのでご了承ください。
　個別で公式ＮＰＣを登場させる場合は、どうしても描写量が多くなる為の措置となります。ご了承ください。

■スタッフ四人について
　エース、キング、クイーン、ジャックの四人が警備員兼デート相手としてスタンバイしています。
　彼ら彼女らとデートをする場合、途中で不審者の確保等に協力することになるかもしれません。

■シングルズについて
　代表「ブオトコ」と副代表「シコメ」の男女がまとめている、モテない男女の集団です。
　手を繋いでいるカップルの間を押し通る、記念写真を撮るカップルの周囲に写り込んで雰囲気をぶち壊す、など地味な嫌がらせをしようと考えているようです。
　中には催涙ガスを撒く、などの営業妨害とみなされる嫌がらせをしようと考えているメンバーもいるようです。
　営業妨害とみなされる行為に加担した場合、巡回している警備員に捕まるかもしれません。

・恋人とデート！

・片思いのあの人とデート！

・デート企画に参加！

・シングルズを取り締まる！