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仇討ちの仕方、教えます。(後編)

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シナリオガイド

仇討ちを助けるか、はたまた芝居を楽しむか、それとも――?
シナリオ名:仇討ちの仕方、教えます。(後編) / 担当マスター: 泉 楽

 葦原の町の繁華街、一座を率いる座長の染之助は悩んでいました。
 実はこの一年ほどの巡業の間に、ある娘はこの道を諦め故郷へ帰り、ある娘は見初められて土地の若者と祝言を上げ、殺陣の上手い役者は舞台から落ちて怪我をし、頼りにしていた四枚目は長患い、随一の二枚目は巡業先での色恋沙汰で袋叩きに遭い――と、櫛の歯を挽くように役者が抜けて行ったのです。
 その結果、劇団としての実力の低下――芝居が受けなかった理由の一つはそれだろうとある契約者は言いました。
 何とかなるだろうと高を括っていた己を自省し、染之助は彼らの協力を仰ぎました。
 その甲斐あって、客は大分戻ってきました。
 一つの芝居を五日間上演し、一日休んで、また別の芝居を掛ける――という作戦も功を奏したようです。上演中の「男装剣士仇討旅」が明日終われば、稽古日を一日置いて、別の芝居を掛けることになっています。問題はその後でした。
 実は商売敵である別の一座から、合同公演を持ちかけられているのです。内容は、「祝言を上げた三日後に殺害された夫の仇を討つために旅をする未亡人の物語」で、「男装剣士仇討旅」と同じ敵討ちの物語です。
 話を持ち込んだ男は、自分たちの人数が足りないからと言い訳していましたが、今一つ真意が掴めません。何か裏があるのか、果たして話に乗っていいものかどうか、染之助はずっと悩んでいました。


 四日目の芝居が終わった後、仁科 耀助(にしな・ようすけ)は、丹羽 匡壱(にわ・きょういち)に呼び出されていました。
「いやあ、まさか見てもらえるとは」
「なかなか面白かった。このタイミングで、仇討ち物とは皮肉だけどな」
 五年前、久利生(くりう)藩の勘定方に勤める野木坂 琢磨(のぎさか・たくま)が部下の立花 十内(たちばな・じゅうない)という男に殺されました。その十内が葦原島にいるという情報を得、弟の健吾(けんご)は、琢磨の新妻・千夏(ちなつ)と従者の堀田 卓兵衛(ほった・たくべえ)を連れてやってきたのでした。
 匡壱は頼まれて、その手助けをしています。
「……で、誰が十内なんだ?」
「――何が?」
「とぼけるなよ」
 たまたま十内の似顔絵を見た耀助ともう一人の契約者が、一瞬顔色を変えたのを匡壱は見逃しませんでした。
「おまえら、知ってるんだろう?」
 耀助は寸の間考え込み、誤魔化し切れないと判断しました。
「だけど、あいつが本当にその仇か確かめていないし、大体、そんな奴とは思えないんだけどなあ」
 耀助たちが見た似顔絵は、染之助一座の下足番、左源太(さげんた)にそっくりだったのです。
「殺された野木坂琢磨は、あまりいい人物じゃなかったようだからな。同情の余地があるんだろう。とはいえ、だ」
 仇を取らなければ、野木坂家は取り潰し、健吾と彼の母、千夏たちは路頭に迷うのです。その上、千夏が何者かに誘拐されるという事件まで起きていました。初耳だった耀助は目を丸くしました。
「健吾と卓兵衛は、十内の仕業だと思っている」
「まさか! 左源太はここのところ、一座の仕事で大忙しだったし!」
 とはいえ、耀助には確実なアリバイを証言することは出来ません。
「ちなみにこれが野木坂千夏だ」
と見せられた写真を耀助は引っ手繰り、食い入るように見つめました。
「おおおお……何という美人……太夫とどっちが……」
「なあ、こんな美人が誘拐されて、心配だろう?」
 耀助はこくこくと頷きました。
「許せん! 実にまったく許せん!!」
「な? 助けたいだろ? だったら、手を貸してくれ。本当に左源太とやらが、立花十内なのか、野木坂千夏を誘拐したのかを、調べてほしい」
「了解しましたあああ!!」
 写真を掴んだまま、鼻息荒く吼えた耀助に匡壱は顔を背けると、一人ほくそ笑みました。扱いやすい後輩です。
「こっちはこっちで、彼女の行方を探すから、そっちは頼んだぞ」
「お任せを!!」
 耀助は、千夏の写真に軽く口付けると、大事そうにそれをしまいました。

担当マスターより

▼担当マスター

泉 楽

▼マスターコメント

お待たせしました。「仇討ちの仕方、教えます。」後編シナリオガイドをお届けします。後編からの参加も大歓迎です。その際には、前編を参考に行動を決めてください。

後編も、染之助一座と仇討ちの二つに別れます。基本的に、MCとLCで別行動(芝居と仇討ち、別々に)を取ることは出来ませんので、ご注意ください。
ただし、必要と認められる場合(MC、LCの別行動が同じ目的等)に限り、MCとLCの別行動も可とします。その際でも、一人のPCが二つ以上の行動を取ることは出来ません。

○染之助一座
ガイドの直後に一日置いて、別の芝居を五日間行います。更に一日置いて、別の芝居を上演する予定ですが、この内容が決まっていません。
染之助は、ライバルであるオリュンポス一座から持ちかけられた合同公演を行うべきかどうか、迷っています。多数決(MC、LC含め)で決めたいと思いますので、一座に関連するアクションをかける方は、一言添えておいてください。この件に関しては、ダブルアクションにはなりません。

○仇討ち
千夏はPCの斎藤 ハツネさんたちに誘拐されています。ただし、これはPL情報でPCの皆さんは犯人が誰であるか分かっていません。「探し出す」場合は、その方法をアクション欄に書いてください。
健吾らはこの誘拐の黒幕が十内であると思っています。
十内の正体については、ガイドの時点で知っているのは匡壱、耀助、PCのベルク・ウェルナートさんの三名です。他の皆さんは、「正体を知った」上でのアクションをかける場合、「どのように」知ったかを書いてください。もちろん、健吾も卓兵衛も、十内=左源太であることはまだ知りません。

それでは皆様のご参加をお待ちしています。

NPC情報
▼野木坂 健吾(21):久利生藩の藩士。野木坂家の次男で、国に母親を残し、殺された兄・琢磨の仇である十内を追ってます。琢磨は非常な美形でしたが、健吾はどちらかといえば男らしく、凛々しい顔立ちです。剣術の腕は程々。
▼堀田 卓兵衛(45):野木坂家に仕える人物です。剣ではなく槍を使いますが、腕はあまりよくありません。重傷を負っていますが、何としても仇討ちの行く末を見届けたいと考えています。
▼野木坂 千夏(22):故琢磨の妻。健吾と共に十内を追っています。現在、PCの斎藤 ハツネさんたちに誘拐されて行方が分かりません。
▼野木坂 琢磨:故人。健吾の兄で、千夏の夫。勘定方に勤めていました。性格は陰険で残酷だったようですが、千夏や家族には優しかった模様。祝言の三日後に、十内に殺されています。


▼甲斐 小七郎:甲斐家の養子で若き当主。健吾と卓兵衛は、この家に厄介になっています。仇討ちの話を明倫館に依頼した裏事情については、知らないようです。


▼染之助太夫:二十代前半。芝居の一座の座長。かなりの美人ですが、声はあまり良くなく、男役を専門にしています。殺陣はかなり上手いです。今回、ライバルの一座の申し出を受けるべきか迷っています。
▼左源太:染之助一座の下足番です。その正体は、健吾の兄・琢磨を殺して逃亡中の立花 十内(23)です。ガイドの時点で正体に気付いているのは、匡壱、耀助、PCのベルク・ウェルナートさんの三名のみとなります。また本人は、気づかれたことをまだ知りません。

▼サンプルアクション

・健吾に協力して、仇討ちを成功させる

・千夏を探して助け出す

・染之助一座に手を貸し、芝居を成功させる

・左源太の正体を探る

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年02月16日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年02月17日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年02月21日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年03月05日


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