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ダークサイズ「蒼空の城ラピュマル」計画・後編

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シナリオガイド

カリペロニアが浮遊要塞になったらカッコイイじゃないか
シナリオ名:ダークサイズ「蒼空の城ラピュマル」計画・後編 / 担当マスター: 大熊 誠一郎

「さあ入れっ! この変態め!」

がしゃあああん……

 衛兵の怒号と共に、重い鉄格子の扉が閉まる音。

「超人ハッチャン、大幹部。何故私たちがこんなところに入らねばならんのだ……」

 エリュシオンの首都ユグドラシル。
 その地下にある牢屋に、ダイソウ トウ(だいそう・とう)の声が反響しました。
 ダイソウの隣で超人ハッチャンがつぶやきます。

「どうやら、僕らの外見が引っ掛かったようですね。わいせつ物何とか罪とか言ってたし。あれ? 僕ってわいせつ?」
「何? 私のどこがわいせつだというのだ」

 と、緑色の巨体・超人ハッチャンを見る、軍服を失って下着の上にカーキのポンチョを纏っているだけのダイソウ。
 パラミタ大陸征服のため、浮遊要塞を手に入れるべく、エリュシオンへやってきたダークサイズ。
 しかし、幹部たちに新しい軍服を用意してもらう前に、ダイソウは勝手にアスコルド大帝の王宮の前を、偵察がてらうろついていました。
 それを、王宮前を警備する衛兵にその格好を見咎められ、「怪しい奴!」と捕まってしまったのです。

「いや、アウトだと思いますよ……」
「何故だ。肝心なところは見えないようになっているというのに」
「エリュシオンってそんなにドレスコード厳しいの? ていうか俺、普通の恰好なはずだけど」

 続いて不満を漏らす大幹部クマチャン

「ふむ。お前は内面がわいせつだったということか」
「そんなとこ見られてんすか! ていうか変な設定足さないでよ!」
「しかし困った……これでは浮遊要塞を買うどころではないぞ。シャンバラから遠路はるばるやって来たというのに」
「幹部達を自由行動にしなければよかったですね……早く助けてもらわないと」
「がっはっはっは! お主ら、浮遊要塞が欲しいのか!?」

 暗い牢屋の中に、ひと際太く大きな声が響き渡ります。
 ダイソウ達が向かいの独房を見ると、そこには伸び放題の髭と白髪をたくわえた、超人ハッチャンに迫る巨体の老人が、赤い目を光らせてあぐらをかいています。

「何者だ、お前は?」
「がっはっはっは! 屋敷の主に対して誰だとは、妙な奴じゃな!」
「? ここは牢屋じゃないのか?」
「何? がはははっ! このダイダル卿の屋敷に招かれておいて、そんな冗談が言えるとは酔狂な男よ。よろしい、わしが直々に一献差し上げよう」

 と、ダイダル卿と名乗る巨体の老人は、自分の独房の格子を開け、ダイソウ達の牢の前へ歩み寄ってきます。

「あ、あれっ! ねえ看守! このじいさん牢屋から出ちゃったよ!!」

 慌てるクマチャンの言葉に、遠くから看守からの返事が聞こえます。

「静かにしろ。そのジジイはいいんだ。ここを自分の屋敷だと思い込んでる、哀れな老貴族さ」
「……は?」
「さあ飲め! 義兄弟の杯といこう」

 ダイダル卿はダイソウ達に、差し入れのワインを差し出しました。

「がっはっはっは! エリュシオン北部自慢の葡萄酒だ。好きなだけ飲んでいけ!」
「ダイダル卿とやら、先ほど浮遊要塞がどうとか言っていたが、何か知っているのか?」
「ん? わしゃ、そんなこと言っとらんぞ」
(……何か変なじいさんに絡まれた……)


☆★☆★☆


「さすがエリュシオンですわね。シャンバラとは街並みの美しさが違いますわ。ねえ、モモさん」

 キャノン ネネ(きゃのん・ねね)は、キャノン モモ(きゃのん・もも)を振り返り、嬉しそうに声をかけます。
 ダイソウとは別に、やはり勝手にユグドラシルを観光して回るキャノン姉妹。

「そうですねお姉さま。あの苦労を乗り越えてくるだけの価値があるというものです。ね、サンフラワーさん」

 モモはさらに、ダークサイズの宿敵・秋野 向日葵(あきの・ひまわり)を振り返ります。
 今回の旅で、すっかり『サンフラワーちゃん』のニックネームが定着してしまった感のある向日葵。
 その向日葵。エリュシオンまではおとなしく着いてきたものの、ここでついに本来の目的を遂げるべく、キャノン姉妹に宣戦布告。

「ふっふっふっふ。やいダークサイズ! ついにあたしの目的を達成する時が来たようね。浮遊要塞なんて絶対渡さないよっ!」

 ビッと指をさし、向日葵はキャノン姉妹に、今度こそ敵対姿勢を明らかにしました。
 それを聞いて、キャノン姉妹は目を合わせ、

「そういえば浮遊要塞を買いに来たのでしたわね」
「そうでしたね。忘れていました」
「ちょっと! 目的忘れてんじゃないわよ!……ていうか、しまった……」
「ええ。あなたが言わなければ、普通に観光して帰ってしまうところでしたわ」
「そうよね……言わなきゃよかった……」

 放っておけば、浮遊要塞計画を阻止できたかもしれない向日葵。
 彼女は墓穴を掘ってうなだれます。
 そんな三人のやり取りを見つけ、驚いた顔をしている二人の青年貴族がいました。

「な……! あれは、おいヘルメェス!」
「ああ、分かっているアポロ。何てことだ、驚いた! あれは見まごうことなき……」
「キオネっ! キオネーーっ!!」

 二人は驚きと喜びの顔で、ネネに走り寄ります。

「曲者……っ!」

バキイッ!!

「ぎゃー!」

 反射的に、二人をサーベルの鞘で叩きのめすモモ。
 アポロとヘルメェスは、モモに殴られた鼻を押さえながら、

「キオネ! 生きていたのか! 何故私たちに顔を見せてくれなかった!?」
「キオネ? どなたですの?」
「キオネ!……の、はずはないか……」
「やはり、他人の空似か……」

 打って変わって表情が暗くなるアポロとヘルメェス。
 可哀そうに思った向日葵が、二人に事情を聞きます。


☆★☆★☆


 アポロとヘルメェスは、エリュシオンの北方地域にある、選定神アルテミスが治める街『アルテミス』に住む貴族。
 そこで二人は、一人の美しい娘キオネに恋をし、求婚していました。
 その容姿はネネに瓜二つだと言うのです。
 しかしその美しさのあまりキオネは、

「私はアルテミスより美しい」

 と思いあがってしまいます。
 エリュシオンの選定神の中でも美しく、かつ嫉妬深いアルテミスは『不敬の罰』と称してキオネを殺めてしまったのです。
 アルテミスの怒りはそれで収まらず、キオネの父・ダイダル卿にも及びました。
 アポロとヘルメェスは、ダイダル卿の記憶と正気を奪い機晶石に封じ込め、狂気の無害な老人にすることによって、彼の命だけは助けるよう懇願しました。
 アルテミスは思いとどまったものの、ダイダル卿を『アルテミス』から追放、ユグドラシルの独房に閉じ込めることで、ようやく怒りを鎮めたのです。

「私たちはキオネを愛した。しかしそれに劣らず、私たちはダイダル卿を尊敬している」
「ああ。同じ女性を愛してなお、私たちが親友でいられるのは、ダイダル卿への敬意があるからだ」
「君たちはシャンバラから来たと言ったな……頼む! ダイダル卿をシャンバラへ連れて行ってくれ!」
「ダイダル卿が地下牢暮らしを強いられるなんて、私たちには耐えられない! たとえエリュシオンを離れても、ダイダル卿には以前の卿でいてほしいのだ」
「キオネに瓜二つの君になら、喜んでダイダル卿の身元引受人を任せられる。卿も喜ぶだろう」

 アポロとヘルメェスは思いのたけを語りますが、モモには一つ気になる点があるようです。

「現在シャンバラとエリュシオンは戦争状態にあるそうです。あまり派手に動くのは危険ですし、救出に成功しても、あなた方はダイダル卿に会えなくなるかもしれませんよ?」
「心配いらない。私たちもそこまで子供ではないし、君たちの身元も『アルテミス』の市民と偽装しておこう。シャンバラの民とバレれば、エリュシオンの龍騎士も黙っていまい」

 と、二人の話に目を光らせたのはむしろ向日葵。

「まっかせなさい! そのお父さんを連れて、シャンバラへ帰ればいいんだね! どう、キャノン姉妹。面白そうじゃない?」
「サンフラワーさんがそう言うなら構いませんわ。面白そうなイベントですもの」
「お姉さまがそうおっしゃるなら、私も構いません」

 ネネとモモが同意すると、向日葵は隠れてニヤリとします。

(ふふふ。ダイダル卿を助け出すなんて、きっと大変に違いないわ。浮遊要塞どころじゃなくなってエリュシオンを脱出せざるを得ないはず。結果的に浮遊要塞獲得を阻止だね! あ、ダークサイズはシャンバラ人だって密告してもいいかも。やったー、今回のあたし、超有利じゃんっ!)

 アポロとヘルメェスは、三人の手を取って感謝の意を表します。

「おお、やってくれるか! 私たちは土着の貴族。シャンバラへは行けないが、できうる限りの支援もしよう」
「具体的に何をすればいいのですか?」

 モモが喜ぶ二人に尋ねました。

「ダイダル卿を地下牢から連れ出して、『アルテミス』の近くにあるパルナソス山へ行ってほしい。その頂上の神殿に、卿の記憶と正気を封じた機晶石がある。それを解放すれば、後は卿が何とかしてくれる」
「卿の救出ももちろんだが、選定神アルテミスにも気をつけろ。卿はおろか、キオネにそっくりな君の姿を見れば何を仕掛けてくるかわからん」
「よく分かりましたわ。ではダークサイズの幹部たちが自由行動から戻るまで、ユグドラシルを案内してくださいません? 温泉も行きたいですし、服も新調したいですわね」

 ネネは、ダイダル卿救出の前に観光を楽しんでおこうと、アポロとヘルメェスに案内を依頼します。

「もちろんだ! 私たちもキオネとの楽しい思い出が蘇る。さあ!」

 と、アポロとヘルメェスは横並びで四つん這いになり、その上に乗るようネネに促します。

「ああ、このヒールの圧迫具合! 思い出すなぁ、アポロ!」
「そうだなヘルメェス! 『アルテミス』では毎日のように、こうやって三人でデートをしたものだ」

 ネネを乗せて、アポロとヘルメェスは馬のように闊歩し始めます。
 それを後ろから見ている向日葵とモモ。

「キオネって……どんな人だったんだろうね」
「……深く考えないようにしましょう」

 エリュシオンまでやって来て、いざこざに巻き込まれたダークサイズ。
 外からダイダル卿救出に動くキャノン姉妹組と、ダイダル卿に偶然出会ったダイソウ組。
 こんな調子で浮遊要塞を手に入れることはできるのでしょうか……

☆シナリオガイド現在、ダイソウ達はキャノン姉妹の状況やアポロ、ヘルメェス、キオネのことは知りません。
☆キャノン姉妹と向日葵は、ダイソウ達が地下牢にいてダイダル卿と出会っていることは知りません。
☆ダイソウ、超人ハッチャン、クマチャン、ダイダル卿はシャンバラとエリュシオンの戦争状態の事を知りません。





※『ダークサイズ「蒼空の城ラピュマル」計画・前編』に参加したキャラクターは、「○○に留まった」など明確な描写がない限り、エリュシオンからスタートすることができます。
※キャラクターが一人でもエリュシオンに到着していれば、パートナーもエリュシオンからスタートすることができます。
※前編で参加できなかった方は、シャンバラかカナンからスタートとなりますが、エリュシオンへは遅れて合流することができます。
※このシナリオはスペシャルシナリオのため、他マスター様やグランドシナリオへ影響を及ぼすことはできません。(アクションがあった場合、未遂として描写されます)




担当マスターより

▼担当マスター

大熊 誠一郎

▼マスターコメント

みなさんこんにちは、大熊誠一郎です。
お待たせしました。蒼空の城ラピュマル計画・後編でございます。

エリュシオンでの新キャラ、ダイダル卿にアポロにヘルメェス。
お茶を濁されましたが、どうやらダイダル卿をパルナソス山に連れていくのが、浮遊要塞のカギとなっているようです。向日葵はまだそれを知る由もないようですが……
選定神の一人、アルテミスも気になる所ですが、とんでもなく強い気がします。
ガイドが長めになってしまいましたが、ぜひ彼らをいじってあげてください。

ダイソウ達を戦闘で救出するのか、それとも交渉で連れ出すのか、選定神アルテミスをどう動かすのか、みなさんのアクションが楽しみです。
ご参加をお待ちしてます。


▼サンプルアクション

・ダイソウトウたちの救出に向かう

・ダークサイズに加入しにいく

・エリュシオンを観光する

・秋野向日葵と共に、浮遊要塞獲得を阻止する

・『アルテミス』を調査しに行く

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2011年03月10日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年03月11日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年03月15日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年04月19日


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