百合園女学院

　
「汚名挽回の機会が来たわね」
「…………」
　鏖殺寺院メンバー、クトニアは、命令を受けた仲間を生温い目で見ます。
「ここまで、王宮関係者の襲撃一度も成功しなかったダメ盗賊のアンタが、大丈夫なのか？　エナリア」
「今度こそやる。ウーリア様のお役に立つのよ！」
「……この命令、グランディエ様から出てるんだけどね」
「アンタだって、襲撃で怪我してスゴスゴ帰ってきたじゃないの！」
「ふん。それじゃあこっちも、名誉挽回といきますか」

「成程、旧時代の転移装置があるわけだ」
　ハルカに憑依した鏖殺寺院の奈落人、レリ・ウーリアは、彼女の記憶を読み取って、オリヴィエ博士達がこの界隈にいた理由を知りました。
　はっきりとした場所は解りませんが、かつてのオリヴィエ博士の師である宮廷魔導師の庵が、ひっそり建っているのです。
　そこにある転移装置で、女王殺害を企むオリヴィエ達は、一気に祈祷所へ向かうつもりでいたのでした。
　オリヴィエと巨人アルゴスは分かれましたが、巨人は計画を中止せず、そのまま庵に向かうようです。
　ウーリアはほくそ笑みました。
「ふっ。有難く、使わせて貰おうか」


　一方、先のオリヴィエとの会話からその情報を得た、代王高根沢　理子（たかねざわ・りこ）は、イルミンスール校長のエリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）に、対応を相談しました。

「テレポートしてくる場所が、はっきりしてるのならぁ、ブロックすることも、可能ですぅ」

　エリザベートはそう言って、練り上げた護符を渡しました。
「使い捨てなのでぇ、気をつけてくださいねぇ。
　一度ブロックしたら、効果はなくなりますぅ」

　更に、王宮警備も、襲撃に備えます。
「そのゴーレム、あたしが乗ってみようと思うんだけど」
　理子は、先の戦闘時に回収されたゴーレムを、王宮警備に利用するつもりでいます。
　イコンが持てなかった巨人の剣は、ゴーレムの手でなら持つことができました。
　盾は、ゴーレムの一部であるようで、イコンが持っても効果が現れません。
「だけど？」
「うーん」
　理子は、布陣に迷っているようです。


　鏖殺寺院幹部、グランディエは、オリヴィエ博士のゴーレムに興味を持っていました。
「ついでに、奴のゴーレムを搾取できないか？」
　女王憑依の余得で得られるとは考えていません。
　女王憑依の時点で、敵に回るか撤退するだろう、と思っているからです。
　オリヴィエの住まいも、既に使い魔により判明しています。
　彼は更に深い調査と、状況により簒奪実行、と部下達に命じました。

「さてと、俺はどう動くかな……？」
　グランディエは谷底を見下ろしました。
　オリヴィエ博士が落ちて行った、ごうごうと川の流れる、深い谷を。

　こちらのシナリオガイドでは、シャンバラ女王の名がありますが、パラミタのために祈りを捧げる女王を守るのが目的ですので、シナリオ内で会うことはできません。

　後編のご案内です。
　プレイヤー情報が多くなってしまいましたが、それを気にしてやりたいことが出来ないと残念ですので、あまり気にしないでアクションをかけてくださって構いません。

　理子はゴーレムの使い道に迷っています。
　理子に関わるアクションではなくても、用途の提案をしてくださると喜びます。
　基本的に多数決で決めます。

　よろしくお付き合いお願いします。


　当シナリオの素敵扉絵は、秘鷺絵師様に描いていただきました。
　ありがとうございました！

・巨人を探し、戦って倒す

・ウーリアを倒す

・オリヴィエの捜索・救出