百合園女学院

　２０２４年、夏の初めのこと。
　好評だった、契約者の遠足が再び行われることになりました。
　行先は今回も地球の日本です。

　現在、ロイヤルガード隊長の神楽崎　優子（かぐらざき・ゆうこ）は、地球の病院に入院しています。
　パートナーのアレナ・ミセファヌス（あれな・みせふぁぬす）は、優子の世話と迎えに行く準備をしていました。
　優子のもう一人のパートナーであるゼスタ・レイラン（ぜすた・れいらん）も一緒に地球に向かう予定です。
　団体料金で日本に行くことが出来るため、アレナ達は遠足にも参加する予定でした。

「かんりにんさんからカギかりて、あけてください……っ」
「いや、鍵なら持ってるけど」
　空京のロイヤルガードの宿舎に訪れたゼスタは、中から聞こえたアレナの声に違和感を感じながら、合い鍵で玄関のドアを開けました。
「……アレナ？」
　こくこく泣き出しそうな顔で小さな女の子が頷いています。
　ドアの向こうにいたのは、普段の彼女ではなく、幼児化したアレナでした。
「ああ、リーア・エルレン（りーあ・えるれん）の遠足用の薬飲んだのか」
　苦笑しながらゼスタが尋ねるとアレナは涙目で首を強く縦に振りました。
「おきがえもっていけません……。おりょうりもできなかったです」
　小さな彼女にはドアの鍵さえ開けられませんでした。
「肩車してやろうか……いや、頭の上で包丁持たれたら怖ぇな。ま、料理は必要ないって。病院食があるからな。
　荷物は持ってやってもいいが、あっちの家族が用意してると思うから、いらないんじゃないか？」
　ゼスタはアレナが用意した優子の着替えが入ったバッグに目を向けて……その隣に、鉢植えの花がある事に気づきました。
「わかばぶんこうのみんなからの、おみまいのおはなです！　これはわたしがもっていきます」
　分校の花壇に植えられているカーネーションです。
「日本の病院に鉢植えの花はどうかと……」
「にほんでは、おかーさんにありがとうってカーネーションおくるそうなんです。このおはな、わかばぶんこうのだいひょうの、ゼスタさんからっていいますからあんしんしてください〜」
「やめろー、俺が常識のない奴だと思われるだろ、留学経験あるのに。
　……ん？　このクッキー」
　笑いながらゼスタは言い、テーブルの上に置いてあったクッキーをつまみました。
「……あっ！」
　小さなアレナは植木鉢を持ちながら、室内の少しの段差に躓いてしまいました。
「っと！」
　瞬時に、助けようとしたゼスタはクッキーをそのまま飲み込んでしまいました。
「うー……。だいじょうぶです、うえきばちへいきです。ありがとうございました。……？」
　アレナが起き上がって顔を上げた時、ゼスタの姿はありませんでした。
（……油断したーーーーーー）
「あれ？　うさちゃんがいます」
　代わりに、長い茶色の毛の子兎がいました。
　その時。
「アレナ、準備出来た？」
　チャイムが鳴り、声が響きました。
「あ、はい。いま、いきますー」
　アレナは植木鉢を抱えたまま、とてとて走って、玄関に行きました。
「あらま、もう薬飲んじゃったの？　皆気が早いんだから」
　迎えに来てくれたのは、宮殿で一緒に仕事をしている十二星華のセイニィ・アルギエバ（せいにぃ・あるぎえば）達でした。
「いきますわよ」
「おやつ、よういできてる、わ」
　セイニィは大人のままでしたが、ティセラ・リーブラ（てぃせら・りーぶら）、パッフェル・シャウラ（ぱっふぇる・しゃうら）の２人も幼児化していました。
「ん？　動物連れていくのね。おいで、ウサ公」
　子兎に気付き、セイニィは捕まえる為に部屋に入りました。
「キーッ（来るなッ）」
「こら、逃げるな！　一緒に行かないと、餌もらえないわよ」
　子兎は部屋の中を逃げ回りましたが、走り方がおぼつかなく、テーブルの脚に頭をぶつけて倒れてしまいました。
「よし、捕まえた」
　セイニィは子兎を捕まえると、動物用のキャリーバッグの中に入れました。
「それじゃいくわよ」
「あの、ゼスタさん？　さきにいってますね」
　アレナは部屋に向かって言うと、セイニィに連れられて遠足の集合場所へと向かって行きました。

　今回の遠足の場所は『動物公園』です。
　動物園に遊園地、プールや花火が楽しめる子供向けのレジャー施設です。
　動物と触れあるコーナーもあり、自分のペットを持ち込むこともできます。
「カメラちゃんともったか！　こんかいもたくさん、とるぞー」
「おー！」
　幼児化した若葉分校生のブラヌ・ラスダーと悪友たちは意気揚々と新幹線に乗り込みました。
「せんせー、よろしくおねがいします」
　ぺこりとセイニィに頭を下げていたのは、幼児と化した泉　美緒（いずみ・みお）です。
「あたしは先生じゃないわ……。ああでも、なんだか優越感……このままの姿で、この子達と過ごすのも悪くなさそう」
　セイニィはぺったんこの美緒の胸を見て、不思議な幸福感を感じていました。
「だまされたーですわー。じぶんのこどものころのすがたになるってきいてたのにぃ〜ですわ」
　子モモンガと化したブリュンヒルデ・アイブリンガー（ぶりゅんひるで・あいぶりんがー）は、隅の方でいじけていました。
　幼子とはいえ、人間の姿になれるのかと思って魔法薬入りジュースを飲んだのですが、幼いモモンガに変わっただけでした。
「さ、行くわよー。はいはい、動物はケージに入れてね」
「あ、わたしは〜」
　ブリュンヒルデ……ペロ子はリーアの手でケージの中へと入れられてしまいました。
　今回、リーアが遠足参加者に提供した薬入り飲食物は「ジュース（幼児化）」「クッキー（子兎、子猫、子犬のいずれかに変化）」です。
　動物公園では、リーアの他、百合園卒業生の風見　瑠奈（かざみ　るな）が子供達の面倒を看てくれるそうです。

　さて、子供たちと動物たちの楽しい遠足が始まります！

こちらは、幼児化、動物化して、遠足を楽しむお話となっております。
地球の動物公園で一日めいっぱい遊んでいただけますが、リアクションでメインで描写されるシーンは１シーンのみとなります。
どのシーンの描写が必要なのか、わかるようにしていただければと思います。

【舞台情報】
埼玉県にある『東武動物公園』を低学年向けにしたようなレジャー施設です
遊園地で遊んだり、動物と触れ合ったり、プールで遊ぶ事も出来ます。

【登場ＮＰＣ】
ガイドに名前が登場しているＮＰＣには、シナリオに沿った形で絡んでいただけます。
ただ、独占した描写が必要な場合には、ＮＰＣ描写分のＬＣの追加をお願いいたします。ＮＰＣ分として追加したＬＣはシナリオに登場いたしません。
また、ＮＰＣ分として追加したＬＣ欄にＰＣのアクションは書かないでください。

マスターＮＰＣにつきましては、遠足に行ってもおかしくない連絡がとれるＮＰＣについては、遠足にお誘いいただいても構いません。
ガイドに名前が登場していないマスターＮＰＣお誘いの際や、ガイドに登場していても独占した描写が必要な場合は、ＮＰＣ描写分のＬＣの追加をお願いいたします。
ＮＰＣ分として追加したＬＣはシナリオに登場いたしません。

※公式ＮＰＣにつきましては、ガイドに登場しているＮＰＣのみ、登場可能となります。

【遠足注意事項】
・武具とスキルは無効になり使うことは出来ません（幼児化、動物化時）。
・幼児化、動物化しないキャラも、武具の持ち込みは禁止となります。
・ＭＣ１人で参加する場合は、幼児化か動物化してください。ＬＣと複数人で参加する場合は、幼児化、動物化しないＰＣは１人まででお願いします。
・ＮＰＣを誘った場合、両方、もしくはＮＰＣか自分のどちらかが幼児化、動物化するとしてください。
・幼児化の際の年齢は小学生未満（小学生は不可です）くらいの年齢で自由に設定できます。
・幼児化の場合の外見は自分の子供時代のものとなります（子供時代のない種族も、幼児化します）。普段の記憶も普通にありますが、思考回路も幼児化しており、難しいことは理解できません。
・動物化した場合、言葉をしゃべる事は出来ません。吠えたり、鳴き声を上げることは可能です。意識、知能は普段のままです。
・必要に応じて幼児化、動物化するＰＣのアクション欄に、設定（何に変わるか、年齢、喋り方、性格等）をご記入下さい。

【優子のお見舞い】
『【終焉の絆】時代の終焉』に参加された方とパートナー、及び、優子、アレナ、ゼスタのいずれかとの友人以上（信頼、親友等）の称号をお持ちの方は、お見舞いアクションもＯＫとさせていただきます。
また『【終焉の絆】時代の終焉』に参加された方は、自身（捕らえられていたＰＣでも）も優子と同じ地球の病院に入院しているとしていただいても構いません。優子関係なく、自分のＰＣ同士のお見舞いアクションもＯＫとさせていただきます。
幼児化、動物化もしなくても構いませんが、申し訳ありませんが、公式ストーリーに関しての情報を得ようとするアクションは禁止させていただきます。

このシナリオ以外の話題の持ち込みは、川岸が担当したシナリオの話題のみでお願いします。
称号で確認できるＮＰＣとの関係は、他マスターのシナリオで発行されたものであっても、参考にさせていただきます。

それでは皆様のアクション、楽しみにお待ちしております！

・幼児化して遊ぶ（白紙対策）

・プールに入る

・動物と触れ合う

・コースターに乗る！