薔薇の学舎

　「皆さんなら、このタシガンで、シャンバラで、新しい未来を築くことができると信じています」

　イスラエル外務大臣ハイサム・ウスマーン・ガーリブは無事に帰国しました。
　タシガンへの移民についての話は、
　シャンバラの情勢が安定後に改めて前向きに検討する方向で話がまとまりました。
　薔薇の学舎につかの間の平穏が訪れたのです。



　
　会談で仮面を外して見せ、
　かつて、親友を殺した後、自ら命を絶とうとした時の傷があることを告白した
　ルドルフ・メンデルスゾーン（るどるふ・めんでるすぞーん）でしたが、
　また、いつものように仮面をつけて生活しています。

　「このことで皆に余計な心配はかけたくないからね。
　　今までどおりにしているつもりだ」

　パートナーのエリオ・アルファイ（えりお・あるふぁい）に、
　ルドルフはそう告げました。




　広大な屋敷の部屋で、
　タシガン家当主アーダルヴェルト・タシガンに、
　一人の吸血鬼の男が接触していました。

　「鏖殺寺院のジャルディニエと申します」
　「＜庭師＞だと。ふざけた名だ」

　アーダルヴェルトは、冷たい視線をジャルディニエと名乗った男に向けました。　
　しかし、続けられる言葉に戸惑います。

　「私が、貴方様の身に流れる神子の血を正統なものとしてさしあげましょう」

　遺跡で発見されたアディーン達、剣の花嫁をさらうことを、
　ジャルディニエは提案しました。

　ジャルディニエは神子を人工的に作り出す研究を行っていたのです。
　その成果を応用すれば、
　剣の花嫁に封じられている女王器の力で、
　アーダルヴェルトを神子として目覚めさせられるというのです。

　「私と密約を。
　　このタシガンの地に、貴方のお好きな『蒼き薔薇』を咲かせて見せましょう」

　ジャルディニエはひざまずいてアーダルヴェルトの手の甲に口付けました。

　（我が血を正統なものに。人の奇跡と、女王の祝福の『蒼き薔薇』のために）

　アーダルヴェルトは受け入れたのです。




　薔薇の学舎では、
　ジェイダス・観世院（じぇいだす・かんぜいん）の提案で、
　文化祭が開催されようとしていました。

　会談での薔薇学生クライス・クリンプト（くらいす・くりんぷと）や、
　瑞江　響（みずえ・ひびき）からも意見のあった、
　タシガンの民との文化的交流を図るイベントを行うことになったのです。

　ジェイダスは、遺跡から連れ帰ったものの、いまだ眠ったままの、
　二体の男性型剣の花嫁を目覚めさせると言います。

　アディーンが目覚めた後、羽扇の光条兵器――女王器が出てきたので、
　あとふたつある女王器を手に入れるためにも、剣の花嫁を目覚めさせる必要があるのです。

　「美しい宴を開けば、おのずと目も覚めるであろう」

　そうジェイダスは言いますが、
　実際には、剣の花嫁達は、天魔衆をおびき寄せるための囮でもありました。

　
　梶原大河は薔薇学に迎え入れられ、
　学生達とともに、二体の剣の花嫁の警備にあたります。
　剣の花嫁は、片方は金髪、片方は黒髪の美青年です。

　アディーンは文化祭にタシガン地元の若い女性も参加するので、
　ほとんど遊び気分ですが、

　「俺とアンタは一応パートナーだから。
　　それに、薔薇学には助けてもらった恩義があるだろ」

　と大河に押し切られ、警備に参加させられています。


　警備には、イエニチェリのルドルフ、
　ディヤーブ・マフムード（でぃやーぶ・まふむーど）、
　中村　雪之丞（なかむら・ゆきのじょう）、
　雪之丞のパートナーのブルーノ・ベリュゲングリューン（ぶるーの・べりゅげんぐりゅーん）らも参加します。



　
　一方、ジャルディニエは、
　遺跡を拠点とした第六天魔衆の頭、織田　信長（おだ・のぶなが）の元に赴き、言います。

　「アーダルヴェルト卿の大義のため貴方様のお力をお借りしたいのです。
　　剣の花嫁は二体。
　　女王器はふたつ。
　　成功の暁にはひとつは貴方様にさしあげましょう」

　


　再び、アーダルヴェルト卿の屋敷にて。
　上杉謙信は、アーダルヴェルトに呼び出されていました。

　「おまえは薔薇学生の信頼をある程度は得ているはずだ。
　　我が家臣として、ともに警備に参加し、
　　天魔衆襲撃の隙を作り出すのだ」

　「御意」

　　謙信は複雑な感情を胸にしまい頭をたれました。

　砂上楼閣　第二部は、【前編】【後編】の２話構成です。

　抽選では、薔薇の学舎が有利となります。


■シナリオでの情報の扱いについて

　第一部で明らかになった情報は、一旦整理され、
　シナリオに参加するすべてのＰＣが知っているものとしてかまいません。

　ただし、第六天魔衆メンバーの正体に関してだけは、
　薔薇学側、天魔衆内部ともに、明らかになっていません。
　もちろん、接触して正体に気づいた描写のある方はこの限りではありません。

■ＢＬ描写について
　
　第一部では制限させていただいておりましたが、
　第二部からは、積極的なＢＬアクションが可能となります。
　
　それでは、皆様のアクションをお待ちしております。

・文化祭の警備を行う

・剣の花嫁を目覚めさせる

・アーダルヴェルトに協力し、剣の花嫁を強奪する

・ジェイダス様とお近づきになる