薔薇の学舎

　蒼空学園では様々な生き物が飼育されています。
　パラミタに原生している生き物もいますし、地球から持ち込まれた生き物もいます。
　これら生き物を飼育するのは、『生き物係』の生徒の役目です。

「うっさぎさん♪　うっさぎさん♪」

　オリジナル鼻歌を口ずさみながら、楽しそうにスキップし、バケツいっぱいの餌を運んでいるのは守護天使のマリエル・デカトリース（まりえる・でかとりーす）です。
　彼女も生き物係で、今日はウサギ小屋の当番のようです。
　バケツの中にはキャベツやにんじんの葉、リンゴなどの他に、肉塊も覗いています。
　肉塊……？

「うっさぎさん♪　うっさぎさん♪　……ってあれ？」

　マリエルがウサギ小屋に来ると、いくつかあるウサギ小屋のうち、一番頑丈な鉄製のウサギ小屋の扉が開いており、中にいるはずのウサギが一匹もいません。
　他のウサギ小屋のウサギはちゃんと扉が閉まっており、マリエルが持ってきた餌を今か今かと待ち構えています。

「あれ？　このウサギ小屋のウサギは確か……わきゃ！？」

　ウサギ小屋の鍵はマリエルが持っていますが、扉の鍵が壊されていました。
　次の瞬間、マリエルの首もと目掛けて、鋭い閃光が襲いかかってきます！
　マリエルは上半身を仰け反らせて、辛うじて鋭い閃光を避けました。
　それはウサギの鋭利な前歯でした。

「そうだ！　この小屋に入っていたウサギさんは、パラミタヴォーパルバニーさんだよ！！」

　パラミタヴォーパルバニーは、パラミタに原生しているウサギの一種といわれています。
　ウサギは基本的に草食ですが、このパラミタヴォーパルバニーは肉食で狩りをするといわれています。
　先程マリエルが避けましたが、気配を殺して物陰から獲物に飛来し、鋭い前歯でその首を狩るそうです。
　パラミタヴォーパルバニーの名前の由来も、その狩り方法から付けられたと言われています。
　マリエルが持ってきた餌の中に肉塊があったのも、このパラミタヴォーパルバニー用の餌です。

「確か、ウサギ小屋の中にはパラミタヴォーパルバニーが１０匹いたよね」

　マリエルは自分の様子を伺うパラミタヴォーパルバニーから視線を外さないように、蒼空学園の制服の上着のポケットに入れてある携帯電話を取り出し、パートナーの小谷　愛美（こたに・まなみ）に電話を掛けました。
　視線を外せば再度首を狩ってくることは間違いないからです。

「もしもし、マナ？　ちょぉっとまずいことになっちゃったから、ルミーナさんに連絡入れてもらえないかな？」
『校長室の近くにいるからすぐ連絡できるけど、どうしたの？』
「首を狩られそうなんだよ」
『え？』
「だから、ウサギさんに首を狩られそうなんだよ。パラミタヴォーパルバニーが１０匹逃げたって言えば、ルミーナさん、分かると思うから」
『う、うん、分かったわ』

　受話器越しに愛美の気の抜けた返事が聞こえてきます。
　彼女はパラミタヴォーパルバニーの事を知らないようです。

　しばらくして、ルミーナ・レバレッジ（るみーな・ればれっじ）の全校放送が聞こえ、パラミタヴォーパルバニーの捕獲作戦が開始されることになりました。

　時間帯はお昼休み中です。
　ルミーナより全校放送があり、逃げ出したパラミタヴォーパルバニーを捕獲するのが目的です。

　蒼空学園の生徒以外も、友達を訪ねに来ていた、カフェテリアを利用していた等の理由で、シナリオに自由に参加できます。

　パラミタヴォーパルバニーは体長３０〜５０ｃｍ程と大きめのウサギです。
　白い体毛をしており、鋭い前歯が特徴的です。
　音もなく物陰に潜んで気配を消し、獲物が油断したところへ飛来してその首を狩る、という狩猟方法を採ります。
　シャンバラのいち蛮族は、このパラミタヴォーパルバニーを飼い慣らし、首を狩らせて干し首を作っていたという逸話もあるほどです。

　蒼空学園では１０匹が飼育されており、マリエルが餌をあげに来たときには１０匹全部が逃げてしまっていました。
　現在、そのうちの１匹がマリエルと対峙しており、残り９匹を捕獲して下さい。

　武器や攻撃スキルは使用しても構いませんが、出来るだけ殺さないよう注意してください。
　ただし、首を狩られてしまっては元も子もありませんので、万一の時は応戦していただいて構いません。

　なお、シナリオガイド本文に登場している愛美とルミーナも捕獲に参加します。
　ルミーナ達に協力するのもひとつの手です。

・パラミタヴォーパルバニーを戦って捕まえる

・パラミタヴォーパルバニーを罠で捕まえる

・マリエルを助けに行く