シナリオガイド
さあ、冒険の時間です! 蒼空のフロンティアに飛び込む準備はOK?
シナリオ名:【初心者さん優先】ダンジョン☆鍋物語 / 担当マスター:
桂木京介
※このシナリオは初心者さん優先です。
『蒼空のフロンティア』で初めて遊ばれる方に参加枠をお譲りくださるよう、どうかご協力をお願い致します。(「追加参加受付中!」になりましたら、どなたでもご参加ください)
なお、このシナリオには特別ルールがあります。マスターコメント欄も注意してお読み下さい。
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蒼空のフロンティアの世界へようこそ。
はじめての人、どうぞこのお話を、あなたの異世界物語の第一歩として下さい。
まだまだ駆け出しの人も、ここで経験を深めてみてはいかがでしょう。
このお話は、そんなあなたのための冒険譚です。
この日、何度目かの『この冬一番の寒さ』がやってきました。
寒さ増しゆくこのごろとはいえ、今朝はとりわけ冷えます。指の先まで冷気がしみこんでくるような心地です。
ここはイルミンスール魔法学校、白い息を吐きながら、フィリップ・ベレッタ(ふぃりっぷ・べれった)は校長室のドアをノックしました。
……返事がありません。
「先生、フィリップです。校長先生」
今度は声を出してノックを繰り返しました。やっぱり返事がありません。
「おかしいなあ……? 呼び出したのは先生のはずなのに」
「おはようございます」
フィリップに呼びかける声の主は、同級生の小山内 南(おさない・みなみ)です。
「校長先生、出ませんか?」
南も昨夜遅く、校長先生に呼び出されたのでした。
外はまだ暗いとはいえ、時刻はそろそろ午前六時になります。校長が来ていてもおかしくありません。南は、しばらく思案していましたが、
「失礼して……」
と、ドアノブを回しました。案の定ドアは開いていました。
ぽっ、とやわらかな空気が二人の頬をなでました。校長室は外とはまるでちがって、綿でくるまれたようにぽかぽかとあたたかです。煉瓦で組んだ暖炉が、あかあかと火を燃やしています。
そして、その部屋の中央、執務机の前では、ふかふかの椅子に体をしずめて、校長のエリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)が寝息を立てているのでした。
「寝てないですぅ! 寝てないですよぅ!」
揺り起こされたエリザベートは、目をつぶって休憩していただけ、と抗弁して、どうしても寝ていたと認めないのでした。
「そんなことより……」
彼女は目をこすって、今朝二人を呼びつけた理由を語ったのです。
広大なイルミンスールの森には、様々なものが隠されています。
数ヶ月前に発見されたダンジョンもその一つです。
古代遺跡を内部に含む巨大な階層構造、このダンジョンにはゴブリンの一部族が住みつき、地上攻撃の計画を練っていました。ここに迷い込んだ生徒を救うため、魔法学校主催の大がかりな探索が行われたことがあります。
探索の際にはゴブリンとの激しい戦いが繰り広げられました。しかしその後ゴブリンとの和解が成立し、相互不可侵条約が締結されています。ゴブリンは地上侵略を放棄し、年一回、イルミンスールの生徒がこのダンジョンで訓練することも認められました。
ところが、ここにきて事情が大きく変化したというのです。
「昨日、ゴブリンの代表者が面会を求めてやってきましたぁ」
ゴブリンの面会理由は、意外といえば意外なものでした。
彼らは、かつて諍いがあったはずのイルミンスール魔法学校に救援を懇願しにきたのです。
まず、エリザベートを驚かせたのは、ダンジョンの構造が一変したという情報でした。地殻変動級といっていいほどの巨大な変化が発生したといいます。もともとこのダンジョンは、地下十六層にわたる階層構造を持っていたのですが、ある日突然、その第十層にあたる壁面からどろどろのマグマが流入、このフロアの約半分を焼き尽くし、それより下の層を押し潰してしまったのです。
それだけでも大災害ですが、本当の問題はこちらにありました。火山流が収まったと思いきや……、
「なんだかお鍋の具っぽいものがわさわさと侵入してきたらしいのですぅ」
「お鍋の具、ですか?」
フィリップと南は顔を見合わせました。言っている意味がよくわかりません。
「だから、日本風のお鍋の具なんですぅ。カニとかエビ、白菜やシイタケとか……海鮮鍋ですねぇ」
まったくもって意味がわかりませんが、なんとこれは事実なのでした。
最初に姿を見せたのは、ズワイガニそっくりの巨大生物でした。その大きさたるやサイほどもあります。長い脚、強力なハサミ、そして、陸上でもすいすいと高速で移動するこのカニが大量にやってきたのです。にも、自動車ほどある巨大なエビ、ごろごろ転がって襲ってくるやはり巨大なホタテ貝、外の葉を変形させて足のようにし、ひょこひょこ歩く白菜や、ぴょんぴょん飛んでくるシイタケなどが目撃されています。
「なんとも美味しそ……いや、種類が豊富な怪物たちですねぇ。けれど……」
これだけだとコミカルなお話ということですむのですが、実は、出現した海鮮鍋軍団(?)は、なんとも凶暴なモンスターなのでした。総勢数百という規模で軍隊さながらに襲いかかり、ゴブリンを殺戮し追い立て、ダンジョン内をほぼ制圧してしまったのです。
見た目が愉快なだけにずいぶんと、邪悪な冗談のような印象がありました。カニやエビはそのハサミが強力な武器です。白菜は突進力があり、バリケードなども簡単に叩き潰します。ホタテ貝は回転しながら飛来し、鋭利な縁で切り裂いてくるようです。また、シイタケを初めとするキノコ類は魔法の力を有しているらしく、石つぶて混じりの突風を吹かせたり炎を吐いたりするのです。ただしいずれも知能はないに等しく、単純に向かってくるばかりだということですから、しっかり頭を使って戦えば決して強敵ではないでしょう。
「民主制を敷いてようやく平穏な生活ができるようになったというのに……」
謎の侵略者に住居を奪われ、しかも多数の仲間がダンジョンに取り残されているという現状を、ゴブリンの代表者は涙ながらに述べました。他にも、ボスと思われる超巨大カニの存在や、マグマ流れる河についても一気に語って、怪我をしていたそのゴブリンは昏睡してしまったのです。現在もまだ、手当を受けています。
このダンジョンのゴブリンたちは、イルミンスール魔法学校が何週間も交渉をかさね、ようやく安定した関係を結べるようになった相手です。それがこうして膝を屈し、助けを請うているのです。どうして彼らを見捨てるような不義理ができましょう。
「ですので急きょ、ダンジョン奪回の部隊を派遣したいと思いますぅ」
もう、エリザベートはうたたねしていた少女ではありません。しゃっきりと目覚め、指令を下す総司令官なのです。
エリザベートがフィリップと南に与えた使命、それは有志を募り、ダンジョンに赴くことでした。
ゴブリンにとって鍋軍団は強力な相手ですが、契約者やそのパートナーにとっては平均をやや下回る程度の強さでしかありません。過去、一度踏破されたダンジョンということもあるので、経験の浅いメンバーにできるだけ参加してほしいという要望も付け加えられたのでした。
「それと……」
コホン、と咳払いしたエリザベートは、いつの間にか幼子の顔に戻っています。
「どういう魔法で動いているのかはわかりませんが、カニもエビも白菜も、倒してしまえばただ大きいだけの食材になってしまうようですねぇ……」
「はい?」
「だとしたら?」
フィリップと南は首をかしげました。
「もう、鈍いですねぇ。無事戦いが終われば、鍋パーティを開催しましょうという話なのですぅ……言わせないでくださいよぅ!」
さあ、冒険の時間です。
これは物語です。それも、あなたの物語です。
舞台は広大なるダンジョン、奇妙なモンスターの待ち構える神秘的な世界――どんな展開があなたを待っているのでしょう?
武器の用意はできましたか。どう行動したいかイメージは湧いたでしょうか。
自信がなくても大丈夫、あなたは一人じゃない、頼もしい仲間たちと一緒なのですから。
さあ、第一歩を踏み出しましょう!
担当マスターより
▼担当マスター
桂木京介
▼マスターコメント
ゲームマスターの桂木京介(かつらぎ・きょうすけ)と申します。
今回、縁あって初心者さん優先シナリオを担当させていただくことになりました。
よろしくお願いします。
本シナリオは、マスターシナリオに参加するのが初めて、あるいは、まだ参加シナリオが少ない初心者さんのためのシナリオです。
中級者以上の方は、シナリオが「追加参加受付中!」になるまで初心者さんに優先的に枠を譲ってあげて下さい。また、ある程度以上の経験がある方は、初心者さんを補助する気持ちでアクションを書いていただけると嬉しく思います。
シナリオガイドはイルミンスール魔法学園となっていますが、学校による参加制限はありません。
どの学校の所属でも自由に参加できます。
さてこのシナリオでは、鍾乳洞と石造りの混じり合った広大なダンジョンに降りていくことになります。ここに巣くうモンスターを出てきたところに追い払い、ダンジョンを奪い返すことが目的です。
このダンジョンは古の息吹を伝える遺跡、数々の袋小路や分かれ道、そして、全部で十の階層構造で成り立っています。地底湖や石像、水晶など、神秘的な光景を目にすることもあるかもしれません。
以前、ここを探検した有志が地図を残していますので、これを帯同することもできます。ただしマグマ流入の影響とモンスターの暴れっぷりにより、下の層に行くほど大きく地形が書き換わっているため、地図を全面的に信頼することはできないでしょう。
途上、まだマグマが河のように流れている危険地帯が第六階層に出現しています。
河はさしわたし五十メートル強、壁面沿いに通行するというのなら、人間一人が通るのがやっと、という切り立った崖道を通らなければなりません。他に大きな橋があるにはあるのですが、その前後は大量のモンスターが守りを固めており、ここを正面突破するには多大な戦力を要求されることでしょう。それに、戦闘で橋が崩れる危険性もあります。
とはいえ決死の崖道を選んでも途上で攻撃を受ければひとたまりもありません。この最大の難所をどう切り抜けるかは思案のしどころです。
モンスターには知性がほとんどなく、交渉の余地はまるでありません。皆さんを見つけると一も二もなく襲ってきます。
第十階層には『キング』と呼ばれる巨大カニが出現しているようです。これが敵のボスでしょう。すべてのモンスターを倒す必要はなく、どこかにある出現孔に追い返すことができればシナリオの目的は達成となりますが、キングだけは必ず倒してください。
参加するNPCは、フィリップ・ベレッタと小山内南の二人です。
このどちらかに話を絡めるというアクションも歓迎します。
小山内南は主として、モンスターとの戦闘に加わります。フィリップは、マグマの河の渡河作戦に関与することになります。それぞれの場面に参加を予定している人は、NPCへの言及を書いてみても面白いかもしれません。
このシナリオには、以下二つの【特別ルール】を用意しました。
(1)アクションが未投稿の場合も、リアクションに登場ます
本来、アクションが未投稿のキャラクターはリアクションに登場することはありません。ですがこのシナリオでは例外的に、未投稿でもリアクションに登場します(マスターの私が適度なものを考えて書きます)。
ただし未投稿の場合、そのキャラクターの行動についてははあまり活躍しないと思われるので、くれぐれも投稿忘れにはお気を付け下さい。
(2)ダンジョン内で取る本来の行動とは別に、鍋パーティの行動も書くことができます
ゲームの性質上、二つ以上のシーンを想定した行動を書くと、ダブルアクション扱いになりいずれかのシーンの行動が却下されたりするのですが、このシナリオだけは特別です。
ダンジョン内の登場シーンは一つだけ、これは他のシナリオと同じです。
ですが作戦が成功した場合に限り、終了後に倒した具材を使った大鍋パーティを開催したいと思います(ここにはエリザベートも参加します)。
今回、すべての参加者には鍋パーティのシーンに参加する権利があります。本来の行動とは別に、鍋パーティのシーンでの行動や台詞を書くことができるのです。仲間やLCとの親睦を深める機会として是非ご利用下さい。
ただし、メインとなるのはあくまでダンジョン内での行動ですので、鍋パーティについてはあまり文字数を割かない方がいいかと思われます。また、参加は強制ではないので、鍋の部分については書かなくても構いません。
初心者のみなさんには、『ダブルアクション』などよくわからない用語がたくさん出てくるかもしれませんね。アクションの書き方についても、どうすればいいのか困ってしまうかもしれません。
でも大丈夫、この画面の上方には『マニュアル』へのリンクがあります。わからないことがあればこちらを読んでみましょう。
それでもわからないことがあるというのであれば、シナリオガイドのすぐ上、『シナリオ参加者用の掲示板を見る』をクリックして掲示板で質問してみるのもいいでしょう。親切な方が教えて下さるかと思います。
以上、できれば制限文字数一杯まで、あなたの『想い』をアクションに込めて下さい。難しければ、サンプルアクションを参考に、これを膨らませる方向で書けば上手くいくかもしれません。あなたからのアクションが届く日を楽しみにお待ちしております。
では次は、リアクションでお会いするといたしましょう。
桂木京介でした。
▼サンプルアクション
・鍋モンスターをひたすら撃破し、後続部隊への道をひらく。
・戦闘部隊が道を作った後方を調査する。
・マグマの河を渡る方法を仲間と相談、その後渡河作戦に従事する。
・最下層までは力を温存、巨大カニモンスターを発見したら一気に力を爆発させて倒す。
▼予約受付締切日
(予約枠が残っている為延長されています)
2010年12月18日10:30まで
▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)
2010年12月19日10:30まで
▼アクション締切日(既に締切を迎えました)
2010年12月23日10:30まで
▼リアクション公開予定日(現在公開中です)
2011年01月11日