薔薇の学舎

「もう秋ですわね」

　泉　美緒（いずみ・みお）は木陰のベンチに腰かけ、隣に座るイングリット・ネルソン（いんぐりっと・ねるそん）に言いました。
　二人は、空京の郊外に散歩に来ているのです。

「ええ。ようやく過ごしやすくなってまいりましたわ」

　そよ風に吹かれ、イングリットは気持ち良さそうに高く澄んだ空を見上げます。
　と、上空から何かが降ってきました。

「木の葉？　……いえ、蝶ですわ」

　蝶は、力なくイングリットの膝の上にとまりました。
　その瞬間、虫取り網を持った少年の集団が、イングリットの方に駆けてきます。
　
「お姉ちゃん、大きな蝶々見なかった？」

「パラミタコハクチョウっていう、すげー珍しい蝶なんだ！」

「さあ、わたくしは存じませんわ」

　イングリットは蝶を素早く手の中に隠し、素知らぬ顔で言いました。
　少年たちはつまらなそうな顔をして、どこかへ消えていきます。
　それを見て、イングリットはそっと手を開きました。

「もう大丈夫ですわよ」

　が、そこに蝶の姿はなく――

「助けてくださって、ありがとうございます」

　代わりに美緒の背後で少女の声がしました。


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　パラミタコハクチョウは、ひと夏しか生きられないが、人間の姿になることができる。

　少女から聞いた話を、美緒もイングリットも信じることができなかったでしょう。
　目の前で蝶が可憐な少女に変わる瞬間を見なければ。
　
「私の寿命はあと３日しかありません。
　それには納得しているんです。運命ですから。
　人間に混ざって夏祭りに参加したり、初めての海に驚いたり……楽しいこともいっぱいありました」

　少女は儚げな笑顔を浮かべ、思い出をかみしめるように言います。

「でも、一つだけ思い残したことがあるんです。
　お助けいただいたついでと言っては失礼ですが……我が儘を聞いていただけませんか」

　真剣な表情に変わる少女に、美緒とイングリットは静かに耳を傾けました。

「人間は恋をすると聞きます。私も……恋がしたい！」

　それは、内気な少女が勇気を振り絞って口にした、切なる願いでした。

「恋……」

　美緒は、まさに命を削って燃え上がらせているような少女の感情に、思うところがあるようです。
　そしてイングリットは――

「恋をすれば、別れが辛くなるかもしれませんわよ？」

「覚悟はできています。このまま恋というものを知らずに死ぬ方が、ずっと辛いのです」

「分かりました。ならばその願い、わたくしの名にかけて叶えて差し上げます。
　美緒さんも手伝ってくださいますか」

「勿論です！」

「では、早速参りましょう。えっと――」

「フレイルと申します。ありがとうございます……ありがとうございます！」

ご覧いただきありがとうございます。
皆様初めまして、小手毬　遊有と申します。これから皆様と楽しい学園生活などを描ければ、と思います。

参加者の皆さんは、フレイルの事情を知っているものとしてアクションをかけていただいて構いません。

外見性別、実性別に関わりなく、フレイルは男女どちらにも恋心を抱く可能性があります。
もう長くはないフレイルを楽しませたり、デートをしてあげたりしてください。
フレイルはコイバナなんかにも興味をもちそうです。

また、恋愛に関すること以外でも、フレイルは楽しいことを経験できれば当然喜びます。
単純にフレイルと遊びたい、という方も是非ご参加ください。

しかし、人に変身する蝶となれば……フレイルを狙う人が現れても不思議ではありませんね。

・フレイルの恋人役になる

・フレイルの恋をプロデュースする

・フレイルを楽しませる

・フレイルを捕まえて標本にする