薔薇の学舎

　イルミンスールの森の奥、人の背丈程の石碑の両側に鎮座する二つの像がありました。
　右の像は「森の王」、左の像は「森の王妃」と呼ばれています。

　王には剣、王妃にはティアラが装備され中央の石碑を戒める役目を持っていました。
――しかし、その護りが突如失われ石碑に戒められていた悪霊が蘇りつつあります。


　持ち去ったのは神器を金目の物と思った盗賊達でした。勿論、神器を持ち去る事によって引き起こされる事態を知る由もありません。



「これはぁ……厄介な事になったですよぉ〜」
　イルミンスール魔法学校校長エリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）が像の異変と森を覆い始める瘴気を知らせてきた住人を前にのんびりと困っています。
「あの……本当に困ってるんでしょうか？」
「ん〜？　困っているように見えないんですかぁ〜？」
　住人はそれ以上言わず、フルフルと頭を振るとエリザベートの言葉を待ちました。
「ここはぁ〜第二の森の王と森の王妃に、頑張ってもらうですぅ〜」


　森の王と森の王妃――

　古王国シャンバラの滅びと共に一度は枯れ果ててしまった森が復活し、徐々に緑生い茂っていた頃――森は再び危機に晒されました。古王国シャンバラ時代の文献に名を残す【シャンバラの闇騎士】という悪霊が森を枯らし、瘴気によって人々を苦しめたのです。
　その悪霊を封じたのは、２人のシャンバラ人でした。ですが、封じた方法は像が装備していた神器である『剣』と『ティアラ』が鍵である事以外殆ど伝承されていません。

「まずは、神器を見つけるですよぉ〜手の空いている生徒達は早速行ってくるですぅ〜あ、森の近くに住む人達の避難誘導もですからねぇ〜」

　イルミンスール魔法学校の生徒達の人脈からシャンバラ中の学校に事態が伝わり、事件に乗り出そうと動き出すのでした。


「さてと〜……もしかしたら彼らから『森の王』と『森の王妃』が新たに誕生するかもですぅ〜」

　
　

初めまして。
このたび、蒼空のフロンティアのゲームマスターを務めさせていただきます小湊たまごと申します。
これからよろしくお願い致します。

シナリオの目的は、失われた剣とティアラを像に装備させて悪霊を封じ込める事です。

■神器について
王の剣は悪霊を封じ、王妃のティアラは悪霊の力を弱めます。
誰が作ったのか詳細を記した文献は現時点では発見に至っていないので、複製する事はできません。
剣とティアラは華美な装飾等で飾られたものではありませんが、銀製品なので高価なアイテムに見えるでしょう。
像に装備されていただけなので、持ち出す事は誰でも出来るのですが剣とティアラの役目を知っていれば持ち出そうとはしないはず。

盗賊達の戦闘レベルは平均LV20前後ですが、盗賊幹部と思われる強者も居ます。こちらはLv60〜LV70前後と見られるので1対1で戦う事はなるべく避けましょう。

■悪霊について
古王国の文献を調べると【古王国の闇騎士】という名前が見つかります。悪霊の正体はこの闇騎士でダメージを与えるには攻撃魔法が有効です。実体がなく、煙やガスのような不定形な生命体で最も適しているのは聖属性ですが他の属性でも大丈夫です。
また、悪霊は瘴気によって動植物をモンスター化させます。神器を像に装備するまでにモンスターも増えてしまい、イルミンスールの森やジャタの森、広がればシャンバラ全域で暴れ出してしまいます。

■王と王妃
像のモデルとなった森の王と森の王妃は、剣とティアラで悪霊を封じました。
悪霊に立ち向かう中で親密を深め、後に結婚した二人だと言われています。
シナリオガイドの最後に呟いたエリザベートの一言は、このエピソードからのものと思われます。

・剣とティアラの行方を掴む

・悪霊が復活する前に出来るだけ森から離れた場所へ誘導

・森に入ってひたすら戦闘したい

・盗賊からカツアゲする。剣とティアラはそのついで