薔薇の学舎

　「エリザベートは、私が大切に取っておいた貴重な『シャンバラ山羊のミルクのアイス』を勝手に食べてしまったんじゃ！
　　しかも、そのことを謝るどころか、『年寄りは子どもにアイスを譲るものでぇす！』などと言いおった！
　　あやつが悪いくせにこの私を理不尽な年寄り扱い！　絶対に許せん！
　　そこに、「冬の女王」殿が、なんでもしてくれるといってあらわれたので、帰らないでやろうと思ったのじゃ！」

　冬の精霊の「冬の女王」に「連れ去られた」はずの、アーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）は、「自分が誘拐された理由」についてこう語りました。
　つまりは、パートナーであるイルミンスール魔法学校校長、エリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）の行動に、大人気なくブチ切れたアーデルハイトは、「合法的に家出」していたのです。
　
　「シャンバラ山羊のミルクのアイス」を用意しないと、アーデルハイトの機嫌は直りそうにありません。
　シャンバラ山羊とは、ルクオールで多く飼われる山羊の品種で、ミルクは濃厚で香りが高く、ルクオールの特産品でした。
　しかし、突然冬になってしまったため、驚いたシャンバラ山羊は乳を出さなくなってしまったということです。


　そのころ、魔法学校では、エリザベートが、ばつの悪そうな顔をしていました。

　「ぜぇったいに、わたしは悪くありませぇん。大ババ様が悪いのですぅ……。
　　もう、超ババ様がいなくたって、ぜんぜん平気ですぅ!!」
　
　言い過ぎたのではと後悔しているようですが、意地っ張りなエリザベートのことですから、1人でアーデルハイトに謝りに行くのは難しいでしょう。
　

　一方、ルクオールを冬にしてしまった張本人の「冬の女王」ですが。
　「わらわは復活の儀式もなしにいきなり目覚め、機嫌が悪かったから町を冬にしてしまったのだが……。
　そのかわりになることをしてくれれば、ルクオールを夏に戻すこと、考えてやるぞよ」
　物言いは高飛車ですが、「冬の女王」はせっかく出会えた学生達と、本当は仲良くしたいと思っているようです。


　そんな中、魔法学校の熱血男子生徒、ジャック・サンマーは、またもや、拳を振り上げました。
　「皆、難しく考えすぎだぜ！
　　ようは、アイスを手に入れればいいんだろ！　普通の牛乳でもないよりはマシだぜ！
　　レッツ・クッキングだぜ！　ファイヤー！」
　ジャックは正攻法で料理するようですが、がさつな性格なのにうまくできるのでしょうか。　　
　
　なんとかして、事件を丸くおさめないと、イルミンスールの夏休みはなくなってしまうのです。

　全2回の2回目、最終回です。
　ファンタジー世界のドタバタコメディを、どうぞ最後までお楽しみください。
　もちろん、今回からご参加いただくことも可能です。
　皆様の楽しいアクションで、最高にハッピーな夏休みを取り戻してください！

・アーデルハイト説得のため、シャンバラ山羊のアイスを作る

・エリザベートがアーデルハイトに謝れるようついていってあげる

・「冬の女王」説得のため、ルクオールの町で一緒に遊ぶ

・ジャックのアイス作りを手伝う