薔薇の学舎

「……『何も（７２０）分からん日本書紀』。７２０年に日本最古の正史、日本書紀が完成しましたー。でも私が魔法少女だってことは書いていませんよー。……『泣くよ（７９４）幼女が平安京』。７９４年に桓武天皇が平安京へ遷都しましたー。以後、１８６８年の東幸まで、ここは天皇の住む都として続きますー。私のいた飛鳥京は１００年くらいですから、凄いですねー。……そういえば、飛鳥京から藤原京への遷都に関わったさららちゃんに会ってみたいんですけど、連絡がつかないんですよねー。パラミタに来てるって話は聞いたんですけど……あっ、話がずれちゃいましたね。えっと、次は……」

　イルミンスール魔法学校の一教室にて、教科書を片手に飛鳥　豊美（あすかの・とよみ）が教鞭をとっています。
　欧米の魔術結社が母体のイルミンスールですが、蒼空学園、百合園女学院を――資金援助を受けているという面から空京大学も――有する日本の歴史を学ぶことは大切だと考えたアーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）の計らいによって、『世界史』の講師として豊美ちゃんが呼ばれたのでした。ちなみに校長であるはずのエリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）は、提案を受けて「いいんじゃないですかぁ？」と言っただけでした。
　実際、豊美ちゃんは講師としては優秀な部類に入りました。どこから手に入れてきたのか謎な『萌え萌え語呂合わせ日本の歴史』と書かれた教科書を用いた講義は、「覚えやすい」「ようじょが泣いている！　ここはお兄さんに任せるんだ」「そんなことより豊美ちゃんにぱんつを履かせたい」と概ね好評です。

「今日は特に聴講者が多いですねー。でしたら今日は、ちょっと変わった講義をしてみましょうー」

　生徒たちに振り向いた豊美ちゃんが、ぱたん、と教科書を閉じ、魔法少女の杖『日本治之矛』を呼び出します。

「歴史を覚えるには、実際に体験してみるのが一番だと思うんですよー。ですので、今から皆さんを、出来事が起きた当時にご招待しちゃいますねー。あっ、タイムスリップは無理なので、私の記憶で作った世界にですけどねー。大丈夫ですー、伊達に千年以上魔法少女してませんよー」

　とっても謎な根拠を振りかざして、豊美ちゃんが杖を生徒たちに向けます――。

猫宮・烈です。

今回のシナリオは、マスター合同企画【２０２０授業風景】の一環です。
日本の歴史に詳しいと思われる豊美ちゃんに、講義を担当してもらいました。

豊美ちゃんは張り切って、皆さんを日本の弥生時代〜昭和時代（豊美ちゃんが魔法で作った世界にです。現実の過去は変えられませんのであしからず）に案内しちゃうようです。
そこで実際に出来事の当事者になってもらって、楽しく、時にはスリリングに歴史を感じてもらおう、と豊美ちゃんは思っているようです。

皆さん、どの時代のことが知りたいか、豊美ちゃんに質問してみましょう。豊美ちゃんが案内してくれますよ。
「この人物になってみたい！」でもいいでしょう。自らの前で歴史が作られる瞬間を目の当たりに出来るかもしれません。
アクティブな人は、「俺が歴史を作ってやる！」でもいいでしょう。豊美ちゃんの作った世界でなら、あなたが創造主です。
……あんまり羽目を外しすぎると、豊美ちゃんのお仕置きが飛んでくるかもしれませんが。

……ただし、豊美ちゃんは手元の『萌え萌え語呂合わせ日本史』なる謎な教科書に書かれていることを参考にしているようです。
そのため、史実とは大いに異なる場合が多々あります。イメージが違っても怒らないであげてください。

それでは、よろしくお願いいたします。

・歴史上の人物になって、出来事を体験する

・豊美ちゃんの案内を受けながら、出来事の目撃者になる

・歴史上の人物を差し置いて、新しい歴史を作る