薔薇の学舎

「夏といえば、やっぱり怪談かなぁ……？」
　放課後のカフェテラスで、不意にマリエル・デカトリース（まりえる・でかとりーす）が呟きました。
「暑い夏も涼しくなるって？」
　向かいに座っていた小谷　愛美（こたに・まなみ）が訊ね返します。
「そうそう」
「それなら、肝試しとかもいいわよね」
　マリエルの頷く様子に、愛美が告げると、「それだぁ！」と彼女が声を上げました。
「マナミン、それだよ、それ！　肝試し！　やろう！？」
　先の声と共に立ち上がったマリエルは、愛美に向かって、そう告げます。
「やるのはいいけど、何処で？」
　共同墓地や海辺だろうかと考えながら愛美がまた訊ね返すと、
「それはこれから探しに行くんだよぉ〜」
　そんな風にマリエルは暢気に応えました。

　数日後、海辺の洞窟前。
「やあ〜、いいトコ、見つかったねぇ」
「ええ、そうね」
　洞窟の中を覗きこむマリエルとは裏腹に、愛美は洞窟内の略図を手に悩み込んでいます。
「深く考えずに、この奥の祠に行ってもらって、そこに予め置いといた札を持ってきてもらう、とかでいいんじゃないかなぁ？」
「それだと簡単すぎよ」
　何か他に面白いことは出来ないか、と考えながら２人は中へと入ってみます。
　中は外の暑さが嘘のように涼しくて、何処からともなく吹く風が２人の頬を撫でていきます。
「簡単だけれど、それくらいで丁度いいかもしれないわね」
　怪しげな風にぶるり、と身を震わせた愛美は、先のマリエルの言葉に同意を示しました。
「そう？」
「あとは……参加してくれる人から、驚かす役の人もいくらか募れば、きっと楽しい肝試しになると思うわ！」
　ぐっと拳を握る愛美に、マリエルは頷きます。

　かくして、愛美とマリエル主催の肝試しが敢行されようとしています。

　海水浴の一端として、肝試しシナリオをお届けいたします。

　純粋に肝を試しに行くも良し、そんな人たちを驚かすも良し。
　どちらの立場としての参加かをアクションにて明確にしておいてくださいね。

　洞窟の中は一本道で、一番奥の行き止まりまで行くと小さな祠があります。
　ただ、そこかしこに広く部屋のようになった場所や岩陰などがありますので、驚かす役が隠れるスペースは充分あります。
　長さもそれなりにありますので、驚かす役が多くても、きっと大丈夫です！（だからといって、驚かす役ばかりでは成立しませんけれど）
　驚かす役ではなく、肝試しに参加する方は２人ペア（もしくは３人までのチーム）、蝋燭の灯りを頼りに祠まで進み、予め愛美たちが祠の傍へと用意しているお札を１枚手にして、再び戻ってきてください。

　皆さんの参加、お待ちしております。

・いざ洞窟へ！

・張り切って驚かすわよ！