薔薇の学舎

　冬の近い蒼空学園の校長室で、校長として日々の仕事に追われる山葉　涼司（やまは・りょうじ）が、ボーっと椅子に背を預けて天井を見ています。
「涼司様、お茶をどうぞ」
　花音・アームルート（かのん・あーむるーと）がそっと差し出すお茶を涼司が受け取る。
「随分、お疲れのようですが、大丈夫ですか？」
　涼司は机の上の書類の山を見ながらお茶をすすりながら、
「もう今年も僅かなのに校内での問題が多いのは困ったものだ。かと思えば、ラブラブなカップルもいる。なぁ、ウチは平和なのか揉め事が多いのかどっちなんだろうな？」
「ラブラブ……ああ！　来月はクリスマスだからでしょう？」
「クリスマスか……通りで校内にカップルの駆け込みが増えるわけだ」
　フッと笑う涼司を花音が不思議そうな顔で見る。
「いや、世間じゃ男は頼りなくなった、やれ草食系だと言われているがな、ウチの生徒は果たしてそうなのかどうか……」
「女性が強い時代は、決して悪くはありませんよ？」
「以前はここも校長は女性だったしな……まぁ、どこぞの魔法学校の校長が果たして強いと言えるかどうかも疑問……」

バァァァーンッッ！！

　絶妙のタイミングで扉を開け、ノシノシと入って来たのは、エリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）でした。

「……出待ち？」
　首を傾げる花音を通り過ぎ、涼司の前まで歩いて行くエリザベート。
「相変わらずぅ、ここの校長は私をよく召喚しますねぇ……」
　ワナワナと震えるエリザベートは、コホンと一つ咳払いをして、
「ですが……丁度良かったですぅ。どうです？　ここは一つ、学校を挙げてのカップル増産作戦、名付けてハートキャッチ大作戦をとりませんかぁ？」
「……何だそれ？」
「生徒達がよく問題を起こすのは、恋愛をしていないからですぅ！　恋にかまけているなら、学園の問題も減るはずですぅ！」
「ほう……それは良い提案だな」
「……えっ？　えっ？」
　慌てて花音が涼司とエリザベートを交互に見比べます。
「ですがぁ、ただの合コンでは面白くありませぇぇんッ！　恋愛とは騙し騙されのラブゲームであるべきなのでぇぇすぅ！！」
「つまり、自分に合っていないと判断した異性はノックアウトしてもＯＫだと？」
「……話が早いですねぇ。こぉの戦いでぇぇ、どちらの学園の生徒が恋愛上手か、ハッキリ白黒つけてやるですぅぅー！！」
「面白い……蒼空学園の全力を見せてやるぜ！」
　火花をバチバチと散らす涼司とエリザベートの横で、花音は直ぐ様なるたけ平和なルールを考え出さなければなりませんでした。


　以下は花音が双方に提案し、了承されたルールになります。

その一．参加者は各々ハリセンと風船付ヘルメットを常時装備する事。
その二．参加者は異性との交渉が決裂した場合、上記した武器とジャンケンにより雌雄を決しなければならない。勝敗は風船の破壊もしくはギブアップによる。
その三．作戦ポイントは、蒼空学園の指定教室、廊下、校舎裏、カフェ、裏山のベンチの計５箇所のみで、時間は放課後の夕方までとする。移動場所は予め本部に提出し、上記以外の場所でのカップル成立は認めない。
その四．参加者は一人の異性としかカップルになれず、カップル成立はヘルメットもしくはハリセンの交換を持って認められる。
その五．予め本部に好みのタイプと苦手なタイプを提出し、心変わりは原則禁止とする。
その六．予め本部に蒼空学園かイルミンスール魔法学校かどちらに所属するかを申請する事。他校生も便宜上どちらかの所属を選ぶ事。（但し、同じ所属同士でもカップルになることは可能）
その七．元々パートナーがいる生徒の参加も可能。但し参加資格は一名のみであり、残りは涙を拭いたり噛んだりできるハンカチにより意志を示す事は可能だが、直接的な参加は不可。
その八．勝者の学校所属のカップルには、蒼空学園のカフェ無料券ペア１ヶ月分が贈呈される。敗者には、花音主催の『明日があるさパーティ』の参加券が与えられる。
その九．あくまで、平和に……ね？

　クリスマスを前にカップル成立に奔走するもよし、学校のために戦うのもよし、普段はニブいパートナーにハンカチでサインを送る等もよいでしょう。
　また、裏方として審判やプレゼント屋、ムードやきっかけ作りの軽食の販売をするのも有りです。
　是非、突如始まったこのイベントを楽しんでください！

　こんにちわ！　もしくは初めまして！　深池　豪（みいけ　ごう）です。
　ちょっと期間が空きましたが、皆様お元気でしょうか？　

　さて、今回のお話は、涼司とエリザベートの会話から生まれたハートキャッチ大作戦を軸に進みます。（蒼空学園、イルミンスール魔法学校の生徒がメインですが、他校の生徒さんも勿論参加して貰ってＯＫです！）

　ここで花音が決めた平和的な（？）九ヶ条の補足を少し。
　イベントに参加希望の方は、ルールの三と五と六を、以下のテンプレを使用し、アクション欄に記載をお願い致します。

【所属】
【場所】第一：　　　　第二：　　　
【好みのタイプ】
【苦手なタイプ】
【告白の台詞】
【ジャンケン】第一：　　　第二：　　　第三：

【所属】は蒼空かイルミンスールかで。（他校生についても便宜上どちらかの所属になります）
【場所】は希望を二箇所お選びください。
【好みのタイプ】と【苦手なタイプ】は大雑把に。（例、乱暴な性格ＯＫの金髪ＮＧ等）尚、素の自分は偽れないものとします。
【告白の台詞】は、有ればで構いません。
【ジャンケン】は、決裂した時の勝負（いわゆる叩いて被ってジャンケンポン）用です。グー・チョキ・パーのどれかで。（後出しや、奇妙な手の形は禁止です）

（無記載の場合は、こちらで総合的に判断し、思い通りのアクションにならない可能性があります。）

　尚、涼司やエリザベートはイベントには直接参加致しません。彼らは見学者くらいの感じで考えて下さい。
　また仮に振られても、さほど心にダメージは残らないものとしますので、ここは一つ、自由な恋愛を楽しんでください。皆さまのアクションを、心よりお待ちしています！！

・イベントに参加する。

・イベントに参加する。

・プレゼント屋を開く。