薔薇の学舎

　――イルミンスール魔法学校大図書室。
　膨大な蔵書を抱えるここには、ウィザードやプリーストのための様々な魔術書や古文書、石板などが収められています。
　基本的にはイルミンスールの生徒が利用しますが、他校の生徒も気軽に利用できます。

「マンドレイクか……」

　今年イルミンスール魔法学校に入学したばかりのアゾート・ワルプルギス（あぞーと・わるぷるぎす）は、一冊の蔵書と数時間にらめっこをしていました。
　その本には錬金術に使われる材料が書かれていました。
　アゾートがパラミタに来た目的は『賢者の石』を創ることです。
　ただ、その存在そのものや処方には諸説あり、しかも無数の錬金術の材料や加工物が必要になります。
　雲を掴むような話です。
　そこで彼女は、現在分かっている限りの賢者の石へ辿り着く錬金術の処方を１つ１つ試していこうと考えていました。
　幸い、地球と違い、パラミタはその手の材料には事欠きません。

　その１つがマンドレイクです。
　万病に効く霊薬や不老不死の薬の原料といわれており、賢者の石を創るのに必要な材料の１つです。
　今読んでいた本によると、ジャタの森に原生しているとのことです。

「ジャタの森、ね……行ってみようかしら？」
「素材集め？　面白そうだね」

　アゾートがメモを取って本を閉じると、声を掛けられました。
　そこには薔薇の学舎の制服を着た優男が立っていました。

「ごめん、驚かすつもりはなかったんだ。ボクはウェルチ・ダムデュラック（うぇるち・だむでゅらっく）、キミが熱心に本を読んでいたから、思わず魅入ってしまったんだ」
「ダムデュラック？　……湖の貴婦人の？」
「こう見えてもボク、防具職人なんだ。だから新しい素材には目が無くてね、こうして大図書室を利用させてもらっているんだ。ジャタの森だけど、フォレストジャイアントが出るっていう噂だよ。魔法を使う強敵だし、何でもパラ実生が組んで人を襲わせてるらしいから、１人より２人、２人より３人が良いと思うけどね」

　フォレストジャイアントは森林に住む巨人族で、ジャイアントの中では頭がよくウィザードの魔法を使います。
　しかもパラ実生が組んで人を襲わせているというのです。

「そうね、じゃぁお願いできるかな？」
「決まりだね。キミの名前で各校に護衛の依頼を出しておくといいと思うよ」


　数時間後、アゾート・ワルプルギスの名前で、各校の掲示板にジャタの森にマンドレイクを採りに行く護衛の依頼が貼り出されました。

　初めましての方は初めまして。そうでない方はまたお遭いしましたね。高久　高久です。今回もよろしくお願いします。

　このシナリオでは、アゾート・ワルプルギスとウェルチ・ダムデュラックと一緒に、ジャタの森に自生しているというマンドレイクを採りに行きます。
　イルミンスールの生徒と薔薇の学舎の生徒が受かりやすいですが、各校に依頼を出していますので他校生も気軽に参加して下さい。
　また、アゾートは新入生ですので、参加された新入生の皆さんはよろしくお願いします。諸先輩方は新入生をサポートして頂けますと幸いです。

　マンドレイクはジャタの森に自生していますが、その場所の近くにはフォレストジャイアントが現れるそうです。
　フォレストジャイアントは森林に適応したジャイアントです。
　他のジャイアントに比べると小型で、肌が緑色をしており森林に溶け込む上に、アシッドミストまでのウィザードの魔法を使用する強敵です。
　数は多くないようですが、注意が必要です。

　また、ウェルチが言うには、このフォレストジャイアントとパラ実生が組んでいて、ジャタの森を通る人々を襲っているとのことです。
　フォレストジャイアントだけではなく、その背後にいるパラ実生にも注意した方がいいかもしれません。

　それと、マンドレイクですが、かなり厄介な特性があります。
　地面を人のように動き回り、引き抜くと悲鳴を上げて、まともに聞いた人間は死んでしまうのです。
　しかもこの悲鳴は魔力を帯びており、普通の耳栓などでは効果がないそうです。
　どのようにこのマンドレイクを抜くかも考える必要がありそうです。
　よく聞く方法として『可愛がっている犬に引っこ抜かせる』という方法があるそうですが、参考までに。

　なお、アゾート（ウィザード）とウェルチ（アーティフィサー）が同行します。

・フォレストジャイアントと戦う！

・パラ実生を警戒する

・マンドレイクを抜く