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【金鷲党事件 二】 慰霊の島に潜む影 ~中篇~

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【金鷲党事件 二】 慰霊の島に潜む影 ~中篇~

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シナリオガイド

敵の目的の見えぬまま、再び始まる救出作戦。その果てにある物とは--
シナリオ名:【金鷲党事件 二】 慰霊の島に潜む影 ~中篇~ / 担当マスター: 神明寺一総

「……そうか。わかった、有難う。遅くまで、済まなかったね。気をつけて、戻って来て」
 そう言って相手を気遣うと、御上 真之介(みかみ・しんのすけ)は、静かにケータイを切りました。

「どうでした?」
「ダメです。やはり、見つからなかったそうです」
「そうですか……」
 半ば覚悟していたとはいえ、五十鈴宮 円華(いすずのみや・まどか)は、そういうのがやっとでした。
 今回もまた、自分のせいで被害者が出てしまったことで、円華は、強い自責の念に駆られています。


 妹島周辺を捜索していた月美 あゆみ(つきみ・あゆみ)ミディア・ミル(みでぃあ・みる)が消息を絶ってから、既に半日以上。
 何度ケータイに連絡しても通じず、日没になっても帰還しない2人を案じて、幾人もの仲間たちが捜索に向かいましたが、そのいずれもが何の手掛かりも得ることが出来ませんでした。


「円華様。今、確認が取れました。ケータイは、やはり、白姫岳内部にあります」
 ケータイの位置情報を確認していた、由比景信(ゆい・かげのぶ)が、顔を上げました。
「昼間偵察に行ったメンバーの報告から、白姫岳要塞は、既に“敵”の手にあると考えられます。やはり、何らかのアクシデントが発生したのは間違いないようです」

「アクシデントって、まさか敵にやられちゃったとか……」
「なずな!」
 思わず口を開くなずなを、神狩 討魔(かがり・とうま)がたしなめましたが、時既に遅し。
 あたりに、重苦しい空気が流れます。

「いや、一概にそうとも言えんでしょう」
 その空気を打ち破ったのは、宅美 浩靖(たくみ・ひろやす)の一言でした。宅美は、景信のPCを、後ろからじっと覗き込んでいます。

「位置情報の履歴によると、ケータイの位置が移動してしおります。モチロン、あゆみ嬢たちを殺害した敵が、ケータイのみ持ち去ったという可能性もありますが、それよりは、捕虜になったか、逃走中と考えるのが妥当でしょう」
「それじゃ……!」
 円華の顔に、希望の光が戻ります。
「えぇ、円華さん。明日の朝一番に、もう一度捜索隊を出しましょう」
 御上は円華を元気づけるようにそう言うと、早速ケータイを手に取りました。その刹那−−。

『ピリリリリ!』
 御上のケータイに着信がありました。液晶に表示されている番号を見て、御上は息を呑みます。
「月美あゆみ……?」
「御上先生!」
 円華が、緊迫した声をあげます。
「御上君。分かっているとは思うが、敵からの可能性もあるんだぞ」
 御上は、宅美の言葉に厳しい顔で頷くと、電話に出ました。

「もしもし?」
『御上真之介だな』
 電話の向こうから聞こえてきたのは、月美あゆみの声ではなく、低く、ドスの利いた男のモノでした。
「……あなたは?」
『オレは、ジャジラッド・ボゴル(じゃじらっど・ぼごる)。故あって、金鷲党に与する者だ』
「あゆみさんは、無事ですか?」
『女と獣人は、白姫岳で預っている。返して欲しくば、力づくで取り戻すことだ』
「声を、声を聞かせてください!」
「ダメだ。後で映像を送るから、それで確認しろ。忠告しておいてやるが、急がねば、女たちの命はないぞ?クックックッ……」
「何!お、オイ……!」
 そこで、通話は途切れました。


 しばらくして、御上のケータイに、あゆみのケータイから映像が届きました。あゆみは疲れた顔をしていますが、取り敢えず無事で、手荒な扱いもされていないように見えます。一方でミディアは、縛り上げられた上に猿轡を噛まされていました。
 映像は何処か室内で撮影されたらしく、画面の中のあゆみは目に涙を浮かべながら、ただ一言、『ゴメンなさい』とだけ呟いていた。

「向こうから、先に手を打ってきましたな」
 宅美が、髭の生えた顎をさすりながら言いました。
「しかし御上殿、金冠岳の方はどうなさるのですか?三道 六黒(みどう・むくろ)の去り際の一言、ただの戯言とも思われません」
 景信が、怪訝そうな顔で尋ねます。
「もちろん、金冠岳の調査も同時に進めます。ですが、まずは白姫岳を最優先です」
 御上はきっぱりと答えました。

「それでいいんだ、御上君。今までのヤツらの手口から言えば、白姫岳は明らかに罠だろう。だが、たとえ罠とわかっていても、戦友のためにはあらゆる手を尽くすのが、司令官の責務だ。微力ながら、私も協力させて頂くよ。何としても、2人を助け出そう」
「宅美さん……!」
 差し出された宅美の手を、御上は、強く握り返しました。

担当マスターより

▼担当マスター

神明寺一総

▼マスターコメント

 このシナリオは、【金鷲党事件 二】 慰霊の島に潜む影 〜前篇〜の続編に当ります。
 前編に参加していない方も当然参加して頂けますが、その場合は、前編を読んでから参加されることを強くお勧めします。

 また余裕があれば、
 【金鷲党事件 一】 〜『絆』を結ぶ晩餐会〜 (第1回/全2回)、及び
 【金鷲党事件 一】 〜『絆』を結ぶ晩餐会〜 (第2回/全2回)
 の2本を読んでおくと、よりシナリオの内容が理解し易いと思います。
 また、マスターページに、この2本のシナリオの内容をまとめた物(【金鷲党事件 一】 〜『絆』を結ぶ晩餐会〜 あらすじ)が掲載されていますので、そちらも参考にしてください。

 なお例によって例の如く、マスターページは、『アクション締切日の48時間前まで』更新する可能性があります。


 前回のシナリオの結果、月美 あゆみとミディア・ミルの2人が金鷲党に加担するジャジラッド・ボゴルによって捕虜となってしまいました。
 が、文中で宅美浩靖も言っている通り、これは戦力の分散による時間稼ぎを狙った金鷲党側の策であり、彼らの真の目的は、金冠岳にある『何か』を探し出し、手に入れることにあります。
 『何か』は詳細こそ不明なものの、前回キャラクターの前に姿を現した亡霊の証言などから、それが円華、あるいは五十鈴宮家に関係があることが分かっています。このため御上と円華は、自分たちを含めた小人数で金冠岳の調査を行うつもりでいます。


 さて、2人が監禁されている白姫岳ですが、ここについては、以前の『二子島紛争』の捕虜たちから、詳細な情報が得られています。
 それによると、白姫岳の内部は要塞化されており、大きく『上層』『中層』『下層』『地下』の4つに分けることができます。

 まず『上層』ですが、ここには見張り台(櫓)や通信施設、それに平時の司令室や、予備の発電施設などが置かれていました。重要な捕虜を監禁するための牢獄(塔)も、ここにあります。

 次に『中層』ですが、ここには攻め寄せる敵を攻撃するための櫓が、全部で5箇所、ちょうど五角形を描くように配置されていました。また内部は、主に兵士たちの生活空間で占められていました。

 『下層』には、山の外縁に沿って、幾つものトーチカや塹壕が設けられていました。また、大型機材の搬入も可能な、要塞の中央門が1つあります。

 最後に『地下』ですが、ここには物資や兵器の集積所や発電施設などの他、あまり重要でない捕虜用の牢獄もここにありました。また、万一の時は、臨時司令室がここに設けられることになっていました。

 この他要塞の各層には、空調設備と、外部に通じる秘密の入り口が幾つかあります。ちなみに前回のシナリオで、月美あゆみたちが発見した秘密の入り口は、地下にあるものの一つです。
   

 以上が捕虜から得られた情報の概略ですが、これらはあくまで二子島紛争当時の情報であって、現在は変わっている可能性があります。
 少なくとも、あゆみたちが発見した入り口は、紛争当時は存在していませんでした。

 前回のシナリオで捕虜になった空賊たちの中には、要塞についての情報を持っている者がいる可能性がありますが、今のところ、尋問が進んでいないため、役に立つ情報は得られていません。
 宅美は尋問の専門家を呼ぶよう御上たちに進言していますが、これもすぐにという訳には行かないようです。

 
 金冠岳についてですが、紛争時に爆破されたため、内部の要塞は崩壊。山自体も中央部がカルデラ状に大きく窪み、今では、高さが元の2/3程度になっています。
 崩壊の危険があるため、今のところ内部の詳しい調査は行われておらず、山の麓にある慰霊碑の建設予定地以外のことはまるで分かっていません。 
 


 ではここから、アクション作成時の留意点を説明します。

 最初に白姫岳方面ですが、今回のシナリオでは、要塞への接近から潜入までを扱います。潜入後の内部における活動については、後編に持ち越しとなります。

 白姫岳へ向かう方は最低限、要塞への接近方法と、どの階層からの侵入を目指すのかを記述してください。

 まず白姫岳への接近方法ですが、徒歩で向かうとなると、山の周囲に広がる密林内に仕掛けられたトラップや、伏兵が障害になりますし、接近してもトーチカが待ち受けています。その代わり、事前にトラップや伏兵を発見することが出来れば、密林に身を隠しつつ安全に進むことが出来るかもしれません。
 一方、空から接近する場合は、櫓などからの敵の攻撃が問題になります。

 また、要塞内への侵入口については、『上層』『中層』『下層』『地下』のうち、どこからの潜入を目指すのか、“1つだけ”選んでください。複数選ぶとアクション不採用になります。
 下層であれば、要塞の中央門が利用できます(当然、守備隊はいるでしょうが)。中層・下層は櫓か、秘密の入口を目指すことになるでしょう。地下なら、秘密の入り口を利用するしかありません。



 一方金冠岳ですが、こちらも今回、金冠岳に辿り着く所までを扱います。

 金冠岳に向かう方はまず、御上や円華たちと一緒に行動するか否かを選択してください。

 次に白姫岳と同様に、地上から行くか、空から行くかを決めます(円華たちは途中で、幽霊との接触を試みるなど、情報収集を行いながら向かうつもりなので、徒歩で金冠岳に向かいます)。
 道中想定される危険は、基本的には白姫岳と変わりませんが、一応幽霊の存在も気にかけておく必要があるでしょう。
 また円華や御上たちと行動を共にするのなら、彼らの安全にも気を配る必要があります。


 最後に、アクションの内容に拘らず、戦闘時にどのような対応を取るのか(戦闘する、逃げる、説得する、等々)を必ず明記するようにしてください。これは、キャラクターが望む望まないに拘らず、戦闘に巻き込まれる可能性があるからです。
 ただし、“キャラクターを戦闘に関わらせたくない”という場合には、その旨を明記して頂ければ結構です。
 
 また、戦闘発生時の対応を含めてですが、各アクションでは、スキルや特技、アイテムなどをどのように使用するか、具体的に記述するようにしてください。
 アクションの記述の仕方については、サンプルアクションも参考にしてください。


 今回は、前回の二子島紛争とは違い、戦力も十分ではありませんし、そして何より時間がありません。少ないリソースを効率よく使用するために、掲示板などを使って、事前によく相談されることをお勧めします。


 長くなりましたが、以上の点に十分に留意した上で、アクションを作成してください。それでは皆さんのアクションを、楽しみにしております。

▼サンプルアクション

・白姫岳周辺のトラップや伏兵の発見、排除に務める

・敵を倒す!

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2011年06月14日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年06月15日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年06月19日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年07月08日


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