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亡き城主のための叙事詩 前編

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亡き城主のための叙事詩 前編

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シナリオガイド

百年以上前の昔話、その結末は――
シナリオ名:亡き城主のための叙事詩 前編 / 担当マスター: 小川大流

 魔都タシガンの昔話の一つに、こういったお話があります。

『深く濃厚な霧に包まれた小さな孤島に、ひっそりと佇む古城がある。
 城の外苑には色とりどりの花が咲き乱れ、調度や家具はどれも一級品。
 故にその城は多くの侵入者に襲われたが、攻め込んだ者はただ一人も帰ってこず、いつしかその城は刻命城と呼ばれ人々から恐れられていた。
 刻命城に仕える使用人は一人。吸血鬼
 城主であるシャンバラ人に心酔し、その生涯を彼に尽くしたと言われている。
 その城の門番は二人。鬼人天使
 両者は共闘し幾千もの侵入者を葬ったが、とうとう最後まで互いを分かり合うことはなかったと言われている。
 かの城が抱える従士は十人。ヴァルキリーにより構成され、城主により称号を授かった誇り高き従士達。
 「魔術師」「征服者」「剛殻」「隠者」「正義」「死神」「節制」「悪魔」「塔」「月」
 しかし、それは百年以上も昔の話。
 既に城主であるシャンバラ人は死去し、それ以来刻命城を目にした者は一人もいない――


 ――――――――――

 宵闇、蒼空学園の校庭を歩く山葉 涼司(やまは・りょうじ)の前に一人の男が現れました。
 彼が纏っているのは闇に溶け込むかのような黒いローブ。
 双眸は塗りつぶしたかの如く真っ黒、夜風に揺れるショートカットは漆黒で、まるで夜のような男でした。

「これはこれは、好い夜だとは思いませんか? 蒼空学園の若き主よ」
「……誰だ、おまえは?」
「いやはや、そんな怖い顔をしないで頂きたい。
 私はただ、貴方様に伝えたいことがある故に赴いただけで御座います」
「伝えたいこと、だと?」

 やけに大袈裟な礼法を披露しながら、彼は言葉を紡いでいきます。

「ええ。私はただの傍観者に過ぎません故、一幕の劇の始まりを告げに参りました所存」
「……もったいぶらずさっさと用件を言え。おまえに付き合っている時間はこっちにはねぇんだよ」
「おやおや、手厳しい。なれば、前口上だけ語らせていただきましょうか」
 
 彼は空を見上げて両手を広げます。
 そして、やけに甲高い声で語りだしました。 

「――舞台は未開の孤島にひっそりと佇む、刻命城。
 そこでは、昔話の面々が魔都タシガンに攻め込もうとしている」
「なッ、攻め込むだと……! 何の為に!?」

 彼はニヤリと口元を吊り上げます。

「彼らの目的は、城主をもう一度この美しきパラミタに生き返らせること。
 その為にするべきことは多くの者に強く記憶を刻むこと。
 さすれば、死した者を蘇らせることが出来る――世界の条理をも破る魔剣を彼らは手にした

「……そんなお伽噺めいた物、あるはずがねぇだろ」
「ああ、そうだ。そんな都合の良いお宝などあるはずがない。
 しかし、彼らは手にしてしまったのだ。そんなお伽噺めいた宝物を。
 嘘か真かは分からないその効果に、縋るしかなかったのだ――……」

 彼は歌劇の歌手のように高らかと声を張り上げました。 

「一夜限りの現代と過去の饗宴。
 お相手は、亡き城主のために命を削る取り残された召使い達。
 百年以上の時を経て止まっていた歯車が動き出す、動き出した歯車はもう壊れるまで止まらない」

 そこまで語り終えると、彼に涼司が問いかけました。

「おまえは、敵なのか……?」
「さあ、どうなのでしょうか。私はただの傍観者に過ぎません故」
「……どこまで、これに関わっている?」
「なに、ほとんど何もしていませんよ。私はただの傍観者に過ぎません故」

 目の前の男のその答えに、涼司は剣を抜き刀身を彼の首元に当てました。
 しかし、彼はぴくりとも動かず、気味の悪い笑顔を崩しません。
 そして、しばしの時が過ぎ――涼司はため息をこぼし剣を収め、ひとつだけ彼に問いかけました。

「……おまえの名前は?」
愚者とでもお呼びください」

 そして、愚者は丁寧にお辞儀をします。

「舞台はある、脚本は揃った。残るは役者のみ」

 今宵は満月。照らす月の明かりはスポットライトのように愚者を照らしました。

「――さあ、歴史の闇に消えた叙事詩を奏でよう。
 この結末が悲劇か喜劇かは、あなたたちの手に委ねられている」

担当マスターより

▼担当マスター

小川大流

▼マスターコメント

 こんにちは。初めましての方は初めまして。
 この度、シナリオを担当させて頂く小川大流です。
 よろしくお願い致します。

 今回は前編と後編に分かれたお話となっております。
 前編での目的は刻命城の城内への侵入
 それに立ち塞がる者を倒して頂くこと、となっております。

 ここからはシナリオガイドに書かれていない補足情報になります。


 ――――――――――


刻命城

 百年前までは魔都タシガンからでも見ることが出来た孤島に佇む古い小さなお城です。
 城主であるシャンバラ人が消えて以降、深い霧に包まれたかのように姿を消していました。

刻命城に仕える使用人「吸血鬼」

 シャンバラ人の城主に仕えた気高き吸血鬼の少女です。名前はフローラといいます。
 元々は何の戦闘能力を持たない一介のメイドだったようですが、愚者に魔剣を授かりフェルブレイドになったようです。
 今は城主に代わり、刻命城の全てを取り仕切っています。
 ※前編では戦闘に参加しません。

二人の門番「鬼人」と「天使」

 刻命城の門を守り続けた強靭な門番です。
 グラップラーのマホロバ人、グレンとヘクススリンガーの守護天使、レインです。
 その強さゆえ、古代種族「鬼」と「熾天使」になぞられ、「鬼人」と「天使」と呼ばれていたようです。
 グレンは己の身体全てを武器としているようです。
 レインは二丁の魔力の籠もった銃を扱うようです。

十人の従士達

 ヴァルキリーにより構成された刻命城の従士達です。
 ※前編では「魔術師」「征服者」「剛殻」「隠者」「正義」、が戦闘に参加します。
 また、誰と戦うかアクション内に記載して頂ければそちらを優先します。

 ・魔術師の従士
 ヴァルキリーの淑女でウィザードです。杖を装備しており、氷の魔法が得意のようです。
 ・征服者の従士
 ヴァルキリーの豪気な女性でフェイタルリーパーです。身の丈ほどの大剣を装備しています。
 ・剛殻の従士
 ヴァルキリーの青年でモンクです。己の拳のみを武器としているようです。
 ・隠者の従士
 ヴァルキリーの妙齢の女性でニンジャです。両手にクナイを装備しています。
 ・正義の従士
 ヴァルキリーの妖艶な女性でパラディンです。ランスを装備し、重厚な騎士鎧に身を包んでいます。

愚者

 正体不明のネクロマンサーです。
 刻命城の面々に魔剣を提供した本人ではありますが、その目的は城主の復活とは違うことのようです。
 彼は今回の戦いの行方を見守るために、刻命城の周辺にいるようです。
 
死した者を生き返らせる魔剣

 多くの者に強く記憶を刻むことでその者を蘇らせる魔剣、と言われています。
 が、その効果は定かではないようで、愚者のみその秘宝についてよく知っているようです。
 今の持ち主はフローラです。

城主のシャンバラ人

 刻命城の城主であったシャンバラ人の男性です。
 その最後は天寿を全うして死んでしまったようです。

◆NPC

 山葉 涼司は後方で指揮にあたっているため戦闘には参加しません。
 

▼サンプルアクション

・二人の門番と戦う

・従士と戦う

・愚者を追う

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2012年03月27日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2012年03月28日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2012年04月01日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2012年04月13日


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