薔薇の学舎

　遅咲き桜が咲き始める、空京内のとある公園。
　その日、公園では『花祭り』が開催されていました。

「わあ……今年も素敵な花がいっぱいですわ」

　昨年もこの花祭りを訪れた泉　美緒（いずみ・みお）は、今年も開催されている頃だろうかと考えた末、公園を訪れました。
　そうしたところ、丁度、花祭りが開催されていたのです。

「これが、昨年、美緒が楽しんできたというお祭りですね。様々な花が咲き乱れていて、素敵ですね」

　今年は、パートナーのラナ・リゼット（らな・りぜっと）も共に訪れています。

「この辺りはお花の展示と販売ばかりですが、奥には屋台なども並んでいますの。お姉様、是非一緒に周りましょう？」
「喜んで」

　そうして、２人は花祭りの会場へと足を踏み入れます。

　鉢植えの花たちは、作成者の渾身の想いも詰められていて、素敵なものがたくさん並んでいるようです。
　老若男女、様々な花好きたちが、それぞれの作品を見たり、花について語り合うなど、ゆったりした時間が流れているようです。
　美緒たちもそれらに混ざり、１つ１つの作品を眺め始めました。

＊＊＊

「花祭り、ねぇ……」

　一方、別の出入り口付近では、雅羅・サンダース三世（まさら・さんだーすざさーど）が会場を見渡していました。
　空京へと買い物に来たところ、近くを通りかかった際、花祭りのチラシを渡されて、足を運んでみたのです。

　彼女の立つ出入り口からは丁度、雑貨を取り扱う出店などが並んでいるのが見えます。
　少し奥には、作成コーナーと書かれた幟も見えました。

「……楽しそうじゃない♪」

　軽く回ってみようと、雅羅は一歩、会場へと踏み出します。

　暫く歩いていると、菓子などの匂いとは違う甘い香りが漂い始めました。

「何かのお花かしら……？」

　香りに誘われるままに、奥へと進んでいくと、遅咲きの桜に囲まれた広場へと辿り着きます。
　それと共に何だか酔っ払ってしまったかのように、頭がぼぅっとしてきました。

「桜、綺麗ね……」

　ぼぅっとしながらも、広場を囲う桜を見上げていれば、不意に肩を叩かれました。

「おう、姉ちゃんも一緒にどうだ！？」
「一緒にって、何を……？」

　声を掛けてきた花見客に誘われるままに広場中央、ステージの方へと足を向ければ、とても賑やかにドンちゃん騒ぎが繰り広げられています。
　皆も雅羅同様、酒を飲んでいるワケでもないのに、酔っ払ったように中てられた顔をして、中には暑さから脱ぎ出してしまうような人も居るようです。

「な、な、な……ッ！？」

　何事なのか、と。問い掛けたい反面、ぼぅっとする頭では考えることもままならなくて、雅羅は周りの花見客と共に、広場で騒ぎに巻き込まれるのでありました。




――皆さんも、春のうららかな一日を花に囲まれて、のんびりと、はたまたドタバタと、過ごしてみませんか？

　こんにちは、朝緋あきらです。
　今年も、花祭りへと皆さんをご案内いたします。

　ガイド内にも書きましたとおり、公園の西側の入り口付近に、鉢に植えられた花を展示し、見に来た客が気に入ったものがあれば販売しているスペースがあります。
　反対側である東側の入り口付近には、花模様や造花などをあしらった雑貨を取り扱う出店が並んでいて、ネックレスや花冠などを作成できるコーナーもこの一角にあります。
　それぞれの入り口から更に奥――公園の中央へと向かうと、遅咲きの桜に囲まれた広場を囲うように花に見立てた菓子など食べ物を売る屋台が並び、真ん中辺りには出し物を披露するステージなどもあって、飛び入り参加も歓迎しております。

　ただ、広場付近ではどうやら酔っ払った症状を引き出す花粉や、暑さから思わず脱ぎだしてしまうほど熱を誘発する花粉などが蔓延してしまっているようです。
　一般的なマスク如きでは入り込んでしまうほど、強力な花粉となっておりますので、広場付近に向かう方は覚悟して臨んでください。

　作成されたネックレスや花冠などはアイテムとしては発行できませんが、称号を配布いたします（カップル・グループで作った場合、カップル・グループの名前入りの称号になりますが、名前が不要の場合はその旨、記しておいてください）。
　恋人、お友だち、兄弟姉妹……などとお誘いあわせの上、訪れてみてはいかがでしょうか？

　美緒とラナ、雅羅も参加しております。
　美緒とラナは花の展示や雑貨の屋台の辺りを巡り、雅羅は広場の騒動に巻き込まれているようです。
　共に巡るなり、騒動に巻き込まれるなり、お気軽に声を掛けてくださいませ。

　では、皆さんの参加をお待ちしております。

・花のお菓子を食べ回ろう

・ネックレス作ろう