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王子様とプールと私

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シナリオガイド

白馬のキロス様と、プールでデートを致しましょう(提案)
シナリオ名:王子様とプールと私 / 担当マスター: 八子 棗

「キロス様……」
 ロスヴァイセ家の屋敷の窓辺から、降りしきる雨を眺めて黄昏れているのはヴァレリア・ヴァルトラウテです。
 彼女は数ヶ月前まで、『琥珀の眠り姫(アンバー・コフィン)』と呼ばれる伝説の至宝とされていました。シャンバラ古王国時代に禁呪を施され、琥珀の棺の中で長い長い眠りについていたのです。
 ヴァレリアは、棺を見つけ出して管理していたキロス・コンモドゥス(きろす・こんもどぅす)と、ヴァレリアの兄であるロレンスの恋人だったユーフォリア・ロスヴァイセたちの必死の奮闘により、呪いを解かれ目覚めたのでした。

 ヴァレリアはユーフォリアとフリューネの住む屋敷に引き取られてしばらくの間、体調が優れずに休息を取っていました。ようやく最近になって元気を取り戻したヴァレリアは、ユーフォリアからヴァレリアにかけられていた禁呪を解いてくれたキロスと、その探索に加わった仲間たちの話を聞きました。
「ユーフォリアお姉様! 是非もっともっとキロス様のお話を聞かせて頂きたいですわ!」
 その中でもヴァレリアは、何日も籠りきりで古文書などの文献を調べ、誰よりも率先して危険を顧みず助けにきてくれた、キロスの話をせがみました。
 ヴァレリアも年相応の少女です。五千年の眠りから目覚めたヴァレリアにとって、キロスは白雪姫を目覚めさせた王子様の如き存在。

「わたくしは、キロス様と結婚する運命ですのね……」

 ヴァルトラウテ家の令嬢として大切に育てられ、世間に疎いヴァレリアが勘違いをするには、十分すぎる状況でした。
「とはいえ、結婚をするには急ですわ。こういう時は、ええと……まず、キロス様をデートにお誘いしましょう!」

 そして、何をどう間違えたのか、ヴァレリアは助けてくれたキロスへのお礼に、デートをすることに決めたのです。



「フリューネ様、お姉様。わたくし、キロス様に助けて頂いたお礼をしたいと思っておりますの。そこで、キロス様をデートにお誘いするつもりですわ。よろしければ、上手く取り計らって頂けませんか?」
 とある日、ヴァレリアはフリューネ・ロスヴァイセ(ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ)とユーフォリアにそう打ち明けました。
 突然ヴァレリアの口から出てきた『デート』の単語に、フリューネとユーフォリアはぽかん、とした表情でヴァレリアを見つめます。
「……キロスとデート?」
「デート、ですか?」
 首を捻る二人に、ええ! と、ヴァレリアは答えて輝かしい笑顔を二人に向けます。
「海京にあるプールのアトラクションが、最近リニューアルされたと聞きましたの! わたくし、是非そこに行ってみたいと考えておりまして」
「呪いを解いてくれたお礼で、プールデート……?」
 フリューネが首を捻ります。
「ええ。最近は本当に暑いですし、涼むことも大切ですわ。それに、ご縁のできた男性とはデートをするものなのでしょう?」
「ご縁、って、確かにキロスに助けてもらった縁はあると思うけど、それと恋人という意味での縁とは、ちょっと違うんじゃないかしら……」
「あら、そうですの? どのお伽話を見ても、姫を助けて下さった王子様はすぐ結婚していますわよ? けれど、結婚する前には、少なくとも一回はデートが必要だと思いますの」
 フリューネの突っ込みも意に介せず、ヴァレリアは独自の思考回路から導き出した計画を打ち明けます。
「えーと、ヴァレリアちゃんは、意識がはっきりした状態でまだキロスと話をしていないでしょう? キロスのどんなところを好きになったのかしら?」
「好き、というのはどういうことですの?」
 きょとん、とした顔で、ヴァレリアはユーフォリアの質問に答えます。
「お伽話の中の姫は、通りすがりの王子様とほとんど話もせずに結婚していますし、姫が王子様のどこを好きか、なんて書かれていませんわよ?
 助けてもらったから結婚する。結婚する前にはデートをする。ではいけないのですか?」

 ヴァレリアとの問答は平行線を辿りました。
 そして結局、フリューネとユーフォリアはヴァレリアの熱意に押し切られて「とりあえずキロスとデートするだけなら」と、了承することとなったのでした。



「困った事になりましたね。ヴァレリアちゃんは、恋愛というものを誤解しているみたいですけれど……」
 レジャースポットの雑誌を抱えたヴァレリアが自室に帰った後、ユーフォリアとフリューネは頭を付き合わせて悩んでいました。
「キロスの事が好きならまだしも、そういった感情もまだ分かっていないようですね」
「ええ……それでも、このままだとデート中にプロポーズしかねない勢いですし……どうしましょう」
 ただデートするだけだとしても、キロスがナンパしたり暴れたりする可能性もなきにしもあらず、その場を別の人に助けられたりしたらヴァレリアが別の人と結婚する気になってしまうかもしれず、ろくなことになりそうにないのは確かでした。
「どうにかして、ヴァレリアの価値観を変えられればいいのですが……」

 不意に、ユーフォリアは何か思い当たったように顔を上げました。
「ヴァレリアちゃんが『自分を助けてくれた男性=結婚する相手』と思い込んでしまっているから、こうした問題が起きているのでしょう?
 それならば、他の男性と接したり世間の様々なカップルの様子を見てもらったりして、恋愛に関する価値観を養ってもらう、というのはどうでしょう?」
 現状では、ヴァレリアにとってキロスだけがこの時代で縁のできた男性です。ユーフォリアは、ヴァレリアが他の男性と接したり、楽しんでいるカップルの様子を見ることで、現在の価値観を変えられるのではないかと考えたのです。
「縁、という意味では、同性異性問わず、知り合いや友達もできた方が良さそうですね」
「それと、ヴァレリアちゃんが暴走しないか見張るついでに、私たちもプールで遊んできましょう。なんでも、屋内プールのプールサイドにある売店のクレープが、とても美味しいそうですよ」

 こうしてユーフォリアとフリューネは、こっそりキロスとヴァレリアのデートを見張りに行く事にしたのでした。

担当マスターより

▼担当マスター

八子 棗

▼マスターコメント

 こんにちは、または初めまして。年々夏の暑さが増している気がしている、八子 棗(やこ なつめ)です。

 今回は、プールで遊ぶシナリオです。皆様が楽しんでいる姿を見て、ヴァレリアの知識、経験がレベルアップします(?)。
 ヴァレリアやユーフォリアたちに絡むも良し、それとは関係なくプールで遊ぶも良し、お好きなように楽しんで涼んで下さいませ。

 ヴァレリアは兄のロレンス以外の男性とはほとんど接したことがなく、五千年前に聞いたらしいお伽話(詳細不明)と最近読んだ雑誌から得た僅かな恋愛知識に従って行動します。
 皆様の行動次第では、ヴァレリアが要らない知識を身につけたり、別の方向に暴走したりするでしょう。ジャンルもコメディ枠となっておりますので、そこはご自由に。もちろん、真面目なデート等も大歓迎です。


 ちなみに、ヴァレリアは「デートとは何か」もよく分かっていません。そのため、現地でナンパすることや一緒に遊ぼうと誘うことは充分可能です。
 ただし、常にフリューネとユーフォリアが見張っていることをお忘れなく。


■海京ウォーターパークについて
 最近リニューアルされた、プールのアトラクションが多数備わっているアミューズメント施設です。
 屋内外にプールがあり、屋内には温泉も備わっています。
 改装されてスリル感の増したウォータースライダーや、速さが増した流れるプールが人気のようです。

 パーク内には様々な飲食店や浮き輪等の貸し出しを行うショップが充実しています。
 男性には特盛ラーメンが、女性にはフルーツたっぷりクレープが人気のようです。


■登場NPC以外のNPCを誘う場合
 公式NPCに限り誘うことが出来ます。NPCと恋人や友人である場合、マスターシナリオで得られた称号を装備の上ご参加ください。
 称号が装備されていない場合や明らかに友好な関係と思われない称号の場合、NPCを誘ってもアクションが失敗する事がございます。

 また、公式NPCであっても、
・封印されている
・死亡している
・ナラカなどすぐに来ることの出来ない場所にいる

 などの場合は呼び出せません。

 また、公式NPCを登場させたい場合、1人を呼ぶにはLCの追加参加が1人分必要になります。(そのLCは参加しません)。
 MC、LCのアクション欄にNPCの行動を書くことは可能です。ただし、NPCはその通りに動くかどうかは分かりません。

▼サンプルアクション

・ヴァレリアをナンパする

・尾行を手伝う

・友達とプールを楽しむ

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年07月22日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年07月23日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年07月27日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年08月09日


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