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人魚姫と魔女の短刀

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シナリオガイド

古代遺跡に隠された地下施設 強化人間を救出せよ!
シナリオ名:人魚姫と魔女の短刀 / 担当マスター: 東安曇

 それは空京での騒動の数日後の夜。蒼空学園付近の某所――私設軍隊プラヴダの駐屯地のとある一室に、ターニャ(スヴェトラーナ・ミロシェヴィッチ(すゔぇとらーな・みろしぇゔぃっち))が駆け込んできました。
 彼女が背負ってきた見るからにただならぬ雰囲気に、プラヴダ隊長アレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ(あれくさんだるちぇとゔるてぃ・みろしぇゔぃっち)とパートナージゼル・パルテノペー(じぜる・ぱるてのぺー)は横目で目配せします。
「サーシャ、隊長…………ミリツァさんが居なくなりました!」
 アレクの妹ミリツァは、空京での騒動のあとターニャと彼女の契約者トゥリン・ユンサル(とぅりん・ゆんさる)のもとへ身を寄せていました。「暫くの間お兄さんとジゼルさんを落ち着かせてあげましょう」というターニャの提案をミリツァは素直に受け入れたように見えたのですが、内心は逃げ出したい程に拒否していたのでしょうか。
 肩を落とすアレクに、ターニャが一枚の紙を差し出します。
「部屋にあったミリツァさんの書き置きです。
 オスヴァルト・ゲーリングの元へ向かうと書かれていました。
 買い物に行くと出掛けたのは昼前で……なのにまだ帰らない。私がもっと早く気づいていれば……!」
 ゲーリングは以前から兵器セイレーンであるジゼルをつけねらう武器商人の男です。その男の元に単身乗り込んで行った少女がこんな夜更けまで帰らないと言う事は、ミリツァがどうなったのか予想がついてしまいます。
 ジゼルが心配そうに見守る中、書き置きを読んでいたアレクはふいに顔を上げてターニャの目を見ました。
「お前は、これが読めるんだな?」
 ミリツァが書いた書き置きはアレクとミリツァの母国語で書かれており、ロシア人であるターニャには殆ど読める筈の無いものでした。自分の失敗に気づいて息を止めるターニャの反応にアレクは嘆息し、扉へ向かって歩き出しました。
「今はいい。その事は後だ」
「お兄ちゃん待って、何処へ行くの!」
 追いかけてきたジゼルに振り返りもせず、アレクは廊下を進んで行きます。
「ミリツァを助けに行く。ゲーリングの居場所は割れてる」
「駄目! ゲーリングは危険な男だわ。もしミリツァを盾に取られたら……、ねえアレク落ち着いて――」
「落ち着いてられる訳ないだろ!!」
 激昂するアレクにジゼルは言葉を止めます。一度ならず二度迄もミリツァを失うかもしれないと焦るアレクの気持ちを理解していたからです。
「ごめん…………もう行く」
 アレクが止めていた足を動かした瞬間、彼の身体は前に突んのめる様に倒れてしまいます。
 ジゼルが慌てて振り返るとそこには、麻酔時計を構えるトゥリンが立っていました。その後ろからキアラ・アルジェント(きあら・あるじぇんと)が追いついてきます。
「い、今のトゥリンが……? お兄ちゃん思いっきり顔面からいったけど大丈夫なの!?」
「心配しないでジゼル。この麻酔は象捕獲用くらいの量に変えてあるから暫く起きない」
「これでゆっくり作戦会議が出来るっスね」
「そ、そうね……そうよね。落ち着かなきゃ何にもならないものね」
 息を吐くジゼルの肩を後ろからトーヴァ・スヴェンソン(とーゔぁ・すゔぇんそん)がトントンと叩きます。そしてトーヴァは背中の後ろから何かを取り出すと、秘密を分け合う様にウィンクしてみせるのでした。

* * *

「――おい…………。縛った理由は理解出来る。だが問題は縛り方だ! あと吊るす意味ねえだろ!」
 天井から赤い荒縄で亀甲縛りでぶら下げられているアレクが目を覚ましたのに、トーヴァはケロリと答えます。
「ごめんね。おねーさん陸軍所属だからこの縛り方しか知らないのよ」
「んな訳ねえだろ糞ビッチ! 海兵じゃなくてもこのくらい基礎知識だ! 貴様の軍歴は何年だ言ってみろこの年増が!!」
「うーんまだ暴れる気力が有るみたいねー。
 よしジゼルちゃん、お兄ちゃんをパンツ一丁に剥いちゃってくれる? キアラちゃんは私のロッカーからロウソク持ってらっしゃいな。ターニャは部屋からちびっこを出して」
「はーい」
 悪女に加担した三人娘が指示に従い動き出すのにアレクは大声で制止します。
「分かった分かった分かった何も言わない! 黙るし暴れないし兎に角大人しくするから今直ぐ下ろせ!!」

 こうして両手足を手錠で拘束されただけで済んだアレクの前に、分隊長達とキアラが呼んできた契約者達が呼び寄せられました。隊長が拘束されている原因について空気の読める隊員達は誰も触れようとせずに、作戦会議は粛々と進んで行きます。折をみて手の空いたトーヴァがジゼルと契約者達に向かって個人的に説明を始めました。
「――去年の夏頃かしら、私達が交戦したテロ組織に数人の強化人間が居たの。戦いを強制されていた彼女達は、身体に悪影響を及ぼす程無茶な改造を施されていてとても普通とは言えない状態だった。
 それについてテロ組織の兵士に『聞いてみたら』、ある企業から購入したものだって吐いたわ。そこから洗って出てきたのが『トーヨーダイン』」
「その会社名、製薬関係の会社のお客さんから聞いた事があるわ。強化人間を対象にした分野が得意で業界で急成長してるって――」
「そうね、表向きは薬品開発部門を持っている一般的な軍需企業。ただし、この会社裏の顔がある。
 数年前から発掘調査を目的とした子会社を隠れ蓑に、シャンバラ大荒野の片隅にある古代遺跡で、考えうる限り……いいえ、マトモな神経なら思いつかないような非人道的な実験を繰り返してる。その結果の死体の山を地下深くに隠しながら」
「どうしてそんな酷い事を……」
「強化人間を超えた強化人間。究極の兵器を作る為よ」
 究極の兵器。その言葉を聞いてジゼルは顔を蒼白にします。
「うん、誰かの研究に似ているわね。
 更に言うとゲーリングが武器商人として成功出来たのは、ここの出身だったからね。元々テロ組織や鏖殺寺院を裏の顧客としていたトーヨーダインの幹部だったからこその、ノウハウがあった訳。
 トーヨーダインは教導団に収監されていたゲーリングの脱走を幇助した。ゲーリング側は恐らく私たちに埋め込まれていた、あの洗脳石の研究を手土産にしたんでしょう。
 それから施設内でスリープ状態だったミリツァ……様って言っておこうか? を見つけて、イルミンスールの地下に運んだのよ」
「全部が私を罠にかける為に…………」
 俯くジゼルを励ます様に一度腕を握って、トーヴァはアレクを見ます。
「さて隊長、どうしようか。
 この分かり易い悪党共を前に、私達の正義の神様は何て仰ってるの?」
 アレクは立ち上がり、何時の間にか外していた手錠をテーブルに放り投げ言いました。

「撃滅せよ」

担当マスターより

▼担当マスター

東安曇

▼マスターコメント

 こんにちは、東です。
・本シナリオは【茨姫は秘密の部屋に】【白雪姫へ林檎の毒を】の続編に当たるシリーズの三回目(最終回)です。
・以下に施設の内部が記載されております。そちらの中から一つ選びアクションをかけてください。
 『どこそこ室』に行き、強化人間を助けて地上へ脱出する。『施設裏』で職員の逃走用の足を破壊するが今回の主な目的になります。戦力に偏りが無いよう掲示板での話し合いを推奨致します。
・また、今回のシナリオでアレク・ジゼルとは共闘出来ません。彼等とは戦いに赴く前に会話可能なので、そちらでアクションをかけてください。(なお『戦いの前の会話』と『バトル』両方を書いてもダブルアクションとは判定されません。)

* * * * *

【トーヨーダインの隠し施設】
・シャンバラ大荒野の片隅にある古代遺跡。その地下にトーヨーダインの隠し施設が存在します。
 内部はシンプルで整然とした近代的な建物で、エレベーターと階段で昇降可能な地下47階だて。つまり階段はとても疲れます。
 ゲーリングによって施設に連れて来られ収容されそうになっていたミリツァは、プラヴダが突入してきたことで混乱に乗じて施設内の以下の部屋(警備室を除く)を逃げ回っています。

『警備室』NPC……トゥリン
 警備員とT部隊が詰めています。またここから施設各所にある監視映像をチェックし、指示を送っています。

『収容室』NPC……キアラ
 捕らえられた人間と、手術後の人間が収容されています。彼等は自力で歩行可能です。
『手術室』
 捕らえられた人間が強化人間の手術を受けている場所です。麻酔で眠っているものが多いです。
 *『収容室』と『手術室』は地続きです。一室として判定されます。

『実験室』NPC……ターニャ(スヴェータ)
 建物の一番下に位置します。すでに強化人間手術を受けた人間が実験動物として扱われています。多くは肉体や精神に酷い傷を負っており、歩く事もままなりません。

*施設内には傷を負っている実験台の人間達、仲間の契約者やプラヴダの隊員が居ます。
 また、一部は脆い遺跡をそのまま利用している為、施設内部を破壊するような武器やアイテム、スキルの使用(行為)は厳禁です。

『施設裏』NPC……トーヴァ、プラヴダ
 施設職員たちの逃走用車両が置かれています。警備員たちが車両を守っていますがトーヴァ曰く「逃げられてもメンドイしぶっ壊しちゃいましょう」。

『施設表』
 警備員の陽動にアレクとジゼルが向かいました。アレクが手加減しないで動いている事、ジゼルが常人なら鼓膜が破れるような声まで出している事から、近寄る事は出来ません。


【敵】
『オスヴァルト・ゲーリング』
 ミリツァを人質にする為に施設内を探しまわっています。
 彼が紛れ込んでいる施設内の職員ならびに研究員は全てマスクを着用している為、簡単に見つける事は不可能です。また小銃を装備しており、だまし討ちされる可能性も高いです。
 ミリツァを探し出すと、彼女が『反響』で見つけ出してくれるので、捕縛しましょう。

『職員・研究員』
 ほぼ一般人です。ほぼ全員が施設裏にある逃走車両に向かっています。中には破れ被れでメスや銃で応戦してくるものもいるかもしれません。トーヨーダインの悪事を暴くため、捕縛を推奨します。

『警備員』
 トーヨーダインが内外で雇った警備員。能力は通常の訓練を受けた人間と変わりませんが、かなり数が多いです。彼等は全て剣や銃、肉体による物理攻撃を主としています。
 遭遇場所……施設内各所、施設裏

『T部隊』
 トーヨーダインが独自に持つ非正規部隊。隊員は契約者で締められており、その能力は高く何れも上級クラスですが、数はそれ程多く有りません。彼等もまた剣や銃、肉体による物理攻撃を主としています。
 遭遇場所……警備室、収容室、実験室、施設裏
 機晶戦車……施設裏

『改造強化人間』
 トーヨーダインの技術で手術を施された強化人間達。胸にゲーリングが技術提供した洗脳石(血星石のようなもの)が埋め込まれており、彼等の意志に関わらず闘い続けます。
 殺害も可能ですが、ジゼルの歌によって石が鎖骨中央に発現しているので、石を破壊して行動を止めましょう。
 *なお鎖骨は折れ易いので精密な攻撃が必要です。
 遭遇場所……施設裏、実験室

『逃走用車両』
 施設職員達の企業と個人が所有している車両やヘリコプター。施設裏に数百台停車しています。

▼サンプルアクション

・強化人間救出!

・ヘリを破壊する!

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年10月17日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年10月18日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年10月22日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年11月08日


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