空京

　シャンバラ大荒野における教導団とパラ実の戦闘は、ドージェ・カイラスただ一人によって教導団と義勇兵が蹴散らされる恐れが出てきました。
　現在、関帝聖君関羽・雲長（かんう・うんちょう）を中心に、ドラゴン四頭やケイティ・プロトワン操る新兵器での防衛線を計画されています。
　しかし、ドラゴンの支配下手術や新兵器開発に関わった第一師団技術科少佐カリーナ・イェルネ教授みずからが、現状兵力のみではドージェに対抗しうる力は無い、と断言しているそうです。

　第一師団参謀科はこれを受け、ドージェの今後の活動予測を発表しました。
「ドージェは関羽を中心とした防衛ラインを突破後、60％の確率でヒラニプラ本校襲撃、40％の確率で反転して世界樹イルミンスール切り倒しに向かう見込み」
　参謀科ではドージェは、南下するパラ実略奪部隊とは異なり、より強い存在と戦うために進むと見ています。
　これを受け、イルミンスール魔法学校では、学校関係者や在野の魔法使いを集めた魔法兵団を結成。対ドージェ戦へ義勇兵として投入すると発表しました。


　とはいえ、教導団もドージェとばかり戦っていられません。
　兵力十数万のパラ実部隊を食い止めなければ、調子づいた略奪者たちは、大荒野どころかシャンバラ各地の村落を襲うでしょう。
　教導団団長金鋭峰（じん・るいふぉん）は第一師団を指揮して、略奪部隊の進軍を阻む構えです。
　パラ実の部隊は、数千〜数万の兵で攻めては引く事を繰り返し、教導団側は間断なく戦闘を強いられ、疲労が蓄積しています。
　また、パラ実側には一見、統一された指揮系統が見当たらないのに、部隊の投入タイミングが的を射すぎているようです。
　金団長は、憲兵科大尉灰　玄豺（フゥイ・シュエンチャイ）ら憲兵に、団員や義勇兵、百合園看護隊の中に内通者が潜んでいないか捜査にあたるよう命じました。
　他に、戦いが長引くと、義勇兵の中には様々な理由で戦列を離れる者が出てきます。
　たとえば看護隊の百合園女学院教師ヘルローズ・ラミュロスは、空京のデパートで開催される百合園レース展のために戦場を離れます。


　他に、前線の兵士から奇妙な報告がありました。
　児玉　結（こだま・ゆう）と名乗るパラ実の女生徒から、次のような言葉を託された（？）そうです。
「ランランから伝言なんだけどぉー。アメリカと中国と日本がヒミツにつかまえてる鏖殺寺院をかいほーすれば、ドージェをどーにかしてあげるって。
　あとはー。ヘタすっとヒラニのガッコもデケェ木も壊されっから、ドージェのやりたいコトを察しろ的な？　パネェ相手にはじょーきょー言って空京守っとけ的な？」
　若者言葉で分かりづらいですが、彼女もランラン（愛称？）なる人物から伝言を託されたようです。
　ともかく、米国、中国、日本が「秘密裏に拘束する鏖殺寺院メンバー」は存在しません。と言う事になっています。
　教導団ではこれをデマの類と片付けました。



　早朝、豪華な造りで有名な空京市市議会議場が爆破されました。怪我人はいませんでしたが、議会場が大破しました。
　爆破テロの後、空京市に対して鏖殺寺院報道官ミスター・ラングレイが犯行声明をメールで送りつけました。さらに次のような脅迫めいた言葉も続きます。

「度重なる警告を無視し続け、鎮魂の地に都を建設した報いが、今、あなた方に降りかかろうとしています。
　これより後、我ら鏖殺寺院の神がこの地に降臨し、救世を行ないます。
　神の寝所が現れる時、その前兆として人を喰らう獣が、無数にこの地に現れるでしょう。
　数万、数十万の民の犠牲に背を向ける貴人には、地の果てまでも死が追いかけ、いずれ世界は闇へと消えるでしょう」

　空京警察や市はこれを新たなテロ予告と考え、市内全域で大規模な警戒態勢が取られました。
　本来ならばシャンバラ教導団の出番なのですが、教導団は対パラ実戦争に手一杯で、兵力を出す余力はありません。

　やがて予告通り、空京市内に凶暴なモンスターが現れます。
　これは先の調査活動の生徒たちにより、市民に犠牲を出す前に倒されました。しかしモンスターの出現は日々増えていきます。
　各校はようやく本腰を入れて、空京市内の警備を始めました。

　ある日の夜、空京市に大きめの地震が起きます。
　この地震直後から、市内各地には様々なモンスターの群れが現れ、暴れ始めました。ヒドラやワイバーンなどの巨大な怪物もいます
　市内オフィスで魔法波動を観測するアナンセ・クワク（あなんせ・くわく）たちは、地震の原因に気づきました。
　空京の地下数百ｍの地中に、塔のような長さ三百ｍ、直径五十ｍの円筒形の物体が現れたのです。それが発する魔力は、五千年前の破壊をもたらした存在と同種の波形を示しています。
　これは鏖殺寺院が「救世主の寝所」と呼ぶ建造物でした。
　鏖殺寺院の長アズール・アデプターが寺院メンバーを引き連れて、寝所内部にテレポートします。
「我らが救世主の、目覚めの時が来た！　我らが神に、贄を捧げよ！！」
　長アズールが熱狂的に叫び、信徒たちが歓声をあげます。長は幹部白輝精と共に救世主降臨の儀式を始めます。
　長の身辺警護にはヒダカ・ラクシャーサがパートナーの真田　幸村と共にあたります。

　なお寺院幹部のうち林　紅月（りん・ほんゆぇ）は、中国や自治区に関心があるのか、ドージェの見張り役として戦地に残っています。

　また、救世主降臨の儀式にあわせて、空京市内で地球人の少女、二十人あまりが鏖殺寺院によって拉致され、寝所に連れてこられました。
　しかし救世主の寝所は、地中三百ｍの深さにあります。
　ここに来て、当初は軽視されていた空京市内の波動調査が注目されます。
　オフィスのモニタには、寝所の全体像（波動の強弱を映像化したもの）が写され、変化をいち早く捕捉できそうです。
　各学園は、この情報を元に寝所の位置を特定。掘削機械や魔法を駆使して、寝所まで垂直に穴を掘って内部に侵入し、救世主降臨を妨害、又は拉致された女性を救助する作戦を立てました。
　これには魔剣の主高根沢理子（たかねざわ・りこ）とジークリンデ・ウェルザング（じーくりんで・うぇるざんぐ）も参加します。
「鏖殺寺院なんかに、これ以上、空京で好きにさせるもんですか！」
　燃えるリコの前に、怪しい人物が現れます。
「はーはっは！　それは鏖殺寺院の長アズール・アデプターである私への挑戦だなっ？」
　自称アズールの変な魔法使いです。ゴクモンファームは追い出されました。放っておくと、寝所への突入についてきそうです。
　蒼空学園の要請で砕音・アントゥルース（さいおん・あんとぅるーす）も、一時的にイリヤ分校を離れて空京に派遣されます。
　彼はアナンセが得た情報を生徒たちに伝えたり、寝所の魔法装置から情報を奪取するために生徒たちと同行します。砕音は最近、体調が悪いので、戦闘では支援攻撃程度しかできないそうです。


　一方で、鏖殺寺院でもラングレイの部下リージェ・ストライトやグエン　ディエムは、少女たちの拉致は意味ない事だとして開放の機会を伺っています。
　ただ拉致され監禁されている少女の中には、凄惨な儀式を推進しようとする者が紛れこんでいるようです。

　また、救世主降臨時に伴う空間制御の補佐を行なう白輝精の分身ヘル・ラージャ（へる・らーじゃ）と、連絡が取れなくなっています。
　ヘルは寝所とは別の浮遊砲台にいるのですが、砲台が古代の魔法装置で姿を消している関係で、鏖殺寺院メンバーですら、今どこに砲台があるか知る事もできません。本来なら携帯電話で連絡できるのですが、なぜか電波が通じません。
　もっとも寝所の儀式場の状態から、ヘルも仕事はしているようなので問題にはされていません。ただミスター・ラングレイだけは焦っているようです。

　一方、浮遊砲台にいるヘルは、携帯電話の電源を切って空間制御魔法を執り行っていました。電話連絡はせずとも、密かに寝所においてきた分身からそちらの状況は分かります。
　友人たちには、砲台に来る前に次のようなメールや書置きを残しています。
「救世主降臨で鏖殺寺院の仕事が忙しくなるから、少し連絡が途絶えるかもしれないけど、心配しないでね」
　しかしヘルの表情はいつになく鎮痛です。
（降臨した『彼女』は、まず空京市を襲うはず……。ラングレイが、魔剣で注意をそらしても現状じゃ苦しい。降臨直後に最大火力で叩くしかないね。今の僕のスフィアなら、彼女も一瞬は躊躇するはず。そこが狙い目だ）
　ヘルの手に水晶球のような球体が現れます。以前に比べると格段に暗く、ぼんやりとした明かりが宿っています。
（ライトスフィアの状態なら……ここで殺られても世界は守れるよ）
　ヘルがそう決意を固めているのに、彼の偽パートナー黒田智彦（くろだ・ともひこ）は「ひまー」と携帯電話のオンライン対戦ゲームで遊んでいます。もちろんバレるとヘルに怒られるので、隠れて遊んでいるようです。


　戦場ではドージェの侵攻が進み、空京では鏖殺寺院が崇める闇の救世主降臨が迫っています。
　シャンバラは混乱の時代に突入するのでしょうか？

　グランドシナリオ『建国の絆』第３回をお送りします。

　世界の状況はドージェと教導団の戦いや、空京での鏖殺寺院の『救世主』復活な
ど、ますます混迷の度合いを深めてまいりました。
　この状況を打破し、シャンバラに新たな展開をもたらすのは皆様のアクションで
す。
　ぜひご参加ください。

　アクション上の各種注意です。

・シャンバラ大荒野の大部分、及び寝所の中では（パートナー間通話を除き）携帯電
話が通じません。

・戦争では、第一師団少尉、及びＥ級Ｄ級四天王のＰＣは、十人程度の部下を指揮し
て活動する事ができます。

・パラ実校長捜索やイリヤ分校につきましては、第２回リアクションをご参照の上、
アクションをおかけください。

　その他これまでと同じく、今回ご参加の皆様にも、プレゼントアイテムをお送りさ
せて頂きます。

　また、アクションには投票要素もございます。
　救世主対策やパラ実と教導団との戦争など、かかわったキャラクター数その物も影
響を与えます。
　関わった人数が多ければ、採用不採用に関わらず、それだけ作戦成功の確率があが
ります。

　では、皆様の素晴らしいアクションをお待ちしております。
　アクション締切は11月21日（土）の朝10：30分となります。

・闇の救世主復活を止める

・空京市内でモンスターから市民を守る

・寝所に捕らわれている少女たちを助ける

・パラ実略奪部隊の南下を食い止める

・ドージェと戦う