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嘆きの邂逅~悲喜の追録~

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シナリオガイド

忘れ物を取りにいこう。大切な人を、迎えに行こう。
シナリオ名:嘆きの邂逅~悲喜の追録~ / 担当マスター: 川岸満里亜


シナリオガイドとマスターコメントをよくご確認の上、参加をご検討下さい。

 エリュシオン軍が撤退をし、ヴァイシャリーが再び日常を取り戻した頃。
 ヴァイシャリー家の一人娘であるラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)は、ヴァイシャリー家の敷地内にある私邸に、秘密裏に契約者達を集めました。
 彼女が連絡を入れて招いたのは――離宮調査隊員として、危険な地に赴き離宮調査を行ってくれた契約者。
 離宮調査本部の一員として協力し、調査終了後もそれで終わりとせず、調査の継続や、以後の協力を申し出た者。
 離宮に再封印を施した、アレナ・ミセファヌス(あれな・みせふぁぬす)が親しみを感じている人物。
 かつての女王の騎士ファビオ・ヴィベルディ(ふぁびお・う゛ぃべるでぃ)神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)のパートナーのゼスタ・レイラン(ぜすた・れいらん)
 そして、白百合団員の班長と、特殊班員、ロイヤルガードの資格を持つ白百合団員です。
「再び、離宮に下りる準備が整いました。ジュリオ様の封印を解除し、宮殿に皆様をテレポートさせます」
 ラズィーヤはテーブルの上に、一振りの剣を置きました。
「こちらは、神楽崎優子さんの愛刀と、アレナ・ミセファヌス(あれな・みせふぁぬす)さんが纏っていた衣服から作った剣です」
 アレナは離宮に向かう少し前に、瀕死の重傷を負いました。
 その時に流した大量の血液が、保管されていた衣服にしみこんでいたのです。
 つまり、テーブルの上にあるこの剣は、かつての女王のクローンであるアレナの血が材料となっています。
 更に、材料に機晶石も使われており、制御用のAI装置も組み込まれているということです。
 離宮調査隊員のアイディアを元に、現在のシャンバラの最新の技術、離宮調査で得た資料、エリュシオン帝国から得た技術。それらすべてを駆使して、作り出したものだといいます。
「この剣を持って、皆様に離宮に下りていただきたいと思います」
 ヴァイシャリー家の敷地内から離宮の北の塔に下りて、ヴァイシャリー軍人の遺体と遺品を回収すること。
 離宮に残してきたものを回収し、可能な限り清掃をすること。
 南の塔で眠っているアレナ達の封印を解いて、地上に連れて戻ること。
 最後に、宮殿の中央。6騎士の1人が眠っていた、かつて封印が行われた部屋に、この剣を刺して離宮の封印を施すこと。
 それらのことを、ラズィーヤは集まった契約者達にお願いしていきます。
 離宮については、回収した資料により、どの程度の装置が眠っているのか、おおよそは判明していますが、それを現代の知識で有効に活用することは難しそうだとも判っています。
 このまま、時が来るまで離宮は眠らせておく方針のようです。
「優子さんには、この件についてお話してはいません」
 その理由として、ラズィーヤは優子がロイヤルガードの仕事で非常に忙しくしているということと、彼女が反対をする可能性もあるからだと説明しました。
「優子さんは、アレナさんの大切な人であるアムリアナ女王をお救いし、女王としてお迎えできなかったことに、少なからず責任を感じているかもしれません。そして、アレナさんを迎えに行くということは、安らかに眠っている彼女を、再び戦乱の中に呼び戻すことになりますから。……それでも、早く迎えにいってあげることが、アレナさんにとっても、優子さんにとっても、良い未来となるとわたくしは思いますわ」
 ラズィーヤはそう微笑んで、剣を契約者達に託しました。

○     ○     ○


「優子さん……優子さん……優子、さん……」
 自分の名前を呼びながら、泣いている少女に、神楽崎優子は手を伸ばしました。
 彼女の衣服はボロボロで、小さな体は傷だらけでした。
 彼女を癒したいと思うのに、優子は少女の体に触れることが出来ませんでした。
「……すまない。だけど、何も悲しむことはない。シャンバラは建国された。キミが戻って来た時には、平和が訪れているはずだから」
 必ず迎えに行くよと、少女に優子は語りかけます。
「違う……違う……っ」
 闇の中に溶けるように、少女の体は薄れていきます。
「私は、悲しくはないんです。皆をこうして守ることができて、優子さんを皆のところに返すこともできて。傍にいてくれる人もいて……。だから、これは私の気持ちじゃないんです」
 彼女の――アレナの目からは大粒の涙がとめどもなく溢れていきます。
「これは、優子さんの気持ち。心の奥に固く封印してある感情。自覚のない、あなたの心――」
 アレナが優子に手を伸ばします。
 だけれど、アレナの手も、優子に触れることはできませんでした。
「優子さんの傍にいたい、です。見ているだけじゃなくて、ちゃんと力になりたいです。一緒に護りたい、です。私達の世界のために戦ってくれている人達を――」
 ぽたぽた、涙をこぼしながら、アレナは声を絞り出します。
「あなたを、まもりたい、です」
 その言葉を最後に、彼女の声も体も、闇の中に溶けてしまいました。
 闇の中に一人、優子は佇み続けます……。

 腕時計のアラームの音で、神楽崎優子は仮眠から目覚めました。
(……最近、同じ夢ばかり見ている気がする。アレナの、夢……)
 額に手を当てて、目を閉じ考え込みますが、夢の内容を思い出すことは出来ません。
 ただ、泣いているアレナの姿だけが、脳裏に残っていました。
「神楽崎いるかー!」
 突如、優子の私室に男性が入ってきました。――パートナーのゼスタです。
「鍵、かってあったと思うが?」
 ガウンを羽織り、剣を持って優子は起き上がりました。
「合鍵持ってるに決まってるだろ。ここは俺の部屋でもあるからな」
 ここはロイヤルガード隊長に就任した時に与えられた、優子とパートナーの私室です。
「一人じゃ広すぎるだろ? 俺もたまにはここで寝泊りするか」
 しかし、ゼスタはこれまで一度も、ここを利用することはありませんでした。
「タシガンに立派な私邸をいくつも持ってるんだろ、キミは」
 優子は鏡台へ向かい、乱れた髪を梳かします。
「なんか機嫌悪いな……。ところで優子チャン、週末の予定は?」
 ゼスタはにっこり微笑みを浮かべます。
 彼はとても機嫌が良いようです。
「これから空京で警備体制についての会議だ。週明けには戻る」
「ふーん。なるべく早く戻ってきた方がいいと思うぜ? プレゼントがあるんだ」
「貰う理由はない。遠慮するよ」
 優子は大きくため息をつきました。ゼスタからのプレゼントは微妙なものが多いのです。
「俺からってわけじゃないし、期待していいと思うぜ? とにかく早く帰ってこい。予定、キャンセルできるのなら、しちまえよ」
 ゼスタの言葉に、優子はいぶかしげに眉を寄せました。
「何かあったら、すぐ連絡しろよな。俺達はどこにいても、繋がってるんだから」
 携帯電話を手に、ゼスタは楽しげに笑いました。
「…………」
 優子はブラシを鏡台に置いて、ポーチを手に取りました。
(離れていても、パートナーとはどこか繋がっている。そして離宮は封印されている間も、僅かに時間が流れていた。……アレナも、夢を見ているのだろうか。同じ、夢を……)
 それから充電していた携帯電話を手に取って、少しの間眺めた後、ポーチの中に入れました。

担当マスターより

▼担当マスター

川岸満里亜

▼マスターコメント

こちらのシナリオは去年夏に完結をした、「嘆きの邂逅」の離宮、アレナ・ミセファヌス関連のお話です。

こちらのシナリオでは「嘆きの邂逅」と同様に、PL情報とPC情報の違いにご注意下さい。
ガイドやリアクションに載っていても、自分のPCが知る手段のない情報は知っているとして行動することができないとさせていただきます。

NPCから特別に聞いた、NPCに訪ねて情報を得たなどという事前行動設定を頂いた際には、その行動のみの採用(「NPCと会話しに行く」という行動とその行動の成否判定)とさせていただく予定です。
情報を交換できる状態のPC間で情報の受け渡しをする際には、双方のアクション欄にその旨お書きください。こちらは1アクションとカウントいたしません。ただ、部外者への情報提供は禁止されていますので、十分ご注意下さい。

尚、追加募集になってからは、追加募集で参加された方のみ、たまたまヴァイシャリー家に訪れていて、ラズィーヤから話を聞き、事務処理を手伝うという行動を可といたします。
どの程度の話が聞けるのかは(人物にもよりますので)、こちらで決めさせていただきます。

方針につきましては、離宮編に近い形の方針で行わせていただきます。相談に公式掲示板をご活用いただければ助かります。
離宮に下りる可能性がある人物は、ガイドとこのコメントに記されているNPCと、PCのみです。白百合団員やヴァイシャリー軍人などの名無しNPCの同行はありません。
大きなことや、人手が必要なことをする際には、公式掲示板で皆の意見を聞いてみたり、仲間を募ってみてください。今回は1回限りのシナリオですので、単独アクションで何らかの提案されたとしても、あらかじめ協力者を募っておきませんと、人手不足等で実行は不可能となってしまいます。
逆に、皆様が相談で決めて仲間PC達の支持を得ている事柄であるのなら、ガイドで行うと書かれていないことであっても、行うことができると思われます(成否は別として)。
離宮に滞在できる時間は、2時間程度です。

それぞれの仕事の指揮は、白百合団の班長に任されています。
PCで担当される方がいない場合は、NPCの風見瑠奈(遺体、遺品回収)、ティリア・イリアーノ(剣を用いての封印)が担当いたします。
離宮内には、光条兵器使いなどの残党も残っていますので、注意が必要です。
総指揮はティリアが担当します。
NPCと仕事の指揮を行う人物は、離宮内での連絡用に通信機を持たされます(離宮と地上のやりとりはパートナー通話以外不可能です)。
ファビオとゼスタは転送術者の護衛と、契約者達の監視を任されています。

ガイドとマスターコメントに名前が登場していないNPCはリアクションにも登場いたしません。
全くアクションを採用することが出来なくなる可能性もありますので、ガイドに登場していないNPCに絡む行動はどうかご遠慮下さい。

シナリオの舞台は「ラズィーヤの私邸」と「離宮」です。もしかしたら「テレポートを行う場所」「神楽崎優子達の私室周辺」の描写も行うかもしれませんが、それ以外はお話に登場いたしません(空京での会議等はシナリオ外となります)。

このシナリオは参加者によるアンコールシナリオであるため、更に続いてしまうような行動は採用できないと思います。
もしも離宮を舞台にしたお話がまた行われる際には、新たなオープニングが設けられることと思います。

細かいお願いが多くて申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

▼サンプルアクション

・後片付けをする

・アレナを迎えに行く

・遺体を運び出す

・優子の傍にいる

▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました)

2011年01月24日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年01月25日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年01月29日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年02月16日


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