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古の白龍と鉄の黒龍 最終話『終わり逝く世界の中で』

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古の白龍と鉄の黒龍 最終話『終わり逝く世界の中で』

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シナリオガイド【イコン参加可】

世界は役目を終えた。彼の役割はどのように引き継がれるのか――。
シナリオ名:古の白龍と鉄の黒龍 最終話『終わり逝く世界の中で』 / 担当マスター: 猫宮烈



●前回のあらすじ

 『天秤世界』での争いは、『天秤世界』を代表する『天秤宮』と契約者・龍族・鉄族、そして諦めない契約者の言葉に心動かされたルピナスの戦いに変わり、契約者側の勝利に終わりました。
 『天秤世界』のこれからについては意見がいくつかありましたが、契約者の一人が『天秤宮』を消滅させた事により、やがて終焉の道を辿りつつあります。

 『天秤世界』の役目は、争いの管理でした。そして契約者は、どちらか一方を勝者とし、もう一方を敗者とする『天秤世界』の管理方法に『NO』を示した格好となりました。
 ですが、これで争いが無くなるわけではありません。『天秤世界』以外の他の世界では今この瞬間も、大小様々な争いが行われているのです。
 それに対してどのような回答を契約者は持っているのでしょう。『天秤世界』の役目は、どのように引き継がれていくのでしょう――。


●『天秤世界』

 『天秤宮』が地上に落ち、勝利者が決定した直後、『龍族』の本拠地である『昇龍の頂』『鉄族』の本拠地である『灼陽』は淡い光に包まれました。
 この現象に、龍族と鉄族、そして龍族の長であるダイオーティ、鉄族の長である“灼陽”は、元の世界へ帰る時が近付いているのだと推測します――。


●『昇龍の頂』

「ここに居たのね」
 背後から聞こえてきたヴァランティの声に、『昇龍の頂』を一望出来るその場所に立っていたケレヌスは短く応え、そして二人は並んで街並みを見下ろします。光の漂う街はどこか幻想的で、このまま何処かへ消え去ってしまいそうな儚さを含んでいました。
「世界が、終わろうとしているのね」
「……ああ」
「何か思う所が、あるのではなくて?」
「フッ……。無い、と言えば嘘になるな。だがおいそれと口にして良いのかどうか、俺には判断を付けることが出来ない」
「……ええ、そうね。実は私もあなたと同じ思いよ」
 それきり、二人の間に会話はなく、ただ静かな時間が流れていきます。沈黙の時間は二人を呼びに来たダイオーティからの使いの者の声で破られました。

「――あなた方も感づいているとは思いますが、私達は『天秤世界』での争いに勝利し、元の世界へ帰る時が近付いています」
 ケレヌスやヴァランティ、主だった者たちを集めた場でダイオーティがそう告げ、少しの間を置いた後再び話し始めました。
「少し前までの私達は、鉄族を滅ぼす事を心の拠り所としていました。……しかし、それは誤りでした。
 剣を取って戦う以外の方法を、私達は契約者に教わりました。今後決してこの事を忘れないと同時に、私達は彼らへの恩を忘れてはなりません」
 自分の言葉が十分伝わったのを確認して、ダイオーティはこれからの方針を口にします。
「私達龍族は、契約者の言葉に対し最大限応えるものとします。私達が彼らに出来る事は少ないのかもしれませんが、この世界で繋いだ絆を断つのは正直、惜しい。
 ……この気持ちは鉄族も、“灼陽”も同じであることを既に確認しています。そう、事と次第によっては鉄族と共に在る、それもまた一つの道であると私は見ています」
 そのように締めくくったダイオーティの表情は、とても晴れやかなものでした。


●『“灼陽”』

「ふーん。時と場合によっちゃ龍族と一緒になるかも、ね。少し前のオレらなら死んでも言わなかったな」
「うん、そうだね。……みんな変わったんだよ、契約者のおかげで」
 同じ頃、“灼陽”から今後の方針を告げられた“紫電”“大河”は並んで廊下を歩いていました。
「契約者、ね。……まあ、なんつーか、楽しませてもらった、かぁ?」
「もう、素直じゃないな、しーくん。
 わたし、ちゃんと言っておいたからね? このまま帰っちゃったら怒るから」
「わあってるよ、その……なんだ。ちょっとくらい時間くれたっていいだろ?」
「ふふ、さすがにそこまで厳しくないよ。でも、いつ会えなくなるか分からないんだから、それだけは忘れないでねっ」
 ウィンクを残して去っていく“大河”を見送って、“紫電”ははぁ、と息を吐きます。彼には一つ、大切な問題が控えているのでした。
 ――そして、同じような問題を実は“灼陽”も、抱えているのでした。

「…………」
 集まっていた者たちが去り、一人になったその場所で“灼陽”は目を閉じ、これまでの出来事を振り返っていました。
(ここに居る時の私の周りには、常に誰かが控えていた。……だがそれは所詮『誰か』だった。
 そうではなく――唯一の者を意識し、傍に居てほしいと思った。喪うことを恐れながら、なお傍に居てほしいと願った)
 目を開け立ち上がり、“灼陽”は部屋の片隅に隠していた箱を呼び出し、中を開けます。そこには花嫁が身に着けるようなヴェールが入っていました。
(ダイオーティ、このような形で借りを作ることになるとはな。
 ……だが、お前の言葉は私に突き刺さった。非常に力のある言葉であった)
 これを送った者への賛辞の言葉を心に呟き、“灼陽”は箱を手に、ある者の所へ向かいます。
 表情に、決意を露わにして――。


●『契約者の拠点』

「……今のままでは、天秤世界は終わります。そして、天秤世界の持っていた役目を世界に……世界樹に示す必要があります」
 主要な皆を集めた場で、ミーナはそのように話しました。『天秤世界』の存続についてはいくつかの案がありましたが、核であった『天秤宮』を喪った今となっては終わりを待つのみとなっていました。
「世界樹に示す……難しいですねぇ。どう示せばいいか分かりませんよぅ」
「言葉にするだけなら、天秤世界の代わりをイルミンスールと契約者が務める、が分かりやすいと思います。世界樹にとっては力の供給先が天秤世界からイルミンスールに変わるだけになりますから」
 エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)の言葉にミーナがそのように返します。確かに言葉にするならそうなりますが、では実際にどうするかとなると皆一様に黙ってしまうのでした。
「……どれだけの時間が残されているか分からぬが、まったく時間が無いわけでもない。
 皆から広く意見を聞き、我々の方針を示すのじゃ。決して容易ではないが、まずもって我々が取り組まねばならぬ課題じゃ」
 アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)の言葉に皆が頷き、それぞれの場所へ散っていきます。
 自分たちの肩には自分の事は勿論、イルミンスールの事、ひいては世界の事が乗っているのだという自覚を抱いて――。


「ルピナスさん、気分はどうですか?」
「ええ、悪くありませんわ。久し振りの感覚ですわね」
 拠点の屋上に位置する場所で、ミーミル・ワルプルギス(みーみる・わるぷるぎす)を前にルピナスがくるり、と回ってみせます。契約者の身体を返したルピナスの今の状態は、ミーミルがミーミルになる直前の状態と等しい物でした。ここからルピナスが『どのように生きるか』を決めれば、天秤世界を出た時にはそのようになっている、そういう状態にあります。
「口で言われても理解しかねますけれど……要はわたくしがどうありたいかをわたくし自身で決める必要がある、ということですのね。
 ……正直、辛いですわ。わたくしはただ生きたい、幸せでありたいと思っていましたのに」
 そう話すルピナスにはおそらく、まだ確たるものが根付いていないようでした。
「私が何かを伝えられるかどうか分かりません。……でも、ルピナスさんには皆さんが居ます。
 まずは皆さんと話をしてみてはどうでしょう。きっと皆さんは受け止めてくれます。皆さんの力を借りて、ルピナスさんが決める、それできっといいんだと思います」
「…………そう、ね。まずは、そうしてみましょう」
 当初のものとは全く異なる笑みを浮かべ、ルピナスがそっと一歩を踏み出し、縁のあった者の元へと向かいます。
 生きようと決めた上で、どう生きるかを決めるために――。


 果たして、『天秤世界』とそこに在る者たちはどのような決定をし、どのような道を辿るのでしょう。
 契約者もまたどのような思いを抱き、どのような行動を取るのでしょう――。

担当マスターより

▼担当マスター

猫宮烈

▼マスターコメント

猫宮 烈です。
シリーズの終わりを飾る、『古の白龍と鉄の黒龍』、最終話を始めたいと思います。

状況としては、5話終了時からガイドの内容に続いているものとします。
『天秤世界』は核である『天秤宮』を完全に破壊されており、終わりは決定的です。終わりそのものが早まる事は余程の事がない限りありませんが、延びる事はありません。
その上で、前回のリアクション(及びマスコメ等)を参考にしながら、アクションをかけていただければ幸いです。

NPCの初期行動予定は共通して、『天秤世界内のそれぞれの場所で思い思いの事をしている』になります。
イルミンスールで待機していたエリザベートとアーデルハイトは、今回は天秤世界に足を運んでいます。
その他パラミタからやって来た者たちは契約者の拠点に居ますし、龍族は『昇龍の頂』を始めとした領地内、鉄族は『灼陽』を始めとした領地内に居ます。
『うさみん族』や『ミュージン族』もそれぞれの本拠地に居ます。


なお、今後のイルミンスールの運営に関しましては現在、日常系シナリオを1回やるかやらないか程度で考えています。
閃くものがあればこの限りではありませんが、結局気まぐれになってしまいますので……。


それでは皆さま、最後まで迷惑をお掛けして恐縮ではありますが、どうぞお付き合いくださいませ。

▼サンプルアクション

・自分の決めたことを為す

・自分の決めたことを為す

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2014年03月17日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2014年03月18日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2014年03月22日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2014年04月08日


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