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【両国の絆】第一話「誘拐」

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シナリオガイド

エリュシオンとシャンバラで誘拐発生!? 新たな事件の始まり
シナリオ名:【両国の絆】第一話「誘拐」 / 担当マスター: 逆凪 まこと

【シャンバラ――ヒラニプラ】


「誘拐事件……?」

 パラミタ大陸最大国家であるエリュシオン帝国
 その第三龍騎士団の騎士であるキリアナ・マクシモーヴァの言葉に、金 鋭峰(じん・るいふぉん)は厳しい表情を浮かべていました。

 かつては戦争をしていた両国の親交を深めるために、交換留学でエリュシオンを訪れていたシャンバラ人留学生が、帝国最北のジェルジンスク山脈で誘拐されたというのです。それも誘拐した犯人は、ジェルジンスク監獄に移送中だった、かつての皇位継承候補者であり、帝国の世界樹ユグドラシルを危機に陥れたヴァジラだと言うのです。
「勿論、セルウス陛下はそれを信じてはりませんが、ヴァジラはんには前科がありますよって……」
 キリアナが言うには、ヴァジラ討伐に動こうとする重臣たちをカンテミール選帝神のティアラが少々“強引に”押し留めており、その間でセルウスは密かにジェルジンスクへと向かっているのだと言います。
「ジェルジンスクにある温泉の近くに、監獄まで抜けられる坑道があります。それを利用して、突入しようとしてはるんですが……ウチら帝国の騎士が動けば、大事になってしまいます」
 そのため、留学生と言う体裁を取れる上、戦力になる契約者たちに協力を求めに来たのです。
「最悪の場合……セルウス陛下も、皇帝として決断せななりまへん」
 それだけは避けたい、と眉を寄せるキリアナに頷き、鋭鋒は契約者への協力を求めると共に、龍騎士に知己のある氏無春臣へ帝国へ向かうように指示を出したのですが――そこへ飛び込んできたのは、イルミンスール側でも、留学生がらみで事件が発生した、という報告でした。
「このタイミングで二つの事件……恐らく偶然ではないでしょうね」
 氏無が苦い顔で言います。
壱姫を向かわせます。まあ、手は打ってありますから、さほど問題ではないでしょうし、手を割く必要は無いでしょう……今のところは」
 意味深な言葉に頷いて、鋭鋒は、エリュシオン側の助力に尽くすように、各方面へと要請を出したのでした。
 
 




【シャンバラ――イルミンスール】


 同じ頃。

「申し訳ありませんが、あなた方は我々に誘拐されていただきます」

 イルミンスール魔法学校では、エリュシオン帝国からの留学生ピュグマリオンを名乗る死霊使いの少年と、彼の引き連れた黒いフードの者たちを、ディミトリアス・ディオン(でぃみとりあす・でぃおん)と、偶然居合わせたクローディス・ルレンシア(くろーでぃす・るれんしあ)が一人の少女を庇うようにしながら睨んでいました。
「その身体も紛い物か……周到な割りに、大胆な真似をするな……何が目的だ?」
 他にも何人か居合わせていた契約者たちの壁になるように前へ出ながら、呆れたようにディミトリアスは言いました。確かに只者ではない気配は感じますが、ここイルミンスールには腕の立つ魔導師や契約者が多くいるのです。この少人数での誘拐作戦など無謀だとその声は言っていましたが、ピュグマリオンは余裕の様子で「我々の目的は、両国に不和の種をまくこと」と微笑みました。
「ですから、シャンバラが帝国の生徒を脅かした事実があればいいのですよ」
 そう、ピュグマリオンは言いますが、閑古鳥講義として有名なディミトリアスの研究室は、訪れる生徒も少ない上に、人目を引きにくい場所にあるため、失敗を前提に騒ぎを起こすにはあまり相応しくありません。彼は何か――誰かを狙ってここへ来たのは明らかです。
 その心当たりに、クローディスはその場にいた者たちに向けてテレパシーを送りました。彼らの勢力とその拠点を突き止めるために誰か一人は必ず、誘拐されてもらうよう氏無からお願いされていると言うのです。
(全く、無茶を言ってくれる)
 倒すだけの方がよほど楽だ、とディミトリアスは更に深いため息を吐き出しました。
(君か私ならいい。だが……その役目をこの子――ナナシにさせるわけにはいかない)
 ディミトリアスとクローディスは、お互いに顔を見合わせて、そう頷きあうと、居合わせた契約者たちへそっと目配せを送ったのでした。




【エリュシオン帝国――ジェルジンスク】


 その頃、ジェルジンスク監獄の貴賓室では、一人の少女が笑っていました。
「ふふ。あっけないものですわね」
 その視線の先には、椅子に拘束されたヴァジラの姿があります。ジェルジンスクへの移動の際、拘束状態にあったため、抵抗できなかったようですが、そんな状態でもヴァジラの不遜さは健在なようで、何が出来るものかと言わんばかりの態度でした。
「両国に不和を……か。余を捉えた程度で、そう簡単にいくものかな」
 その言葉には、僅かにこの状況を打破する存在があると信じているかのようでしたが、少女はそんなヴァジラに、うっすらと笑って、何かの錠剤を取り出して見せました。
「これが何か、お分かりかしら?」
「貴様……、まさか……!」
 少女がそれを噛み砕いたのに、ヴァジラは初めて顔色を変えました。
「…………ッ、ふ、ふ。これで……あなたに、言い逃れは出来なくなりましてよ……っ」
 少女が血を吐き出しながらも、不気味に笑みを浮かべた次の瞬間。
 監獄の入り口でヴァジラのイコン――ブリアレオスが上げる雄叫びが響いたのでした――……


担当マスターより

▼担当マスター

逆凪 まこと

▼マスターコメント

はじめましての方は初めまして
二度目以上の方は、またお目にかかれまして光栄です。逆凪まことと申します
今回のシナリオは、シャンバラとエリュシオンの二カ国を舞台に、全三回を予定しております
今までの帝国シリーズに関係なく、どなたでも参加できますので、ぜひ、挑んでやってくださいませ


※注意※
今回のシナリオでは、場所をまたぐアクションは、不採用の可能性が非常に高くなっております
目的、動機、アクション欄いずれかに、行動場所の明記をお願いいたします



【エリュシオン帝国――ジェルジンスク】

ジェルジンスクは、エリュシオン帝国の最北に位置する地方で
監獄のあるジェルジンスク山脈は、常に深い雪に覆われた極寒の大地です

誘拐事件の真相を突き止めるため、ジェルジンスク監獄へ向かいます
ジェルジンスク温泉へ留学生として向かい、そこから地下の坑道へ入ってジェルジンスク監獄の傍まで出ます
勿論、監獄の内外に、それを妨害するものが待ち構えています

★こちらでは、セルウスとキリアナ、元監獄職員(ランドゥス)が同行します
(選帝神ノヴゴルドも温泉を訪れていますがこちらはあくまで留学生を向かえる名目としてですので
 アクションをかけられるのは自由ですが、同行することはありませんのでご注意ください)

◆監獄入り口

巨大な丸い人間に似た姿の、特殊なイコン、ブリアレオスが立ち塞がっています
一撃一撃が重い上、装甲も硬く、見た目に反して速度があります
本来はヴァジラ以外に動かせるはずが無いのですが、現在、暴走状態で手がつけられません
門に近づくものは、見境無く攻撃を仕掛けてくるでしょう
入り口を通るためには、これを倒すか動けなくする等の必要があります

※セルウスとキリアナ、氏無は、体力の温存のためこの場では基本的に戦いません
  スカーレッドが彼らの盾として後方で待機しています

◆監獄内――貴賓室

監獄内で、セルウス、キリアナ、そして氏無と共にヴァジラのいる貴賓室を目指します

監獄内は、囚人たちの逃亡を防ぐために複雑なつくりをしていますが
キリアナと、元職員のランドゥスが道案内を勤めてくれます

貴賓室までの道のりを、アンデッドの群れが妨害してきます
アンデッド自体はさほどの強さはありませんが
貴賓室の数体のアンデッドは意思を持ち、組織だった行動をするため、非常に厄介です
尚、少女自身に戦う力はありません
ヴァジラは部屋の一番奥の椅子に拘束されています



【シャンバラ――イルミンスール魔法学校】
※こちらのパートは、当シナリオのサイド寄りの話になるため、エリュシオン側に比べて判定はシビアなものとなります

 死霊使いの少年ピュグマリオンと、その部下と思しき黒いローブ姿の男女四人が、ディミトリアスの研究室を占拠しています
 彼らの目的はシャンバラ国内でエリュシオンへの不信の芽を撒くこと、そしてこの部屋の中にいる誰かの誘拐であり、犠牲が出ることを厭うつもりはないようです
 ピュグマリオンは基本的に動かず、ローブ姿の四人が戦います

★ローブ姿の四人

・大柄の男……怪力で、篭手をはめた拳での接近戦を行います。素早さはありませんが頑強です
・小柄の女……非常に素早い刀使いです。力はそこそこですが、手数と速さで接近戦を行います。
・細身の男……ワイヤーを使った攻撃をして来ます。前へは出ず、他の三人のサポートをします。
・小柄な男……四人中最も小さく、気がつくと視界から消えています。飛び道具の使い手です。

★ディミトリアスとクローディス

 ディミトリアスは教室の狭さ故に攻撃は諦め、部屋が崩壊しないように防御結界を敷いています
 ※なので、多少の破壊行動は可能となっています
 クローディスは少女ナナシを守っているため基本的には余り前へ出ません
 最終的にタイミングを見て、どちらかが誘拐される側へ回るつもりでいます
 
◆ディミトリアスの研究室

 普段から生徒が少ないためか、閑散とした教室です
 講堂というほどの広さは無く、最大30人の生徒が授業を受けれる程度の広さです
 講壇が最も低いつくりで段差があり、机や椅子、棚が多いため死角も出来やすくなっています
 窓は無く、入り口の扉は引き戸になっており、鍵はかかっていないようです

※何かしらの理由でその場にいたとして構いません
 室内にいた場合は、クローディスからテレパシーを受け取っています
※後から室内に突入した場合は、テレパシーを受け取ることが出来ません

 誰か一人は誘拐されるよう氏無からお願いされていますが、一名でなければならないものではありませんし
 あくまでお願いなので、必ずしも成功させる必要はありません
 氏無のパートナーである壱姫が、サポートすることになります


【その他】

 上記以外の場所でも行動できますが
 余りシナリオの内容から離れてしまうと、結果的に失敗となる確立が高いのでご注意ください


▼サンプルアクション

・【エリュシオン帝国◆監獄入り口】

・【エリュシオン帝国◆監獄内】

・【エリュシオン帝国◆貴賓室】

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2014年07月05日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2014年07月06日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2014年07月10日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2014年08月01日


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