波羅蜜多実業高等学校

　放課後のカフェテラスで女子生徒たちが数人、ガールズトークを繰り広げているようです。

「もうすぐ海開きね」
「愛美は泳ぎに行くの？」
　高根沢　理子（たかねざわ・りこ）が小谷　愛美（こたに・まなみ）へと訊ねかければ、彼女は「うーん……」と1つ唸ってから、口を開きます。
「折角、海に行くなら水着を新調したいと思うのよ。そうすれば、かっこいい男の子にも声かけてもらえると思うし！」
　運命の人を求める愛美としては、出会いの機会は逃したくない様子です。
「あたしも新しい水着着てみたいと思うんだけどぉ……」
　そう言ってから、へこむように視線を落としたのはマリエル・デカトリース（まりえる・でかとりーす）です。
「また食べ過ぎたとか？」
「そうなのよおぉ。帰り道に新しくオープンしたカフェのケーキがおいしくっておいしくって……つい誘惑に……」
　嘆くマリエルの頭を愛美が優しく撫でます。
「そんなに体型悪いようには見えませんよ？」
　フォローするように、それまで聞き役で居たジークリンデ・ウェルザング（じーくりんで・うぇるざんぐ）が話に入ってきます。
「でも、脱いだらきっと分かるのぉ」
「まだ少し時間はあるんだから、その間だけでも自重するのは？」
　それでも嘆くマリエルの頭を撫でながら、愛美が問います。
「遠泳大会で泳いで消費するってのもありじゃないか！？」
　言いながら、現れたのは山葉　涼司（やまは・りょうじ）です。彼の後ろには彼のパートナーの花音・アームルート（かのん・あーむるーと）も居るようです。
「ちょっ！　女の子の話を盗み聞きとは、デリカシーのない男ね！」
　急に現れた涼司に一瞬面食らった女子生徒たちですが、真っ先に我に帰った理子が声を上げました。
「盗み聞きじゃねえよ！　通りかかったら、聞こえただけだ！」
　反論しながら涼司は「それよりこれだ！」と１枚のビラを皆の前に差し出しました。

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　　　　　　■蒼空学園　遠泳大会■

　来る海開きの日、遠泳大会を行います！
　泳ぎに自信のある人もない人も奮ってご参加を！

　大会は以下の2つのコースに分かれて競います。

・1人で延々泳ぎまくるぞコース
　読んで字の如く、参加はお1人で！
　スタートからゴールまで1人で完泳してもらいます。

・パートナーと仲良く泳ぐぞコース
　こちらはパートナーと2人での参加です！
　交代のタイミングは問いません。
　泳いでないときは小型飛空挺で並走してもらいます。

　参加したい方。
　当日、直接海開きの会場へお越しください！

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　差し出されたビラには、そのようなことが書かれていました。
「遠泳かぁ。パートナーとの参加なら、休憩挟みながら泳げるってことよね」
「それなら泳ぎに自信がなくても大丈夫かもね」
　マリエルと愛美がそれぞれビラを見て、思ったことを口にします。
「帰ろうとしたら校門のところで配られてたんだ」
「皆さんで参加してみるのはどうかなと思ったんです」
「折角ですから、皆さんで参加しましょうか？」
　涼司と花音のそれぞれの言葉に、ジークリンデがそう言うと、皆が次々と頷いていきます。

　校門で配られていたというビラ、他にも貰っている方は居るでしょう。
　他にもどんな参加者が集まるのか楽しみにしつつ、一行はまずは水着を新調に、と放課後のカフェテラスを後にするのでした。

　こんにちは、朝緋あきらです。
　海開きイベントのシナリオをお届けいたします。

　蒼空学園では、遠泳大会が開かれることとなりました。
　各コース優勝者には何かあるかも、ないかも……？

　それでは、皆さんの参加、お待ちしております。

・1人で延々泳ぎまくるぞコース

・パートナーと仲良く泳ぐぞコース

・応援するぞ