波羅蜜多実業高等学校

　百合園女学院の校長室。
『瀬蓮さんのお肌、滑らかですべすべですわね。ちょっと妬けてしまいますわ』
『そ、そんなこと、ない……よ……ふあぁぁ……くすぐったいよぉ……』
『ふふ、今度、どんなお手入れをしているか、ゆっくりお聞きしたいですわ』
　机にごまんと積まれた書類に判子を押している校長の桜井　静香（さくらい・しずか）の耳に、扉越しに隣の部屋の声が聞こえてきました。
　校長室には超一流ブティックの紙袋やら包み紙が散乱しています。
「ふふ、瀬蓮さんも着せ替え甲斐がございますわね。静香さん、如何です、今年流行の水着は？」
「ど、どうかな……？」
「うん、とっても可愛いよ！　いいね、その水着」
　ラズィーヤ・ヴァイシャリー（らずぃーや・う゛ぁいしゃりー）に後押しされるように、頬を真っ赤に染めた高原　瀬蓮（たかはら・せれん）がもじもじと恥じらいながら隣の部屋から出てきました。
　彼女は清楚なワンピースの水着にフリルをたくさんあしらったパレオを付けています。
　書類仕事で疲れていた静香も、瀬蓮の姿に――正確には着ている水着に――疲れも一気に吹き飛んだようです。
　ラズィーヤは空京で今年発表された最新の水着をごまんと買い込み、瀬蓮を着せ替え人形よろしく、ワンピースやらセパレーツやらタンキニやらをとっかえひっかえ着せていました。
「瀬蓮さんも素敵だけど、もっといろんな可愛い水着を見てみたいよね」
「あら、奇遇ですわね。わたくしも瀬蓮さんだけでは物足りないと思っていたところでしたのよ」
「これだけ着替えさせて、まだ物足りないの！？」
　不意に静香の目に、一枚の紙が映りました。

『海開きのお知らせ』

　この時期、パラミタ内海でも海水浴が出来るようになるそうです。
　百合園女学院には、ヴァイシャリーの豊富な水資源を利用した大きなプールがあります。泳ぐだけでしたらプールで十分ですが、海にはプールにはない開放感があります。
「そうだ、“ミス・百合園”を決めるコンテストを開くのはどうかな？」
「ミス・百合園、ですの？」
「うん。みんな大和撫子になるために勉学に励んでいるから、それを見せる場が必要だと思うんだよ。もちろん、慎みを忘れない程度に、勉学の息抜きに海で遊んでもらいたいっていうのもあるけどね」
「それでミス・百合園か〜。悪くないかも」
「ですわね」
　静香の提案にラズィーヤも瀬蓮も頷きました。

　百合園女学院の各掲示板だけではなく、他の学校にも“ミス・百合園”コンテストの通知が張り出されました。
　（外見）性別が女性であれば、百合園女学院以外の生徒も参加できます。
　コンテストは、『心』『技』『体』の３部門に分かれ、一人につき１部門にしか参加できません。

　併せて“ミス・百合園”コンテストを無事に開催するために、警備の生徒も募集しています。
　こちらは男女問いませんが、当然ながら更衣室や控室などは女性の分担になります。

　はたして“ミス・百合園”の栄冠は誰の頭上に輝くのでしょうか！？

　パラミタ内海の砂浜で、百合園女学院主催による“ミス・百合園”コンテストが開催されます。
　（外見）性別が女性であれば、百合園女学院以外の生徒も参加できます。
　男性は自動的に観客か警備になりますのでご注意ください。

　水着はあまり派手なものでない普通の水着でしたら、百合園女学院で貸し出します。

　コンテストは、『心』『技』『体』の３部門に分かれ、一人につき１部門にしか参加できません。
　浜辺に特設ステージが設けられ、優勝者には各部門ごとに“ミス・百合園”の称号が与えられます。
　重複して参加した場合、レギュレーション違反とみなされ、棄権扱いとなります。

　『心』の部門は大和撫子の心のあり方を、「歌」にしてみなさんなりの表現して下さい。
　アピール時間は一人５分です。
　なお、歌詞は「オリジナル」に限定させて頂きます。既存の楽曲の歌詞を流用したり引用するのはＮＧです。

　『技』の部門は大和撫子の技のあり方を、「料理」にしてみなさんなりの表現して下さい。
　調理時間は一人１０分です。
　美味い方がいいですが、下手でも心がこもっていれば審査員の心を揺さぶるかもしれません。

　『体』の部門は大和撫子の体のあり方を、みなさんなりの表現して下さい。
　アピール時間は一人５分です。
　こちらは特設ステージではなく、「海」がステージ代わりになります。泳ぎや、グループを組んでシンクロナイスドスイミング、など、海を活用して下さい。

　なお、審査員は静香とラズィーヤです。

・“ミス・百合園”『技』部門に参加する

・“ミス・百合園”の警備を担当する

・“ミス・百合園”を観客として盛り上げる