「たのもぉ〜!」
蒼空学園に、突如そんな声が轟いた。
辺りにいた生徒達が何事かとそちらを見ると、そこには七人のゴブリンが仁王立ちしていた。
しかもその身体の色は赤、青、黄、緑、桃、黒、白、となんともカラフルだった。
「狙った獲物は逃さない、青い狙撃者。ゴブ・ブルー!」
聞いてもいないのに自己紹介しだした! とざわめく生徒達。
「紅一点だけど色は桃色、心は薔薇色。ゴブ・ピンク!」
ゴブリンなのになんて流暢に話すんだ! とざわめく生徒達。
「おせちもいいけどハヤシライスもね。ゴブ・カレー!」
ちょっと待て、色々おかしくないかっ! とざわめく生徒達。
「え? あぁ、はいはい今やりますよ。ゴブ・グリーン……」
投げやりだっ、なんかやる気ゼロだっ! とざわめく生徒達。
「ククク……人間ども。闇へと落ちろ。ゴブ・ブラック、ククク」
コイツだけ無意味に極悪な様子ですが! とざわめく生徒達。
「この度どうもすいません。よろしく。ゴブ・白井五郎です」
明らかにゴブリンでない人混じってる! とざわめく生徒達。
「そして俺様が、七人のリーダー……。ゴブ・レッ、でぃ、ド、だ!」
噛んだ! 噛んじゃいけない所噛んだ! とざわめく生徒達。
「「「「「「「7人揃って、ゴブリン7!(せびゅん、と約一名また噛んだ)」」」」」」」
なにやらポーズをとっている彼らに、色んな意味で注目する生徒達。
それを確認後、ゴブ・白井さん(よく見ると顔がゴブリンに似た色白な青年)が、何やらカンペを読みあげ始める。
「えー。人間どもよ。時は来た。今こそ我らゴブリンが、人間に代わって天下をとるときだ」
少しシリアスな宣言であったが、棒読みゆえ緊張感はゼロだった。
「我らが人間よりも優れていると証明するための勝負をしようではないか、言っておくがお前らに拒否権は無い」
その言葉にようやくほんのちょっぴり警戒し始める生徒達。
「とはいえ力で争うのは美しくない。そこで、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、そして第六感での対決といこう」
今度は『?』と疑問符が浮かぶ生徒達。
「さあ、人間どもよ。しばし時間をやろう。その間にせいぜい精鋭を集めるのだな! うわっはっはっは……あ、ちなみに最後のは『せいぜい』と『せいえい』をかけたシャレですので」
ゴブ・白井さんのそんな締めくくりの後、ゴブリン7は律儀にその場でポーズとったまま待つのだった。
そして。
どうしよう? と、お互い顔を見合わせるしかない生徒達だった。