波羅蜜多実業高等学校

　ヴァイシャリーの羽ばたき広場に集まった百合園女学院の生徒たち。その前に立って話をする一人の男性がいました。
「えー、初めまして。生物学者の八森古閑根（やもりこがね）です」
　焦げ茶色の茶髪はぼさぼさで、着ている白衣はよれよれ。あまり背が高い方ではなく、なんだかとってもダサいです。
　とはいえ、女子校である百合園が男性講師を招くのも稀。さっそく彼に興味を持った生徒もいるようです。
「今回は理科の特別授業をさせていただくことになりました」
　と、八森博士は言うと、用意されたホワイトボードを引っ張ってきます。
「今日、君たちにやってもらうのは――」
　そして大きく『キツネ』と、書きこむ八森博士。
「狐の捜索です。もちろん普通の狐じゃなくて、パラミタアカギツネという狐です。基本的に大人しい性格ですが、怒ると狂暴になります」
　それを聞いて、生徒たちは一様にざわめきます。
「でも大丈夫。このパラミタアカギツネは別名スケベギツネとも呼ばれていて、女の子に対しては怒らないんだ。だから安心して」
　ざわめきは収まったようですが、今度はひそひそ話が聞こえてきます。
　八森博士は、百合園女学院に男子が紛れ込んでいることを知りませんでした。
　そして生徒たちを信頼しきった顔で続けます。
「だけど、今回探して捕まえてきてもらうのは小さな子ギツネ。それもアルビノといって、先天性色素欠乏症の狐なんだ」

　話を要約すると、つまりこうです。
　アルビノに生まれた子ギツネが三匹、このヴァイシャリーの街に迷い込んでしまいました。
　連絡を受けた八森博士は何度も捕獲を試みましたが、男性である為に返り討ちにあってしまいました。
　仕方なく、百合園女学院へ応援を要請したところ、すんなりと受け入れられ、特別授業という形で狐の捜索をすることになったのです。
　この事は他校にも知れ渡り、様々な学校から有志の生徒も集まっていました。

「白い身体に赤い目をしているから、見つけるのは簡単だ。集合時間は四時。万が一、何かあったら僕に連絡してね」
　と、話を終える八森博士。
　高原瀬蓮（たかはら・せれん）は、わくわくした様子でパートナーのアイリス・ブルーエアリアル（あいりす・ぶるーえありある）へ言います。
「白いキツネさんだって。まだ子ギツネだから、きっと可愛いよね」
「ああ、そうだね」
　しかしアイリスには気になることがありました。スケベギツネと呼ばれる由縁についてです。
　――そう、それこそが、八森博士の言い忘れていたことでした。
　パラミタアカギツネはちょっとした魔法を使う生き物です。それも、女性に懐く際にはスカートめくりのように下から上へと風を起こすのです。意図してやっているわけではないのでしょうが、まる見えです。
　ちなみに、男性に対しては強風を浴びせて逃げ出すか、美しい女性に化けて騙すこともあるそうです。
「キツネさーん、どこにいるのー？」
　と、さっそく周囲を探し始める瀬蓮。
　いくら授業とはいえ、何だか嫌な予感のするアイリスは瀬蓮と行動を共にすることにしました。

注意事項
　基本的に『ガイド内で登場しているＮＰＣのみリアクションにも登場』となります。
　瀬蓮とアイリス以外の、百合園女学院に関わりのあるＮＰＣは出ないものとお考えください。

【２０２０授業風景】
理科の授業をやらせていただきます、瀬海緒つなぐです。
百合園の授業ではありますが、他校生の参加も可能です。ばしばし参加してください。

パラミタアカギツネは本能で性別をかぎ分けるので、実性別が男性の方はお気を付けくださいませ。
隠していてばれたくない場合はサボるのもありだと思います。
あ、だからって、皆さん一斉にサボっちゃ駄目ですよー？
っていうか、なるべくサボらないでください（笑）
一応、授業です。

・子ギツネを捕獲！

・サボる

・八森博士とお近づきになる

・美人に化けた狐とお近づきになる