波羅蜜多実業高等学校

　ツァンダ近くのサトレジ川。
　この川で水浴びをすると、『あの』女空賊フリューネ・ロスヴァイセ（ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ）のようなプロポーションになれる、とのウワサが紹介されてからたくさんの人がこの場所を訪れるようになりました。
「あのお胸になれるんだね！　愛美、行くよ！」
　マリエル・デカトリース（まりえる・でかとりーす）は、パートナーの小谷　愛美（こたに・まなみ）を引きずって行きかねない勢いです。
「マナミンは、そのままのマリエルがすてきだと思うなぁ」
　愛美は首を傾げながらも、サトレジ川に行くためのコーディネートをあれこれと頭の中でシミュレーションするのでした。

　彩祢　ひびき（あやね・ひびき）は、今日も今日とてハタキを背負って蒼空学園の清掃活動に精を出しています。掃除にすっかりはまってしまったようです。
「ハタキと刀の二刀流……宮本武蔵から習ったのでございます」
　汚れるのを防ぐための白い頭巾と割烹着も、バッチリ板に付いています。
「サトレジ川が、清掃活動をしてくれとボクに囁いている……」
　ひびきはうわごとのように呟くと、いそいそと掃除道具を用意し始めます。
　胸に効くパワースポットに、大勢の人が訪れるようになりました。
　元々観光地ではなかった場所ですから、ゴミ箱も設置していなければ掃除に来る人もいません。
「汚れた場所は、きれいにしなくちゃね……」
　サトレジ川の汚れが、ひびきを誘ったようです。

　波羅蜜多企画。
　その名から容易に想像されるとおり、波羅蜜多実業高等学校の卒業者が立ち上げた総合コンテンツ制作会社です。
　その業務内容といえば。
「チーフ、例の『水際の美少女たち、２０２０〜ＥｎｄｌｅｓｓＳｕｍｍｅｒ〜』のサンプルができたカッパ！　早速見るカッパ！」
　語尾のカッパが気になる彼は、ゆる族の佳羽原　カッパーフィールド（かばはら　―）です。彼は、ゆる族の特徴を最大限に利用して波羅蜜多企画のカメラマンを務めています。
「む。サトレジ川パワースポット化計画は順調のようだね」
　サトレジ川の水を浴びると巨乳になれるというのは、彼ら波羅蜜多企画が発信したデマだったのです。
　曰く、「サトレジ川で水浴びをすると、女空賊フリューネのようなスタイルになれる」「女空賊フリューネの秘密に迫る！！　その秘訣はサトレジ川での水浴びだった！？」……。一つ一つならば取るに足らないうわさ話にしか過ぎませんが、それを取り上げるブログが多数アップロードされたことから、それを信じる女性が少しずつ増えているようです。
「記事自動作成プログラムをつかって四百個ほどブログ作ったら、あとは孫引きで増殖したカッパ。ネット怖いカッパ……」
「まぁ、サトレジ川に女の子が来れば、ほかのことはどうでもいいさ……おぉぅ、このソフトフォーカスたまらんねぇ！」
　波羅蜜多企画の代表時貞　カンパネルラ（ときさだ　―）はカッパーフィールドが隠し撮りした少女達の水浴び映像をコーヒー牛乳片手に見ています。
「うん、でももう一つパンチが足りないな」
「ではどうするカッパ？」
「健康的なイメージは崩したくないな……よし、学生時代にクロール先生にもらった『服溶かしスライム』で行こう！　あくまでも健康的なお色気でな！」
「桃色淑女路線カッパね！」
　なにやら不穏な気配が漂い始めたようです。

こんにちは。溝尾富田レイディオ（みぞおとんだ―）です。
読みにくい名ですね。
今回のシナリオは、パラ―スポット（インチキ）でのボランティア清掃、水浴び。あと服だけを溶かしちゃうスライムも出てきます。
彩祢　ひびきさんは、蒼空学校の学内ＢＢＳに掃除ボランティアの募集をかけています。それを見た、あるいは人づてに話を聞いたなどで清掃に参加していただければと思います。
あるいはサトレジ川で水浴びをして胸を育てたいという人、波羅蜜多企画に協力したい人など、全学校の関係者の参加をお待ちしています。

（以下、補足など）
波羅蜜多企画の持ち込んだスライムは、服を溶かす、長時間水に触れると分裂するという二つの特殊能力を持っています。薄紫色をしているので、水中にいてもすぐに発見することができます。
波羅蜜多企画は、頃合いを見てスライムを川に放つつもりのようです。
スライムだけあって、一体一体はかなり弱いです。
波羅蜜多企画のカメラマン佳羽原　カッパーフィールドは、光学迷彩で姿を消している上、水辺では非常に素早く動くことができます。そのため、彼は自らも川の中に立って撮影することを好みます。

朝：清掃開始
昼過ぎ：小谷愛美たちがサトレジ川に到着
清掃が終わり次第、愛美たちの川遊びに合流できます。
清掃に参加していた人たちは、ちょっと疲れているので川遊びの時は精彩を欠いているかも知れません。

・ボランティア活動しつつ、思い出作りをしたい

・清掃を手伝うふりをしながら、撮影を援護！

・小谷愛美たちと一緒に遊びたい