波羅蜜多実業高等学校

　コンロン地方の外れ。滅多に人の訪れる事の無い、鬱蒼と木々が生い茂る森の更に奥深く。
　先の戦争での戦没者が静かに埋葬されている墓場の中を彷徨う、幾つかの人影がありました。

　それぞれシャベルやツルハシといった発掘道具を持つ彼らは墓荒らしと呼ばれる者達らしく、遺体と共に棺に納められている戦時中の装備品を手に入れようとしているようです。

「……おお、これは高値で売れそうだ……！」

　そうしてその中の一人がとある棺をこじ開け、ニヤつきながら呟きます。
　どうやら隊長格の物らしいその棺の中には、白骨と共に価値の高い武器や防具、豪奢な装飾が施された服が大量に収められていました。

　墓荒らしは周囲の仲間を呼び集めつつ、古びた白骨の首元から宝石のついたブローチをくすねようと手を伸ばすと――ガチリ、と力強くその手を掴まれました。

　ブローチを握り込んだまま驚いて手を振り解けば、そこにあったのは真っ白な骨の指。そう、墓荒らし達の行為は穏やかに眠っていた者達を目覚めさせ、アンデッドとして蘇らせてしまったのです。

「う、うわああああ！？」

「――――！」

　堪らず逃げ出す墓荒らし達でしたが、隊長格の白骨が何事かを叫ぶと周りに立ち並ぶ墓の下から大量のスケルトンやゾンビ達がその姿を現し、怒りの感情を纏わせ追い縋ります。
　墓荒らし達は宝を抱えたまま必死の思いで墓場から離れようと試みますが、スケルトン達の数は多く逃げ切る事が出来ません。彼らは仕方なく一時的に墓場へ続く森の中に身を潜め、脱出の機会を伺う事にしました。

　……しかしこのまま彼らの逃走劇を放置していれば、スケルトン達の手は森の中を飛び出し近隣の街道や村にまで及ぶかもしれません。
　偶然にも逃走に成功した墓荒らしの一人を保護し、事態のあらましを聞いた亡霊商人はその事に危惧を抱き、シャンバラ教導団へと助けを求めました。

「アンデッドの群れに、森の中を隠れる墓荒らし達か……こっちも人数を集めた方が良さそうね」

　事態の収拾の任務を受けた李　梅琳（り・めいりん）とエレーネ・クーペリア（えれーね・くーぺりあ）は、教導団内は勿論他校にも協力を呼びかけました。そうして、それに応じて集まった契約者達を伴い、件の墓場へと続く森へと向かうのでした。

　初めまして、マスターの変わり身です。これが初めてのシナリオとなりますが、皆様の期待に応えられるよう努力していく所存です。

　では、こちらが今回のシナリオの詳細となります。


　・墓場。

　鬱蒼とした深い森の奥にひっそりと存在しています。道が続いているので迷う事はありませんが、辿り着く為には森中を徘徊している大量のアンデッド達へ何らかの対処をしなければなりません。


　・墓荒らし達。

　死者の眠る柩から価値のある遺品をくすねた下手人です。追いすがるアンデッド達から宝を抱えたまま逃亡し森の中に隠れています。
　一応はシャベルやツルハシ等で武装していますが、不意を突かれなければ複数人が相手でもまず苦戦する事は無いでしょう。


　・アンデッド達。

　墓場の中心で指揮を取る隊長格の白骨の命令で動く、スケルトンやゾンビと言ったモンスターです。生前は戦争に参加した者が多いため、結構な強敵であるかもしれません。
　基本的には武器を片手に森の中を徘徊していますが、人影を見つければ怒りに任せて襲いかかってきます。墓荒らしを発見した際にはそちらを優先し向かっていきます。


　以上です。これから宜しくお願いします。

・周辺地域に被害が出る前にアンデッドを倒す。

・森の中を探索し、隠れている墓荒らしを捕まえる。

・墓場まで突っ込んで敵の大将を倒す。

・隠れてる墓荒らしや墓場の棺の中からお宝を頂いちゃえ！