波羅蜜多実業高等学校

　イルミンスールの森のはずれ。そこには一つの小さな家があります。住んでいるのはタイアリー・ヴィンという魔女。今では隠居して悠々自適な毎日を過ごしています。

　ところがある日、そんなタイアリーの元に駆け込む者がありました。
「タイアリー様……お助けください……！」
　声の主は、タイアリーの数百年来の友人、イマオムでした。イマオムはルトラ族と呼ばれる、ウミガメのような姿をしたゆる族の長です。
　その生活圏もウミガメに近いルトラ族は、ひからびてしまうので長時間陸に上がってはいられません。それなのに、村のあるパラミタ内海からここまで歩いてきたのでしょう。イマオムはそのまま気を失ってしまいます。
「た、大変じゃ！　すぐに塩水を用意しなければ！」
　タイアリーは大慌てで部屋中をかけずり回りました。

「ふう、ありがとうございます。命拾いをしました」
　数分後、そこには水槽の中で元気を取り戻したイマオムの姿がありました。
「まったく、無茶をしおって。一体どうしたというのじゃ」
「それが……」

　イマオムの話はこうでした。
　パラミタ内海の沿岸に住むルトラ族は、魚を捕ってつつましいながらも平和な生活をしています。しかし、最近になって海賊が現れたのです。彼らはルトラ族の村から貴重な食料や長年守ってきた財宝を奪い、このままでは村が危ないというのです。

「なんということじゃ……。わしがもっと若ければ、海賊なんぞ一ひねりにしてやるというのに」
　タイアリーは頭を抱えます。が、何かを思いついて顔を上げました。
「そうじゃ！　エリザベート様に相談すればあるいは……！」
　タイアリーはそう言うと、イマオムの入った水槽を抱えて家を飛び出し、イルミンスール魔法学校を目指しました。

「なるほどぉ。それは一大事ですねぇ」
　タイアリーとイマオムの話を聞いて、エリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）が頷きます。
「分かりました。すぐにうちの優秀な生徒たちを向かわせますぅ」
　エリザベートのその言葉に、タイアリーとイマオムはぱっと顔を明るくしました。
「おお、ありがとうございますじゃ！」
「どうか、我々の村をお救いください！」

　二人は深い感謝の念を表し、エリザベートの元を去ってゆきます。
「ふふふ……、これはいい訓練になりますよぉ」
　その後ろ姿を見送りながら、エリザベートは不気味な笑みを浮かべるのでした。

　こうして海賊退治の依頼があなたの元に舞い込むこととなったのです。

　海賊たちは子分が数十人に、それを率いる三人組。大型の船に乗り、大砲で攻撃してきます。一方こちらには、エリザベートが四〜五人乗り込める小型のボートを手配してくれます。
　
　遠距離戦で不利なのは明らか。敵船に乗り込み、白兵戦を挑むのがよいでしょう。ただ、小さなボートからどうやって大型船に乗り込むかが問題です。大砲が直撃すれば勿論アウト。近くに着弾すればボートはひっくり返り、海に投げ出されるでしょう。
　コンビニやホームセンターで手に入るものはボートに持ち込めますが、重すぎるものを持ち込むとボートが沈みます。刃物で斬られるなど、亀裂が入ってもボートは沈みます。

※一番目のサンプルアクションにおいて、敵船に近づく方法の例として「空を飛べるパートナーに運んでもらう」というものがありますが、ヴァルキリーや守護天使の飛行能力は、「走っている状態」ですので、かなりの体力を消耗します。ましてや人を運びながらとなればなおさらです。その辺りにはご注意ください。
　
　このシナリオでは、三人組を倒さなければ海賊をやっつけたことにはなりません。三人組は船室から指示を出しているので、子分の相手をしてくれる役がいないと誰も彼らの元にはたどり着けないでしょう。また、ルトラ族を海賊から守る役も必要です。
　事前に相談して役割を分担し、共通の目的をもつ者同士が同じボートに乗ればスムーズに事が運ぶでしょう。

　子分たちの戦闘能力は同数なら生徒でどうにかなる程度、三人組は個々の戦闘能力が生徒たちより高い上に、コンビネーションが絶妙です。武器はそれぞれカトラス、棍棒、マスケット（銃。弾を込めるのに時間がかかる）と近距離、中距離、遠距離に対応しています。
　三人組と戦うメンバーは、こちらも前衛や後衛といった布陣、コンビネーションを考えたメンバー構成にする必要があるかもしれません。

　他校からの応援ということで、イルミンスール以外の生徒の参加も歓迎します。

　一筋縄ではいかない相手ですが、じっくりと作戦を立て協力し、ルトラ族を救ってあげてください！

・三人組を叩きつぶす！

・子分の相手をする

・ルトラ族を戦闘から守る

・海賊の仲間になる