波羅蜜多実業高等学校

　ポタリ、ポタリ、ポタリ
　ヒタリ、ヒタリ、ヒタリ

　それらが何時から現れたのかは、分かりません。
　それらが何処から現れたのかは、分かりません。
　ただ、それらは何時からか何処からか、現れたのです。


「助けて下さいっ！」
　その日、蒼空学園に一人の少女が駆け込んで来ました。
　１０歳の少女……ルルナはツァンダの近くの村に住んでいます。
　その村に数日前から、奇妙な一団が姿を見せたのだと、言うのです。
　それと同時に。
　村から、一人また一人と、人が消えて行くのです。
　若い男が、身重の女が、年老いた男が、幼い子供が、消えて行くのです。
　代わりに奴等が、増えていくのです。
　ヒタリ、ヒタリと。
　ぬめった肌を持ち、濁った目をした、薄気味悪いモノ達が。
　じっとこちらを伺っているのです。
「大人の人達は、聞いてくれないんです。旅人だろうって、気にしてないんです……でも、変なんです、気味が悪くて、怖いんです！」
　勿論、多感な時期の女の子の言う事です。思い込みや妄想という可能性もあります。
　けれど、ルルナには一つ気になる事があるというのです。
「村の外れに、石で出来た小さなサークルがあるんです。近寄っちゃいけないよ、って言われてて……でも、この間みんなで遊んでて、その石……石碑っぽいのを倒しちゃったんです」
　その時、水の臭いが……腐ったような水の臭いがしたのだと、ルルナは肩を震わせました。
「あれを倒しちゃったから、だから、奴等が……」
　どうやらルルナの不安は、大人の言いつけを破ってしまった事に起因しているようです。
　なら、その倒れた石碑を元に戻してあげれば、ルルナの気も済むでしょう。
　ちょっと村まで行って、少女の憂いを取り除いてあげる……そんな依頼もあっていいのではないでしょうか？
　全ては少女の不安から来る幻影。
　……。
　……。
　……。
　……本当に？

　依頼を受けた皆さんはルルナと一緒に彼女の村へ行き、消えた村人達を探すと同時に、何故か大人達は気にしていない「旅人」の正体を暴くのが目的になります。
　ルルナは村から一番近いツァンダにある蒼空学園を頼りましたが、他校の生徒も噂を聞きつけて参加することが出来ます。

　ルルナから聞いて分かっていることは以下のとおりです。

・村人が消えているが、大人達は気にしていない
・旅人が増えているが、大人達は気にしていない
・旅人達はぬめった肌を持ち、蛙に似た濁った目をしている
・ルルナは友達と遊んでいて、石碑を壊してしまった
・その石碑は大人達から「近寄ってはいけない」と言われていた

　村人達が消え、旅人達が増えたのは、石碑が壊れてしまったことと関係しているかもしれません。
　そうなると、石碑を直しただけでは事件は解決しないでしょう。

　村人はどこへ行ってしまったのか。
　旅人はどうして増えているのか。

　バトルシナリオですが、謎解きも含まれています。
　誰と戦うべきか、予想してみてください。

・消えた村人を探す

・旅人と戦う

・石碑を直す