波羅蜜多実業高等学校

　雲ひとつない晴れた日、空京にいるひとりの機晶姫から各学校に依頼が届きました。
「どうか、私の親に会わせてください」
　依頼主の名は、ヴィネ。外見は10代後半あたりの、少女型機晶姫です。
　彼女が各学校に依頼を出した理由、それは、彼女が持っていた欠点と機能にありました。

　彼女、ヴィネの機晶石は元々欠陥品で、光の当たらない場所ではその効力を発揮出来ません。
　つまり、ヴィネは光のある場所でしか動けず、ひとりでは満足な捜索が困難なのでした。
　しかし代わりに、ヴィネにはある機能が備わっていました。それは、メモリ機能です。
　音声や映像をインプットしておけば、いつでもそのメモリを引き出せるという機能を持っていました。
　ヴィネは僅かに残っていた音声と映像のメモリを手がかりに親を探そうとしましたが、それには幅広い操作網が必要でした。
　そうしてヴィネが選んだ手段が、各学校への依頼だったのです。

　依頼を出したヴィネは、自らのメモリ機能を起動させ、確かめるように音声と映像を再生しました。
　そこに映されていたのは、何やら研究施設のような場所と、ひとりの老人でした。
「ヴィネ、お前の記憶装置を初期化する」
　残っていたその老人の音声データで、彼女は自身の名がヴィネだと知ったのです。
　どうやらヴィネが親元に戻れない理由は、この初期化による記憶の欠如が原因のようです。

　ヴァイシャリーにある、百合園女学院。
　高原　瀬蓮（たかはら・せれん）はこの依頼を見て、ヴィネに共感にも似た気持ちを持ちました。
「お父さんやお母さんに会いたいのに会えないって、とっても辛いことだよね。瀬蓮もその気持ち、分かるなぁ」
　そう呟くと瀬蓮はいてもたってもいられなくなったのか、ひとり空京へと向かってしまいました。
　瀬蓮はどうやらヴィネと共に親探しを手伝おうとしているようですが、
　空京付近に広がる平野には最近蛮族が出るとの噂があり、襲われる危険性があるかもしれません。

　6つの都市の中で、空京から最も近いヒラニプラ。
　教導団のエレーネ・クーペリア（えれーね・くーぺりあ）は同じ機晶姫からの依頼ということもあり、興味を持っていました。
　パートナーの李　梅琳（り・めいりん）はそんなエレーネの様子を見て言います。
「気になるんでしょう？　私は訓練の指導があるから一緒には行けないけど、手伝いに行ってあげて」
　エレーネは、「親」という単語に引っかかりを感じているようでした。
　機晶姫にとって親といえば、つくってくれた人。もしくは機能停止していたところを修理してくれた人。
　届いた依頼にあった詳細によれば、依頼主のヴィネは老人によって記憶装置を初期化された様子。
　もしも、その老人が生みの親から機晶姫を奪って何かの実験に使い、その結果不都合が生じ初期化したとしたら……。
　エレーネは、一度ヴィネに会って話を聞いた後、
　危険を承知で老人がいるであろう研究施設を探し出し、そこを尋ねることに決めたようです。

　その頃、ヒラニプラの外れにある小さな地下研究施設。
　窓もなく、電気もついていない暗い部屋で、ひとりの老人が膨大なデータと向き合っていました。
　彼の名はグレイプ。その手に持っている資料は、どうやら機晶石に関する資料のようです。
「皮肉な病、じゃな……」
　グレイプは小さくそう呟くと、溜め息をひとつ吐き、また別の資料を探し始めました。

今回は空京〜ヒラニプラ付近が舞台ですが、特に学校の制限はありませんので、所属学校関係なく参加可能です。
ヴィネは基本的に光がないと動くことが出来ません。これは故障というより機晶石が欠陥品であることが原因なので、
一般生徒がヴィネを修理していつでも動けるようにする、ということは出来ません。
蛮族に強大なモンスターほどの強さはありません。地元でちょっと力を持ってるヤンキーレベルです。

前回担当したシナリオ「さばいぶ！」と違い、
今回はコメディー路線よりもシリアス路線が強めのシナリオになります。なると思います。きっと。
ちょっと真面目な感じのやつ書きたくなりました。
「さばいぶ！」のようなハイテンション＆悪ふざけ全開の時とは雰囲気が違いますので、ご了承ください。

・瀬蓮と共にヴィネの親探しを手伝う

・エレーネと共にグレイプを尋ねる

・瀬蓮、エレーネたちとは別に情報を集める

・蛮族からヴィネを守る