秋風が心地よい、とある昼下がり。
薔薇の学舎にあるサロンの一角に陣取った梶原大河は、自分を取り囲む少年達に向かって、両手を大きく広げてみせました。
「こぉ〜んなデッカイ一本の木に、桃とか梨とか、葡萄とか。種類が違う果物がたくさんなってたんだぜ。そりゃぁ驚いたのなんのって」
身振り手振りを交えながら、大河が皆に語り聞かせているのは、パラミタ放浪中にイルミンスールで見た不思議な大樹の話でした。
大河の話によると、それは高層ビルのように大きくて、枝の端から端までが100m以上ある上に、一本の木に6種類ものの秋の果物がたわわに実っているというのです。
「うわぁ、すごいっ。ボクも見てみたいなぁ〜」
「果物狩りをするには、もってこいの木だねぇ」
「話を聞いているだけで、腹が減ってきた…」
口々に感嘆の声を上げる少年達に、自信満々で大河は提案しました。
「だったらみんなで行こうぜ！」
今にも皆を引き連れて飛び出していきそうな勢いです。しかし、その横では、一人の少年が口元に手を当て何やら考え込んでいました。少年がぼそりと口を挟みます。
「でも、イルミンスールは遠いよ。土日で行って帰ってくるのは、さすがに無理じゃないかな？」
少年の懸念も尤もです。比較的自由な校風の薔薇の学舎ですが、無断で休んだりしたら、単位に響くかもしれません。
皆がしゅん…と肩を落とす中、何やら名案を思いついた少年がいるようです。
「イルミンスールでジェイダス杯を開けないかな？」
「ジェイダス杯？」
「うちの学校が主催しているレースなんだけど。白馬とか、小型飛空艇とか、各学校の生徒が得意の乗り物で競争するんだ。これなら学校行事だし、堂々とイルミンスールまで行けるじゃない？」
「うわっ、それいい！ ってか、俺も出たいっ！」
好奇心の強い大河は目を輝かしました。
「でも、大河くん。白馬に乗れたっけ？」
「………」
「小型飛空艇か、魔法の箒は？」
「………」
つい最近まで、どこにでもいる日本の学生だった大河には、馬はおろか、小型飛空艇にも魔法の箒にも乗れるわけがありません。
口をへの字にして押し黙ってしまった大河でしたが、突然何かを思いついたように、両手を高く振り上げ、叫びました。
「全員自転車だ！
日本の学生の愛車は、自転車って決まっているんだよ！」
こうしてジェイダス杯初めての学生主導による自転車レースの開催が決定したのでした。
【参加募集要項】
第3回ジェイダス杯は、指定された果物をすべて集め、ゴール地点に戻ってくる…言うなれば借り物競走です。果物の木は大変大きいため、太い枝ですと、5人くらいが横に並んで走れるほどの幅がありますが、枝の先に行くほど幅が細くなり、一人が通るのがやっとくらいです。皆さんに走っていただくコースは「枝」の上ですので、道は平坦ではありません。
また、中には身長が180cm以上の高さがないと届かない位置になっている果物もあります。この点も対策が必要です。
その他の注意事項としては、薔薇学キャンペーンシナリオ「砂上楼閣」に登場する梶原大河がゲストNPCとして参戦します。不幸の星を背負っている大河の側には巨大イナゴや巨大蜂の大群、人食い植物などが次々に寄ってきます。彼が近づいてくると、巻き添えを食って襲われます。ご注意ください。
■開催地
イルミンスール
■参加資格
学校・性別を問わず参加できます。もちろん百合園生もガッツリ参加オッケーです。
■採ってくる果物について
採ってきていただく果物は、ダイスロールで決まります。
当シナリオ専用掲示板のダイス機能を使いますので、必ず「あいさつ掲示板」への書き込みをよろしくお願いします（あいさつ掲示板以外のダイスは無効とさせていただきます）。
ダイスの数字は、皆さんが採ってくる果物の種類、及びトップ画内にある地図の番号に対応しています。
1・プラム
2・梨
3・葡萄
4・林檎
5・栗
6・柿
例えば、ダイスの目が1と5と出た場合、採ってくる果物は1のプラムと5の柿です。
果物はそれぞれ3カ所になっていますので、アクションを提出する際には、下記のような形で回る順番をご指定ください。
赤1→黄5→緑1→緑5→黄1→赤5
赤・黄・緑のうち必ず1つ以上熟れすぎ（ハズレ）の果物があります。
例えば、赤1と緑5がハズレだった場合、判定では赤1→黄5→緑1が回るコースとなります。当然のことながら、回る場所が少なく移動距離が短いほど、レースの展開が有利になります。
ちなみに大河が採りに行く果物は「あいさつ掲示板」トップの「運営」書き込みダイスの数字と同じです。数の少ない番号から赤→緑→黄→赤→緑→黄の順番で回っていきます。
■レースに使用する乗り物について
今回は学校を問わず、自転車に乗っての参加となります。アイテムとして自転車を持っている方（要装備）は、直線でのスピードを+2として判定します（直線での基本的なスピードは体育の値に準じて判定します）。
ギア付き自転車やマウンテンバイクなど、自転車の設定は自由です。ただし、電動自転車は禁止とさせていただきます。あくまでも自力で頑張りましょう。
アイテムとして自転車をお持ちでない方には、どこにでもある「普通のママチャリ」をお貸しします。
■妨害・トラップについて
レース中の妨害行為は認めております。むしろ推奨です。
また、第三回ジェイダス杯実行委員会に志願する方（この設定を選ばれた方はレースに出場することはできません）に限っては、3カ所までトラップを仕掛けることができます。こちらのアクションを選ばれる方は、何色の何番に罠を設置するかご指定ください。
ただし、イルミンスールの自然を守るため、火や除草剤などを使った妨害行為やトラップは禁止とさせていただきます。
■LCの参加について
参加人数の制限は設けませんが、MCと同じチームでの参加となります。MCとLCで順位を争うという行為はダブルアクションとして没扱いとなります。ご了承ください。
