波羅蜜多実業高等学校

「参ったぜ。金がない……」
　山葉　涼司（やまは・りょうじ）はぼやきました。
　思いがけずバレンタインデーでたくさんのチョコレートをもらうという、生涯でももう二度と起こらないような奇跡が起きたのですが、あまりに数が多すぎてホワイトデーでお返しをするキャンデーを買うお金がありません。
「これこれ、そこな若者。何を悩んでおるのじゃ？」
　突然、フードつきのマントを纏った小柄な人物が声をかけてきました。うつむいて顔を隠しているので、誰なのかも分かりません。
「貴様何者だ！」
　思わず、山葉涼司は身構えます。
「そうピリピリしないのじゃ。きっと糖分が足りぬのじゃな、よろしい、これをやろう」
　そう言って、謎の人物が背負っていた袋の片方をさし出しました。中には、山ほどの赤いキャンデーが詰まっています。
「自由に使ってよいぞ。そうじゃな、ホワイトデーでもあることだし、蒼空学園のボインボインのおなごたちに配ってやるがよい。きっと喜ばれるのじゃ」
「おお、それはありがたいぜ」
　馬鹿です。山葉涼司、簡単に引っかかりました。
　ちょっと欲を出してもう一つの袋に入っている青いキャンデーもくれと頼みましたが、こちらは赤い物とはまったく逆の味なのでだめだと断られました。
　ほくそ笑む謎の人物に礼を言って分かれると、山葉涼司は蒼空学園中の女子や、バレンタインにチョコレートをくれたりくれなかったりした他校の女子まで呼び出してキャンデーを配りました。中には、男も混じっていたようですが、あまり気にしません。これで、みんなのハートはわしづかみです。
「わあ、ありがとうございます」
　花音・アームルート（かのん・あーむるーと）が、心底喜んでお礼を言いました。
「涼司さんからお返しをいただけるなんて、感激です。うるうるうる。これは、もう、愛の告白ですよね。ありがたくいただきます。ぱくり」
　さっそく、花音・アームルートはキャンデーを口に放り込みました。
　しゅるしゅるしゅる……。
「おい、花音、どうした！」
　山葉涼司は、驚いて叫びました。突然、花音・アームルートの身体が縮んだのです。１０歳ほど若返ってしまい、見た目は５歳ほどになってしまいました。着ていた服もサイズが合わなくなり、脱げかけた服をあわてて両手で押さえるという姿です。
「ああん、涼司さん、酷いです。なんでこんなことするんですかぁ」
「いや、俺は何も知らない……」
　焦る山葉涼司に、なにやらロリショタ軍団が迫ってきました。
「貴様、眼鏡、これはなんのつもりだ！」
「わーん、殺すですぅ」
「なんでこんな酷いことするのよ」
　口々に叫びながら、サイズの大きい服を引きずるようにして子供たちが追いかけてきます。まるで、全員ちぎのたくらみを使ったかのようです。
「違う、俺のせいじゃない」
　たまらず、山葉涼司は逃げ出しました。
「ふふふふ、計画どーりじゃ。このまま、みんなわしのようにつるつるぺったんになればいいのじゃ！」
　蒼空学園の屋上からその騒動を眺めながら、アーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）が勝ち誇りました。

　蒼空学園の誰か、大ババ様に何か恨まれるようなことしました？　スペアボディに悪戯するとか……。
　とにかく、逆恨みかもしれませんが、大ババ様による蒼空学園での巨乳消滅計画が開始されてしまいました。とばっちりを受けて、関係ない貧乳はステータスだ女子や、野郎どもも巻き込まれてはいますが。
　おかけで、蒼空学園はパニックです。
　たわいもない悪戯のようですから、放っておいても数日で元に戻るでしょうが、それまで待ってもいられません。何とかして、大ババ様の持つ青い解毒キャンデーを奪い取るのです。
　なお、幼児化すると、口調が舌っ足らずになることがあります。また、キャラが幼児化しているか、元のままかはアクションに明示してください。明示なき場合は、こちらで適当に振り分けます。

・なんとしても胸を取り戻す

・世界はこのままでいい

・キャンデーを自分の物にする

・被害者を保護する

・山葉涼司に責任を取らす