波羅蜜多実業高等学校

　５月初め

　イルミンスール魔法学校　どこぞの寮
「た、た、た、大変だよムッキー！　ホレグスリが作れなくなっちゃうよ！」
　ムッキー・プリンプト（以下むきプリ君）は、暗い部屋で、こぽこぽと泡立つフラスコを前に無駄に仁王立ちしていました。そこに、プリム・リリム（以下ぷりりー君）が入ってきて一大事とばかりに叫びます。
「プリム。そんな嘘八百を言って俺が信じると思うのか？　この間留年を食らったばかりのこの俺に、そうそう不幸なことが起きてたまるか」
　空京遊園地を勝手に動かしたむきプリ君は、その運営費を全額負担するハメになっていました。ホレグスリを『安心薬』の原料として教導団衛生課に出荷することでちみちみと借金を返してきたのに、製造出来なくなったらぷりりー君と心中するしかありません。
「本当だよ！　この紙を見て！」
　突き出された紙を、むきプリ君はざっと読みます。
「なんだ、コミ……マジケット制圧の人員募集じゃないか。同じカタカナでもホレグスリとマジケットは何の関係も無い。カタカナも読めなくなったのか？」
「この脳みそ筋肉！　項目１と３をよく読んでみてよ！」
「んー？」
　そこには、こう書いてありました。
「イルミンスール青少年健全育成委員会は生徒に以下の行為を禁じる……１、非道徳、不健全、危険と思われる全ての魔法実験……３、１ならびに２に該当する目的での施設の使用および使用許可…………な、何ぃ！？　……い、いやいや、ここで薬を作っていることはエリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）は知らないだろう」
「知ってるよ！　今まで同情されて見逃されてただけだよ！　家宅捜索も已む無しって言ってるって噂が……」
「ば、馬鹿な……」
　むきプリ君は呆然とし――それからはた、と気付きます。
「……だが、元々ホレグスリを作ったのはエリザベートだろう」
「そんな事、あの校長が気にすると思う？」
「……………………」
　その沈黙の隙に、部屋がノックされました。入ってきたのは、男子生徒です。
「むきプリ君！　ホレグスリが無くなる前に１瓶くれ！　金なら払う！」
「……………………」
　むきプリ君はしばらく言葉を失ってから、慌てて荷物をまとめ始めました。ホレグスリ・解毒剤のレシピや材料、在庫を、詰められるだけ鞄に詰めて部屋を出ます。
「残った分は好きにしろ！　行くぞ、プリム！」
「行くって……、どこへ？」
「蒼空学園だ！　あそこには確か、俺と同じ元ミイラ男がいた筈だ！　ラス・リージュン（らす・りーじゅん）とかいう１人だけリンク貼れる忌々しい……いや、ミイラ仲間が！　しかもそいつは、御神楽　環菜（みかぐら・かんな）と繋がりを持っているらしい。製造場所を確保出来るかもしれん」
「あれ？　おにいちゃんに用事？」
　突然声を掛けられ、むきプリ君とぷりりー君は足を止めました。振り返った先には、金髪の可愛らしい少女――ピノ・リージュンが立っています。
「おにいちゃんなら、まだ校長室出入り禁止だよー？　ちなみにもしかして、むきプリさん？」
「あ、ああ……」
「あたし、エリザベート校長に用があって来たんだ！　イルミンで変な薬作って金儲けしてる奴がいるらしくて悔しいから止めるようにって！　この写真を見せてばらまくって言えば簡単だって！」
　そうして見せられた物は、レオタードを着たエリザベートがアーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）にしなだれかかっている写真でした。
「よく意味が判んないけど、むきプリさん……きゃっ！？」
　むきプリ君はピノを羽交い絞めにして、イルミンスールを遁走しました。
「ちょっ……！　どうするのさその子！」
「空京に行ってホテルを借りる！　そこでホレグスリを製造し、通行人にぶっかけて仲間を得る！　そしてこいつを人質に、蒼空学園にホレグスリ研究所を作らせるのだ！」
「……オレ、ムッキーのパートナーやめようかな……」
「やだやだ離してよー！　って、え？　ホレグスリって言った？　今ホレグスリって。面白……え、ううん何も言ってないよ！　離してよー！」
　――その光景は、沢山の生徒達に目撃されていました。

　その頃、蒼空学園では。
「……あら？　あの写真が無いわ……。まあ、問題無いわね。私が恥かくわけじゃないし、予備もあることだしね」
　

＜ぷりりー君の持ってきた紙の内容は、さかもとたけしＭＳの「マジケット攻撃命令」より引用させていただきました。超ありがとうございます＞

混合お祭りシナリオです。
微妙にナベ騒ぎの時（魂２）と状況が似ていないこともない気がしますが、今回は難しいテーマなどは何も無いしネタバレも無いしどーでもいいので、純粋に楽しんでいただけたらと思います。
基本、独立単発シナリオなので「ホレグスリ」「魂の欠片〜」未参加の方もお気軽にご参加ください。

ホレグスリの効果→・半日しか保たない。
　　　　　　　　　　・飲む量によって溺れ度が違う。時には意思の力が勝つ。
　　　　　　　　　　・台詞内に「一つ」とかいうベタな単語を入れると、本音が隠せなくなるらしいよ。
　　　　　　　　　　（その瞬間に中身は素面に戻るらしいよ）


少しわかりづらいので現状まとめ

・ホレグスリ君　　→イルミンスール魔法学校むきプリ君のお部屋。
　　　　　　　　　　　むきプリ君の鞄の中。
　　　　　　　　　　　他、シナリオ「ホレグスリ狂奏曲」「ホレグスリ狂奏曲・第２楽章」にてＧＥＴしたものが残っていれば使用可能。（解毒剤も同上）
　　　　　　　　　　　大量取得している人も……？
　　　　　　　　　　　（空京ぶっかけは、ストーリーの流れによっては幻になる可能性有）

・むきプリ君　　　→ピノ・リージュンを人質に空京へ。目的は、ホレグスリ研究所を環菜に作らせること

・ぷりりー君　　　→むきプリ君、ピノと共に空京へ。
　　　　　　　　　　　むきプリ君に呆れかえっている。天然ショタ属性持ちだが、多分１番の常識人

・ピノ・リージュン→一応人質だが危機感ゼロ。ホレグスリに興味深々。

・ラス・リージュン→現在蒼空学園。エリザベートにホレグスリ製造中止させるためにピノをイルミンに派遣。
　　　　　　　　　　　人質になったことは現状知らない。シスコン。

・エリザベート　　→写真など見せられずとも、張り紙関連でむきプリ君にホレグスリ製造中止を命令しに行く。しかし寮はもぬけの殻。
　　　　　　　　　　　本音では何だかもったいないと思っている。

上記のように登場ＮＰＣ数が若干多いので、ガイドに出ていても絡みが無ければリアクションには最低限しか出しません（魂３でかわいそうだったお方→オトス村長）。逆にガイドに出ていなくても、絡みがあればホレグスリ、魂組のＮＰＣ（ファーシー、ソルダ等）、マジケットより寒極院ハツネ限定で登場可能です。
もちろん、ＮＰＣガン無視アクションも大歓迎です。

※重要※
こんなややこしい状況で非常に言い難いのですが、ダブルアクションは＜可能な限り＞ご遠慮ください。

では、よろしくお願いいたします。

・ホレグスリを純粋に楽しむ

・むきプリ君に協力する

・ピノを奪還する

・余計なこと考えないでみんなで遊ぶ