intermedio 貴族達の幕間劇(後編) リアクション公開中! |
シナリオガイド第二幕開演。幕閉じる時、現実が演じているのは悲劇か、喜劇か。
シナリオ名:intermedio 貴族達の幕間劇(後編) / 担当マスター:
有沢楓花
* ──シャントルイユ家、応接間。 「つまり、ドナート卿が予告状を送ったか、それを知る立場の物から情報を事前に入手できたか、どちらかということですね」 フェルナンの問いに、葛葉 翔(くずのは・しょう)は頷きました。 「付け加えるなら、“嘘感知”に引っかかったということは、意識的に嘘をついているということになります」 「バルトリ家はヴァイシャリー家側の貴族です。勿論、ヴァイシャリー家と表だって対立する貴族は少なく、ドナート卿もヴァイシャリー家には従順に見えますが……」 ではバルトリ家とはどうか、といえば。 「貴族の中には陰謀策謀を好む方たちがいます。そうでなくとも、自ら直接対峙しなくともバルトリ家を失脚させることが可能なら、口をつぐんでいるでしょう」 先日の誕生日パーティで明らかになったのは、アレッシアがバルトリ家の中心であり、夫アウグストを補佐するために政略結婚をさせられ、そして使用人にも慕われていない──という事実。 それを彼が知っているなら、アレッシアが殺害されるのをわざわざ止める必要はないのです。 「これも知っているのでしょう。殺害予告について知ることができる立場なのですから」 「ドナート卿が予告状を送った可能性は排除していいですね」 「ええ、おそらく、あれは夫人の狂言だったのでしょう。では……誰がそれを彼に話したのか、ですが」 予告状の件は限られた人間しか知らないのです。内部の人間で知っているのは、アレッシアとアウグスト、そしてアレッシアが信頼をおくモニカという侍女だけです。 「──ここで考えていても埒があかないわ。私は出かけるわね」 黙って話を聞いていたクロエは、ソファから立ち上がりました。 「何処にですか?」 「ドナート卿のお屋敷に、新しいデザインのドレスを売り込みに行くのよ」 夫人でもいいし、娘でもいい。あしらわれても、使用人にでも話を持ちかけてみればいいわ、とクロエは言います。 「たいていの女性はきれいなものや賛美に弱いから、何らかの情報を聞き出せると思うの。でも、期待はしないでおいてね」 クロエは他に数人、助手として来てくれる生徒を募集しました。 * 戦部 小次郎(いくさべ・こじろう)は、手の中の瓶に目を落としました。 睡眠薬。 アレッシアとのいかがわしい噂を立てられている、オペラ歌手ディーノが眠れないと使用しているものです。 そして、予想通りというべきか、アレッシアが自殺未遂に用いたのと同じものでした。 真に狙われているのは彼である──との予測は当たっており、もし彼が隠さなかったら、たとえアレッシアが公衆の面前で自殺未遂を行ったとしても、ディーノは事件との、何らかの関連を疑われていたでしょう。 (つまりこういうことですね。アレッシア殺害の絶好の動機を持つ者がおり、彼が服用している睡眠薬で、彼女が死んだら──合法的に、彼は絞首台に送られる可能性が高い) ディーノとの別れ際、今度はいつパトロンと会うのかと聞いた小次郎に、ディーノは答えました。 「中断されたオペラの第二幕をやってみたらどうかと、話をいただいたんだ」 その後アレッシアが回復したという報に、ディーノは第二幕の上演を決定しました。 ディーノの家は、住宅街にあるこぢんまりとした一軒家です。 「最低でも、人間さえいれば演じることはできるからね。ご覧いただけるかは分からないが、バルトリ家ご夫妻には招待状を出してお招きした。返事はまだだけどね」 参加するのはディーノ達オペラ歌手と奏者と、スタッフが数人。規模は前回よりさらに小さくなってしまいますが、仕方ありません。 観客はアレッシアとアウグスト、そして援助者のビアンカの三人の予定です。 「学生さんには、もし手伝ってくれるならとても助かるし、観劇してもらってもいいと思っている。この前のことはみんな腹立たしく思ってるけど、止めようとしてくれた人たちが沢山いたんだ。もう一度オペラを一緒に観て、和解してくれればいいと思っているよ」 彼の言葉に嘘はないようですが、ディーノに関しては、いくつかの疑問点が持ち上がっています。 アレッシアの狂言(本当に自殺するつもりだったようですが)がディーノを殺すことも目的であったとして、二人の間にあった擦れ違いの原因は何でしょうか。ディーノに何かを疑われるような余地が残されているのでしょうか。 そして、アレッシアに代わり、ディーノの新しいスポンサーとなった貴族ビアンカ・カヴァルロは、本当に貴族なのでしょうか。 * 百合園女学院、校長室にて。 「勝手に出て行ってごめんなさい」 アレッシアのゆるスターである真珠を胸に抱き、村上琴理(むらかみ・ことり)はパートナーであるフェルナンに頭を下げました。 フェルナンは彼には珍しく仏頂面になります。 「事情は分かりました。……で、言っておきますが、……俺も怒ることがあるんですよ。一応これでも、パートナーなんですから、何かあれば遠慮なく相談してください。勝手に一人で抱え込んで出て行かれて、心配しないとでも思いましたか?」 「……うん。ごめんなさい」 「事情は分かりました。……俺こそ心配をかけて済みませんでした。確かに最近色々と考えることが多く、自分の誕生日を忘れる程度には疲れていたようですから」 でも大丈夫ですよ、と彼は笑います。 「今回の事件が終わったら、誕生日分の休暇を貰うつもりなんです。少々気が早いですが、貴方と友人と皆でどこかに遊びに行きませんか? ……ああ、桜井校長」 校長室の扉が開いて、静香が顔を出しました。 「ただいま、ラズィーヤさんの許可は貰ったよ。あ、村上さんも一緒に行くよね」 「何処へですか?」 「みんなで、この前のことを謝りに。それで、もう一度オペラのお手伝いをしに」 それから、と静香は付け足します。 「真珠の処遇。どうしたらいいかまだ迷ってるんだよね。誰の手にあるのが一番いいのか、アレッシアさんやみんなで考えてみよう?」 担当マスターより▼担当マスター ▼マスターコメント
お久しぶりです、もしくははじめまして、有沢です。 ▼サンプルアクション ・アレッシアを説得する ・アウグストの後をつける ・クロエと共にドナート卿の屋敷を訪ねる ▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています) 2010年12月11日10:30まで ▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました) 2010年12月12日10:30まで ▼アクション締切日(既に締切を迎えました) 2010年12月16日10:30まで ▼リアクション公開予定日(現在公開中です) 2010年12月29日 |
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