波羅蜜多実業高等学校

　――ヒラニプラ郊外。
　シャンバラ教導団の情報科の少尉にして、自称“Ｍ７６星雲からきた宇宙刑事”金元 　ななな（かねもと・ななな／本名：金元奈緒美）はパトロールをしていました。
　ヒラニプラ近郊の地形を把握することは、情報科を問わず国防を担う教導団の生徒にとって重要なことです。
　なななは寸暇を惜しんで、パトロールを兼ねて実際に自分の足で踏破しながら地形の把握に努めていました。

「この小高い丘は地図だと分からないけど、結構左斜面が急だね。ここが戦場になった時は……ん？」
『や、止めてください！』
『止めろと言って止めたら教導団は必要ねーんだよ！』

　手にした地図に自分なりのメモを書いていると、何やら男女が言い争っている声が聞こえてきました。
　声のする方へ行ってみると、少女が男性に腕を掴まれてどこかへ連れていかれようとしているではありませんか！

「あぐっ！？　だ、誰だ！？」
「宇宙刑事ななな！　女の子に悪さをするなら、次は本気で当てるよ！」

　なななは親指でコインを弾きながら言いました。彼女はサイコキネシスでコインを飛ばし、男性の腕を弾いたのです。
　この程度の悪漢であれば銃を抜くまでもありません。

「ゲェェェ教導団員！？　後１ヶ月だけ待ってやる、１ヶ月だけだからな！　覚えてろよ！」

　男性はなななの教導団の新制服を見ると、お約束の捨て台詞を残して這う這うの体で逃げて行きました。

「大丈夫？　乱暴はされてない？」
「ありがとうございます」

　なななが少女に駆け寄ると、彼女は男性に掴まれて赤くなった手首をさすっていました。

「何やら訳ありのようだね。あの男性が一方的に悪い、という様子ではなかったし。乗り掛かった船だから、なななで良ければ相談に乗るよ？」

　あの場面ではこの少女を助けるべきでしたが、言い争っている以上、男性にも事情があるのは確かです。
　なななが促すと、少女は身の上を話し始めました。
　少女の名前はボニーと言い、兄と２人でヒラニプラの郊外で小さいながらもスパ施設を経営していたそうです。
　していた、と過去形なのは、彼女の兄が病気で急死してしまったため、今スパ施設は半ば休業状態だからです。
　ヒラニプラには多くの温泉があります。教導団も湯治場をいくつも保有しており、教導団員を始め各校の生徒に開放しています。
　兄が遺したスパ施設なのでボニーは何とか再開しようとしたのですが、兄は同時に借金も残しており、その返済期限が１ヶ月後に迫っていました。

「なるほど、さっきの悪漢は借金の取り立てだったんだね。しかし、ステレオタイプの借金取りだったねぇ」
「助けて頂いてこんなことまで頼むのはおこがましいのですが……私の経営しているスパ施設に遊びに来てくれませんか？」
「うん、いいよ」

　なななは二つ返事で答えました。

「お客さんが来なければ借金返せないし、なななで良ければいつでも遊びに行くよ。そうだ、なななのお友達や他の学校の生徒も誘ってみるよ。３人寄れば文殊の知恵、ともいうし、スパ施設を元気にするアイディアも出してくれると思うよ」


　数時間後、なななは教導団を始め、各校に『スパ施設で一緒に遊ぼうよ！　元気にするアイディアをくれる人も募集！』という依頼を出しました。

初めましての方は初めまして。そうでない方はまたお会いしましたね。高久高久です。

さて、今回の目的は『借金を抱えたスパ施設を元気にする』ことです。
なななは全学校に依頼を出していますので、どなたでも自由に参加することが出来ます。

皆さんが遊びに来てくれるだけでこのスパ施設は元気になります。
また、アルバイトをすることも可能です。

アイディアがあればボニーやなななに提案して頂ければ、採用できる範囲で採用いたします。
というのも、このスパ施設は借金を抱えているので、現状維持がやっとであり、施設の改装や拡充といった大きな出費が伴うアイディアは採用したくても採用できないからです。
また、あくまでスパ施設による自力の借金返済が望ましいですので、寄付なども受け付けておりません。
今あるものを利用した、皆さんのアイディア次第になります。

○施設について
このスパ施設は屋内型で、以下の施設があります。

・天然温泉
100%源泉かけ流しの内湯と足湯、サウナがあります。
効能は疲労回復、健康増進、うちみ、ねんざ、きりきずなど、とかくケガの多いコントラクター向けといえます。
希望者には温泉卵と飲み物（ソフトドリンク）が湯船で楽しめるサービスが付きます。

・温水プール
温泉の水を利用した温水プールがあります。
小さなウォータースライダー付きの50mプールです。
希望者には水鉄砲（ハンドガンタイプ、サブマシンガンタイプ、ライフルタイプ）が貸し出されます。

・ラウンジ
温泉や温水プールで遊んだ後、くつろげる場所です。
広い部屋はボニーの兄がこだわって畳敷きになっており、思い思いに寝転がることができます。

・レストラン
一般的なファミリーレストランのメニューと源泉で作った温泉卵があります。

なお、スパ施設内は基本的には水着着用になります。
水着は持ち込みOKですが、貸し出しサービスも行っています。貸し出される水着は男女とも教導団の公式水着になります。

施設そのものは一般的なスパ施設と同じですが、老朽化が進んでいます。
またヒラニプラの中心から外れており、立地の悪さも影響しているようです。
それ故目客足が遠のいていったようです。

スパ施設で遊ばれるも良し、元気にするアイディアを出されるも良し。
皆様の参加をお待ちしております。

・スパ施設の温泉に入りに行く

・スパ施設のプールに遊びに行く

・スパ施設を元気にする！