波羅蜜多実業高等学校

　衣替えの時期です。
　シャンバラの各学校でも、この時期、夏服から冬服に着替える生徒のため、大量の制服を製造しなければなりません。
　もちろん、そうでなくてもアパレル産業にとってはまさに稼ぎ時。この時期には、工場がフル稼働し、大量の衣服が作られます。

　ここはそんな被服工場兼倉庫のひとつ。
　各学校や企業の共同出資により設立された場所で、最新鋭のシステムによる製造と効率的な収蔵が可能です。
　さらには、かなりの高級衣服を扱うため、しっかりした防犯システムが確立されています。

　そんな倉庫で作られた服を、各学校やその他必要な場所に運ぶ……というアルバイトが、事の発端。
　体力の有り余っている学生たちにとっては、これほど手軽に稼げる仕事もありません。
　そういうわけで、学生たちが倉庫に向かったのですが……

　問題はここからです。学生たちが倉庫に到着すると、管理システムを統括しているジョージアという機晶姫が、倉庫の入口をぴったりと閉じて、こう告げたのです。
「私は長い間、服を管理してきましたが、誰にも着られずに捨てられていく服がたくさんありました！
　あんまりにも、服がかわいそうです！　だから、私が決めた服を着てくれないと、倉庫の中には入れてあげません！」
　どうやら彼女は、服の管理をし続けるうち、あまりに大量の服が未使用のまま保管されていることに感情移入してしまったようなのです。
「勝手に服を持ち出すなんて、私が見ていないところでまだ誰も着ていない服を捨てる気かも……誰かが一度でも着た服でないと、持ち出しちゃダメです！」
　彼女の配下には、何十体もの警備ロボットがついています。従わなければ、実力行使も辞さない様子。

「ま、待て！　そんなむちゃくちゃな言い分が通るか！」
　やってきた学生のひとり、カールハインツ・ベッケンバウワー（かーるはいんつ・べっけんばうわー）が抗議しますが、ジョージアは聞く耳を持たない様子。
「あなたにも、これを着てもらいます！」
　彼女が取りだしたのは、黒地に骨のペイントがついた全身タイツです。
「そんなハリウッド気分が出せるか！」
「じゃあ、こっちを着てください！」
　ジョージアが次に出したのは、シャンバラ教導団の男子制服です。
「ふざけるな！　なんでオレが軍服なんか着なきゃいけないんだ！」
「じゃあ、仕方ないですね。これで我慢してあげます」
　今度は、蒼空学園の旧女子制服。
「なんで悪化するんだ！　ピンク色の女子制服なんか着れるか！」

　……と、こんな調子です。
　どうやら、服を運ぶだけの簡単なバイトを完遂するためには、ジョージアが決めた服を着るか、警備ロボットを倒して進むかしかないようです。
　さて、無事に仕事は終わるのでしょうか？

　はじめまして、三刀屋一馬と申します。
　コミカルなコメディシナリオからシリアスなバトルシナリオまで、皆様（と、皆様の大切なPC）に楽しんでいただけるよう精一杯努力して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

　さて、本シナリオでは、ジョージアの管理している工場兼倉庫に入るためには、２通りの手段があります。
１，ジョージアが決めた服を着る
　シナリオガイドの通り、ジョージアがあなたに着せようと決めた服を着て工場に入る方法です。
　この服は、シナリオ上はジョージアが決めますが、どんな服を着せるかはアクションで決めてください。書かれていない場合、ＧＭが適当と思った服を着せます。
　他校の制服や一度させてみたかった格好など、ご自由に決定してください。
　また、こうして服を着替えた場合、武装のうち「服」「ボトム」は使用不可になります。制服など、データが存在する服を着せても、シナリオ上は武装としての機能は発揮できません。

２，強行突破
　ジョージアの言うことを聞かず、無理矢理工場の中に押し入ることもできます。
　この場合は、「服」「ボトム」も使用することができます。ただし、ジョージアの配下である警備ロボットに追いかけられることになります。
　もっとも、コメディシナリオのため、大きなけがを負わせることはありません。スタンガンで痺れさせる程度です。

・目当ての服を持ち出す

・強行突破だ！

・ジョージアを説得する

・とにかく着替える