波羅蜜多実業高等学校

『やぁ、素敵で不敵なお知らせだ。単刀直入に言うぜ。実は蒼空学園に爆弾を仕掛けさせてもらった』

　一通の電話が校長室にいる山葉　涼司（やまは・りょうじ）の元へかかってきたのは、昼休みのことです。
　他校生も招いての授業の直後ということもあり、疲れ気味の涼司は受話器を下ろそうとしました。

『悪いけど、いたずらじゃないんだ。四段目の引き出し、開けてみるといい』

　訝しみつつも、引き出しを開けると、そこには歪んだ文字で「ばくだん」などと書かれたゴムボール。手にとっても、それは正真正銘ただのゴムボールに他なりません。が、

『もちろんそれはただのゴムボールだけど、もしもそれが爆弾なら？』

　見ているように受話器は言います。いくらでも爆弾を仕掛けることはできた、と。

「……要求はなんだ？」
『うん、話が早く助かる。ただ、要求については、ちょっと待ってくださいな』

　そこで校内放送用のスピーカーが、軽快なイントロを響かせました。

『こんにちは、蒼空学園生徒のみなさん。今日の放送では、ちょっとしたアンケートにご協力いただきたく思います』

　電話と同じ、変声機によって不自然にくぐもった声がスピーカーから聞こえました。

『みなさんは爆弾を持っているとします。そしてこの爆弾を使って脅迫するとしましょう。さあ、ここで尋ねるはその要求内容』

　いつもの放送とは毛色の違った放送に、校舎内外がにわかにざわつき始めました。

『なんだって構いません。でも物を受け渡す系は避けた方がいいかもしれない。受け渡しの時っていうのは一番捕まりやすい時なのだし。ご回答についてはこの放送にて紹介したいと思います。では、ご回答はこちらまで』

　スピーカーがメールアドレスを読み上げる中、受話器は笑いまじりの声を上げました。

『と、いうことさ。採用者の発表は要求をもって代えさせていただきます。双方にとっていい回答が来るといいね』
「こんなことをして、なにが目的だ！？」
『安心していいよ、テロリストなんて無粋な連中とは違う。一人だし、あまり大きな要求をするつもりもない。楽しいお昼のひとときのご提供と思ってくれればいい』
「愉快犯だとでも言うのか」
『なんとでも言うがいいよ。そうそう、生徒の避難なんかしようと思うなよ。回答をとても楽しみにしてるんだから。そんなことをすればすぐにドカン、だよ』

　それじゃあね、要求をお楽しみに、通話が切れると同時、涼司は立ち上がりました。
　大人しく犯人の言う通りにするわけにはいきません。大がかりな動きはできなくとも、なんとか爆弾を探し出さなくては。
　扉を開けた涼司は、数人の生徒が廊下を走っていくのを見て、目を丸くしました。

「我々放送委員は無断放送を許さない！　放送ジャック犯を取り押さえに行くぞ！　まずは第一放送室だ！」

　周りに目もくれず走り去っていく一団を見やって、これは厄介な事態になった、と涼司は頭を抱えました。

　どうもこんにちは。シナリオガイドをご覧くださりありがとうございます。
　今回担当させていただく浦苗　棉です。
　
　今回のシナリオは、蒼空学園の爆弾騒動を収めることが目的になります。
　ただし、犯人を刺激しかねないため、一般生徒には爆弾が仕掛けられたことは伝えられていません。
　涼司が一部生徒に呼びかけを行ったので、PCは爆弾のことを知っていてもかまいません。


　■放送委員について
　放送委員の面々は放送ジャック犯を捕まえることに夢中で、爆弾が仕掛けられているとは夢にも思っていません。
　校舎内にいくつかある放送室を全て押さえに行くようです。
　はっきり言って暴走していますので、邪魔する相手には容赦がありません。
　

　■アンケートについて
　犯人によって、回答が発表されるため、犯人の足止めに繋がるかもしれません。
　犯人が面白いと判断した回答がそのまま要求内容になるので、採用された要求次第では、被害を最小限にすることができるかもしれません。
　

　■NPCについて
　涼司が大っぴらに動くと目立つため、実質、涼司は動くことができません。


　皆様のご参加、心よりお待ちしています。

・犯人を探し出す

・放送委員と一緒に暴走

・アンケートに答える