波羅蜜多実業高等学校

*こちらのシナリオは千年王の慟哭・前編の続きとなります。

■前回のあらすじ■

　”千年王”と呼ばれる伝説の竜の一体の霊廟へと調査に向かった調査隊と連絡が取れなくなり、その調査隊を捜索するために契約者たちが集められました。
　そして現場へと赴いた契約者たちが見たものは、壊滅した調査隊の姿だったのです。
　後の調査で、調査隊の中心人物であった”ウォルター・ヘンリー教授”は、鏖殺寺院とも繋がりのある”ウィアード・ファウンデーション（ＷＦ）”と通じていたことが発覚。
　彼は調査隊に同行していた”エンヘドゥ・ニヌア（えんへどぅ・にぬあ）”を攫い、霊廟に眠る千年王を復活させようとしました。
　しかし、契約者たちがそれを阻止せんと霊廟内に突入します。
　鏖殺寺院やマリアンヌことＷＦのエージェントであるＭたちによる妨害はありましたが、契約者たちの手によって、エンヘドゥは助けられ、教授は捕らえられました。
　ですが、エンヘドゥを使った儀式は成功し、千年王は長き眠りから目を覚まします。
　しかも、復活した千年王は自我を失っていたのです。
　そしてただ戦いと敵を求める暴竜となってしまった千年王は、目の前にいた契約者たちを戦うべき敵と認識し、咆哮するのでした……。


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「千年王……」

　目を閉じていたエンヘドゥ・ニヌアが目を覚まし、復活した千年王の名を呼びました。
　ですが、彼女のか細い声は今の千年王には届きません。

『グゥゥゥッ……敵ハ、全テ倒ス！』

　――オオオオオオ！！

　咆哮と共に手にしたサウザンドソードを振り下ろす千年王。
　契約者たちは仕方なく剣を構え、戦うを意志を見せます。

「止めないと、いけませんわ」

　エンヘドゥはそういうと、契約者の背から降りてフラリと立ち上がりました。
　ですが、血を流し過ぎていたエンヘドゥはすぐにその場に膝をついてしまいます。
　そんな彼女を心配し、周りにいた契約者たちが肩を貸しました。
　そして、再び立ち上がった彼女は皆にいいました。

「皆さん、お願いですわ。わたくしに力を貸して……！」

　傷ついているが、その瞳に強い意志を宿すエンヘドゥ。
　そんな彼女の申し出を断ることができなかった契約者たちはうなずきます。

「皆さん、ありがとう」

　エンヘドゥはそういうと、暴れる千年王へと視線を向けました。

「遥か昔、イナンナに成り代わって国家神になろうとした地方領主がいた。その領主は、時の神官長に討たれ、その出来事は歴史の闇に葬られた。
　ですが、後世のある地方領主が過去に討たれたその領主の話をどこかで知り、崇拝するようになった。
　そして彼は、自分の命と引き換えに、かつて国家神に成り代わろうとした領主を復活させた。
　でもそんなことが上手くいくはずもなく、狂って復活したかつての地方領主とその領地は、その時の神官軍の手によって滅ぼされた。
　――まだわたくしが小さな頃、ロベルダに色々な話をせがんだ時にそんなお話を聞かせてもらった事がありますわ」

　と、エンヘドゥは胸元に当てていた手をぎゅっと握り締める。

「わたくしはおとぎ話だとばかり思っていましたけど、そうではなかったようですわね」
　そしてエンヘドゥはそういうと、目を閉じて静かに歌い始めました。
　それはカナンに昔から伝わる歌――豊穣なるカナンの大地を想起させる雄大な牧歌です。

（これ以上、千年王にこんなことをさせてはいけませんわ。言葉がダメでも歌なら届くはず……お願い、千年王！　あなたに心が戻っているのなら、本当のあなたを取り戻して！！)

「……歌？」

　Ｍは眉をしかめます。

「何をしようとしているかはわからない……でも、回収班が到着するまでおかしなマネはさせない」

　Ｍはそういうと、エンヘドゥたちの妨害へと動きます。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＊＊＊


　一方、その頃。
　空京大学では嵐を起こすもの　ティフォン（あらしをおこすもの・てぃふぉん）が、アクリト・シーカー（あくりと・しーかー）をイコン基地に呼び出していた。

「来たか」
「学長、用事とはなんだ？」
「うむ、ワタシは少し大学を離れる。だからその間は、君にまかせようと思ってね」
「それは構わないが……どこに行くのだ？」
「なに、古い友人に会いに行くだけさ」

　ティフォンはそういうと、重い腰を上げました。

　こんにちは。マスターの斉藤言成です。
　今回のシナリオは、千年王の慟哭・前編の後編となります。
　前回参加された方はまたご参加いただければと思います。
　また、前回参加されていなかった方も、前回から戦っていたという形でご参加いただければと思います。

　それでは以下は、シナリオガイドに書かれていない補足情報となります。

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■千年王について

　絵画では、千年王は巨大なドラゴンの姿で描かれています。
　二本足で立ち、その手に剣と盾を持って戦っている様子や、口から炎を出して敵を焼き尽くしているなど、戦っている場面がよく描かれいます。
　千年王には、熱さも寒さも歯が立たなかったという逸話や、人の言葉を理解し、魔法も使用することができたという話も残されています。
　千年王の愛刀であったという伝説の剣・サウザンドソードは、敵の血を吸い込む魔法の刃で出来ており、血を吸えば吸うほど切れ味が増していき、永遠に敵を斬り裂けたと言われています。
　復活した現在は、自我を失っています。こちらの言葉は通じません。
　体の再生までは考えられていなかったようで、ゾンビのように皮膚や肉がボロボロになっています。
　過去のように強靭な身体ではないようですが、戦闘力能力はかなり高いです。
　傷つけられば、傷つけられるほど、千年王は闘志と怒りを燃やすでしょう。


■エンヘドゥについて

　エンヘドゥは歌っています。ですが、前回ダメージを追っているため、長い時間を歌い続けることは体力的に難しいでしょう。
　彼女の歌っている歌は空京でも有名なものなので、歌のスキルを持つ方は彼女と一緒に歌う。疲れたら交代するなどするといいかもしれません。
　歌っている最中は無防備になるため、守りも必要でしょう。


■Ｍやウィアード・ファウンデーションについて

　ＭはＷＦに回収班の出動を要請しました。そのため、千年王の身柄を確保する飛空艇が霊廟に向かっています。
　Ｍは千年王の捕獲の障害となりそうなエンヘドゥを狙って動いています。


■ティフォンについて

　ティフォンは、前回の契約者の呼びかけに応える形で空京大学を出発しました。
　こちらに到着するまではまだまだ時間がかかるでしょう。
　ですが、到着すれば形勢を逆転する大きな力となってくれるはずです。

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　補足情報は以上です。
　シナリオガイドや補足に目を通していただき、色々と予想をしてアクションをかけていただければと思います。

　千年王を倒すのか、それとも他の選択肢を見つけるのか……それは皆さんのアクション次第です。
　それでは、皆さんのご参加を心よりお待ちしております！

・千年王と戦う。

・エンヘドゥを守る。

・エンヘドゥと共に歌う。（歌系スキル装備者限定）